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40代後半から男性のカラダに変化あり? 医師が教える「男性更年期の症状と特徴」

  • 2023.1.19
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周りに40代後半から50代の男性がいる場合、更年期の症状や実態について理解しておくと関係も良くなるかもかもしれません。「最近、あの人がなぜかイライラしてる」「ふさぎこんでるみたい」と感じるならぜひチェックを。医師が解説します。

あの人は男性更年期かも? 対応方法は?

上司や先輩、パートナー、家族など、40代後半から50代にかけての更年期に差し掛かる男性が周りにいるなら、気にかけておきたい更年期特有の症状のこと。実際、人知れず悩んでいる人もいるかもしれません。実際多くの男性に疲れやすい、イライラ、不安、うつなどの症状が出るといわれています。

ツムラが2022年11月に男性を対象に実施した「男性の更年期に関するイメージと実態調査」の結果、40代男性の症状ランキング1位は「疲れやすい」で65.4%、2位は「イライラ」で50.0%、3位は同率で「不安・パニック」「不眠」「集中力、記憶力の低下」で30.8%でした。

また更年期症状を自覚する男性に、更年期症状に対する意識を聞くと、約2人に1人は「自分に更年期症状が出るとは思わなかった」(55.0%)と感じていることがわかりました。また、約6割の男性が更年期症状について「周りに言いにくい」(63.0%)、「更年期症状があっても認めたくない」(58.0%)と答えています。

男性の更年期症状への正しい認識がより広まってほしいかと聞くと、男性の76.0%が正しい認識の広まりを望んでいることがわかりました。

更年期の男性は、疲れやすいなどの症状を抱えながら周囲に気づかれないようにしていることが多いようです。一方で、周囲には正しい認識を持ってほしいと思っているようです。

男性更年期にある男性の気持ちを知ろう

この調査に対し、日本初の男性外来「メンズヘルス外来」を立ち上げ、泌尿器科医療を行っている堀江重郎先生は次のようにコメントしています(一部抜粋)。

堀江さん 今回の調査結果から、男性の更年期症状を取り巻く環境には、「言いにくい」「認めたくない」「対処法がわからない」という3つの課題があることがわかりました。

なぜ、認めたくないのかといえば、男性は自分が更年期であることを認めてしまうと、加齢を受け入れて“現役”から遠ざかるような気がしてしまうからです。若々しくいきいき仕事をする現役世代に対し、更年期には現役を終えつつある世代というイメージがあります。

ネガティブなイメージがあると、症状を誰かに相談することが難しくなります。男性は、精神的な苦痛や肉体的な疲労を他人には訴えず、また自分でも認めないという傾向があり、その結果として対処法がわからない、という悪循環に陥りやすいのです。

更年期とは人生の前半戦は終わったことを意味しますが、決してネガティブな時期ではなく、これから人生の後半戦に向けて準備をし整える時期です。

健康問題はオープンに話し合うことで、自分に合った解決策やサポートが見つけられる可能性が高まります。無理に打ち明ける必要はありませんが、症状を知ることは大切です。男性の更年期は社会的ストレスが要因となりやすいので、何が要因かを具体的に探り、ストレスから離れるために周囲のサポートが必要な場合は、そのことを伝えてみるのも良いでしょう。

ーー周囲の人たちは、男性更年期の時期の男性がどのような気持ちなのか、察することができればいいですね。

男性の更年期障害の目安

ーー実際、上司やパートナー、家族が何らかの症状に悩んでいるのが見えても、男性更年期が原因と決めつけるのはちょっと不安ですよね。男性更年期の症状だと判断できる目安はあるのでしょうか? 男性更年期障害も診ている「Dクリニック新宿」院長の小山太郎さんに聞いてみました。

40代以降かどうか

小山さん 年齢が一つのポイントになるでしょう。40代以降の男性は、男性ホルモン低下に起因する諸症状、つまり男性更年期を認めるケースが多いです。

複数の症状がある

小山さん 症状は一つではなく、心、カラダ、性において、複数を併発することが多いのが男性更年期の特徴です。心の症状としてはイライラ、不安、うつなどに加えて睡眠障害を認めるケースがあります。

うつでも食欲はある

小山さん うつになると食欲は低下しますが、男性更年期では食欲は保たれているケースが多いです。

男性更年期ならではのカラダの症状がある

小山さん カラダの症状としては、関節の痛みや発汗、ほてり、以前と同じような運動量や食事量にもかかわらず太りやすくなる、筋力がつきにくくなるなどが挙げられます。

性関連の症状がある

小山さん 性機能関連の症状としては性欲低下、勃起力の低下、夜間睡眠時勃起の減少などが認められます。

男性ホルモンを増やすことが有効

ーー男性の更年期症状には、どんな対処法があるのでしょうか?

小山さん 男性更年期については、男性ホルモンであるテストステロンの補充療法が効果的です。具体的には筋肉注射や塗り薬の処方を行います。また日常生活で男性ホルモンを低下させない工夫や、少しでも増やすような工夫をすることも意味があります。

ーーそこで小山さんに、男性ホルモンを低下させる行動と向上させる行動をそれぞれ教えていただきました。

男性ホルモンを低下させる行動

小山さん 睡眠不足、夜更かし、飲酒、肥満、ストレスは男性ホルモンを低下させます。

男性ホルモンを向上させる行動

小山さん 筋トレは男性ホルモンを増やします。

また、男性ホルモンのテストステロンを増加させるという報告がある食べ物がいくつかあります。亜鉛を含む牡蠣などの貝類、ビタミンB1を含む肉類、アリシンを含む玉ねぎやにんにく、唐辛子のカプサイシンなどです。男性ホルモンの原料はコレステロールという脂質ですので、脂も適度に摂取することが重要です。

楽しい時間や居場所を持つことも男性ホルモンの増加につながります。

ーー男性ホルモンを増やす方法はたくさんあるものなんですね。

小山さん これらのことを踏まえ、周囲が協力できることがあれば実践してみると良いでしょう。男性更年期の存在を知らない方もまだまだ多いので、職場の方であれば、そういった啓蒙活動を職場で行うことも意味があると考えます。

ーー男性更年期に当たる男性たちの症状や思いとともに対応方法をご紹介しました。男性当人にとっても、どんな症状が出るのかは未知のこと。今回の内容を踏まえながら、ぜひ上司やパートナー、家族に配慮ある接し方をしたいですね。

Information

教えてくれた人…小山 太郎(こやま・たろう)さん

Dクリニック新宿院長。2001年慶應義塾大学医学部卒。慶應義塾大学形成外科を経て2009年にDクリニック東京(旧 城西クリニック)に入職。2021年よりDクリニック新宿院長に就任。

コメント引用…堀江 重郎(ほりえ・しげお)さん

泌尿器科医、医学博士。順天堂大学医学部 泌尿器外科学講座・遺伝子疾患先端情報学講座・デジタルセラピューティクス講座 主任教授。

(C)Zinkevych/Getty Images

文・椎原茜

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