1. トップ
  2. 恋愛
  3. 「あんなに価値観が合っていたのに…」 “結婚に向けた話し合い”で別れた30代カップルに“足りなかったもの”

「あんなに価値観が合っていたのに…」 “結婚に向けた話し合い”で別れた30代カップルに“足りなかったもの”

  • 2023.1.5
  • 497 views
「話し合い」さえすれば安泰? それとも…
「話し合い」さえすれば安泰? それとも…

結婚前の意見の擦り合わせ、要望出しはとても大切です。人生を共に生きる相手なら、お互いの価値観をしっかりと認識しあっていなければいけません。それをせず、感情の高まりに任せて結婚し、トラブルとなり、果ては泥沼離婚……という夫婦を何組も見てきました。

しかし、話し合いをすればそれでいいのかというと、「それはまた別」といったこともあるようです。それぞれのパターンを見ていきましょう。

お互いの思い込みが不幸な結果に

雅美さん(36歳、仮名)と幸則さん(38歳、同)はマッチングアプリで出会いました。結婚を強く望んでいた2人だったので、意気投合し、お付き合いからわずか6カ月で結婚しました。雅美さんは「結婚したらすぐに子どもをつくるのは当然」という思考。年齢的にも今しかありません。

しかし、幸則さんの意見は違いました。お互いの収入があって生活が成り立つのだから、「子どもが欲しいならしっかりと貯金をしてから」と言うのです。結婚当時34歳だった雅美さんは「年齢的に不安がある」と伝えますが、生活レベルを絶対に変えたくない幸則さんは納得しません。「1年かけて2人で貯金をして、それから妊活しよう」とかたくなです。雅美さんはしょうがなくそれを受け入れました。

ところが1年後、幸則さんの会社の業績が悪化し、彼は年収を下げて転職。幸則さんは余計に、子どもをつくることに及び腰になります。転職したばかりで仕事がうまくいくか分からない中、雅美さんの収入がなくなるのは不安なので、「また1年、様子を見させてほしい」と言うのです。夫の優しい性格も慎重なところも大好きな雅美さんでしたが、子どもが欲しいという思いが人一倍強くあるため、真剣に悩むようになります。

そして、彼女はとうとう暴挙に出ます。離婚を視野に入れ、マッチングアプリで再婚相手を探し始めたのです。

「子どもが欲しいんです。不妊治療をして、結局妊娠できなかった先輩たちの話を聞いていると怖くて。不妊治療はできればしたくない。お金がかかって難しいから。

彼のことは大好きです。でも、自分の子どもを産むという夢には代えられません。『結婚を望んでいる彼だから当然、すぐに子どもも欲しいと思っている』と思ったのが間違いでした」

離婚したら、妊活どころか再婚活動を開始しなければいけないのに。常識から外れた行動に気付かないほど焦る雅美さんに、私は注意を促しました。

雅美さんは結局、離婚はしないまま、子どもがいない結婚生活を続けています。

「離婚しても、また結婚してくれる相手がアプリですぐ見つかるか分からない。子どもは欲しいので、生活費を削ってでも子どもをつくりたいと夫に言ってはいますが、2人とも、その話題に疲れてきました」と元気がない様子でした。

話し合いをし続けた結果、別れることになった2人

由利さん(34歳、仮名)と太一さん(35歳、同)は、2人とも真面目な性格。何をするにもきちんと調べて行う慎重派です。「先行き不安な世の中で子どもをつくるなんて、子どもがかわいそう」という意見が一致し、結婚を視野に入れたお付き合いをスタートさせました。

金銭感覚も一致していた2人は、「無駄な出費は抑えてそれぞれの趣味に使う」「地価が不安定なので、家を購入する必要はない」という意見も一致。さらに、「お互いの時間を大切にして、週末のどちらか1日は1人で過ごす」「家事は、得意な方がそれを担当し、“名もなき家事”も書き出して分担を決める」など、結婚に向けて細かいルールをつくり続けました。

日常生活の細かなことから将来のことまで、話し合いを続けた2人。しかし、お互いの家族との付き合い方について話が進んだところで、意見が衝突します。

一人っ子で家族仲がとてもよかった太一さんは、「お正月やお盆は実家で過ごしたい」と言いました。ところが、3人姉妹で家族仲も特によくなかった由利さんは、季節ごとに実家に帰ることなど考えていません。太一さんは「僕の実家に行けばいい」と言いますが、「せっかくの休みに気を使いたくない」と由利さんは嫌がります。

「結婚しても子どもをつくらないのだから、夫婦2人が仲良くしているところを親に見せて安心させたい」「ゆくゆくは一緒のお墓に入るのだから」と説得に出る太一さん。しかし、お墓の話でまた揉め事が大きくなります。

夫側のお墓に入るつもりなどなかった由利さん。「太一さんの家のお墓に入るつもりはない」「お墓に入るという概念がないので、散骨をしてほしい」と言います。具体的に考える慎重派の太一さんは、「一人っ子だからお墓を守る義務があるし、親のお墓に入りたいと思っている」「自分が死んだら、お寺に管理してもらうようにするつもりだった」と話します。2人の意見は決定的に食い違い、平行線でした。

「事実婚だったらお墓問題は解決するし、事実婚でいいのではないか」と由利さんは伝えました。しかし、やはりお盆やお正月の過ごし方に納得がいかない太一さんは、「それが積み重なって最終的に別れる可能性があるなら、もう今の時点で別れる」という意見でした。

「あんなに価値観が合っていたのに、もったいないと思います。実家とお墓の問題さえなければ。私も彼も頑固で、相手に合わせるということができなくて。もし合わせてしまったら、それがストレスになって結局けんかになるかも。また、あの時間をかけて一からパートナー探しをするのかと思うと、もう結婚はしなくていいかなあと思っています」

この2つのカップルは“あるある”な事例です。「話し合いをする」ことは、お互いの価値観やそれまで経験してきた時間、家族への思いを共有するということです。「あなたはあなた、私は私」で、おのおのを認めて受け入れることができればOKですが、由利さんのように「受け入れない」気質であれば、結婚してもぶつかることでしょう。

お互いを受け入れられない2人が人生を共に歩んでも、よい未来が築けるとはとても思えません。「受け入れたくないけど、好きだから許しちゃう!」くらいの寛容性を持つと、結婚相手の選択の幅は広がります。ただし、その「許しちゃう」愛情が永遠に不滅でないと、次の沼にはまります。

嫌いな食べ物でも、好きな相手が箸で口に入れてくれれば、笑顔で食べてしまえるように、話し合いの結果、たとえ納得できないことが多かったとしても、愛情を絶やさずに注いでいればラブラブ夫婦でいられるともいえます。愛は、ソリューションツールとして最強なのです。

「恋人・夫婦仲相談所」所長 三松真由美

元記事で読む
の記事をもっとみる