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12月の手紙やメールで使いたい「季節の美しい日本語」

  • 2022.12.3
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12月は冬本番の中、1年の終わりに向かう時期。日本には、その季節に合った美しいことばがたくさんあるので、手紙やメールに季節を感じることばを使うと、心が和みやさしい気持ちになれるでしょう。そこで、各月に使いたいことばを3つずつ、和文化研究家の三浦康子がご紹介します。12月は「風花」「一陽来復」「年の瀬」です。

12月の美しい日本語~風花(かざはな)

あちらこちらで雪が降るころ。二十四節気でも12月7日に大雪(たいせつ)を迎えます。四季折々の美しさを「雪月花」というように、雪には独特の魅力があり、それを表す言葉もたくさん生まれました。

「風花(かざはな)」とは、風上の降雪地から、風にのって流されてきた雪のこと。晴れているのに花びらが舞うように雪がちらちらと降る様子は、儚く美しい光景です。雪の別名には雪を花に見立てたものも多く、「雪花(せっか)」、「銀花(ぎんか)」、六角形の雪の結晶からくる「六花(ろっか)」、香りのない花という意味の「不香の花(ふきょうのはな)」などがあります。

また、めでたいときに降る雪やめでたい予感がする雪を表す「瑞雪(ずいせつ)」、積雪で周囲が明るい様子を表す「雪明かり」、枝や屋根から落ちる雪を表す「しずり雪」なども、知っていると一目置かれる雪の言葉です。

<例文>

  • 昨日は風花が舞い、儚くも美しい光景に見入ってしまいました。
  • 今日は瑞雪となりましたね。受賞おめでとうございます!
  • 起きてみたら銀世界。静寂の中、しずり雪の音が響きます。

12月の美しい日本語~一陽来復(いちようらいふく)

今年は12月22日が冬至です。冬至は1年でもっとも日が短くなり、翌日から日が伸びていくため、冬至を境に太陽の力が蘇り、生きる力も回復すると考えられました。冬至は陰(いん)が極まり陽(よう)に返る日なので「一陽来復(いちようらいふく)」といい、上昇運に転じる日とされています。「一陽来復」という言葉には、冬至、冬が去って春が来ること、新年がくること、悪いことが続いたあとで幸運に向かうこと、といった意味があります。

冬至にゆず湯に入ったり、かぼちゃを食べたりする風習があるのは、希望に満ちた日とされているからです。ゆず湯には、血行促進や冷えの予防に効果的だという健康面と、ゆずの強い香りで邪気を払って心身を清めるという文化的な意味があり、冬至にゆず湯に入ると風邪をひかないといわれています。ゆず湯に浸かって「一陽来復」と唱えると更によいそう。ゆずは実るまでに長い年月がかかるため、苦労が実るようにとの願いも込められています。

冬至にかぼちゃを食べるのは、「ん」(運)のつくものを供えて食べる「運盛(うんも)り」の風習に由来します。にんじん、れんこんのように「ん」が複数あるとさらに運気が上がるそう。かぼちゃは別名「南瓜(なんきん)」で、「北(陰)から南(陽)に向かう」に通じるため、運盛りの代表格になりました。かぼちゃは保存がきくので、野菜の少ない冬に栄養をとる知恵でもあります。

<例文>

  • 今夜は柚子湯に入って「一陽来復」と唱えたいと思います。
  • 今日は冬至ですね。一陽来復、運が向いてきますように!
  • うまくいかないことが続きましたが、一陽来復の兆しを感じています。

12月の美しい日本語~年の瀬(としのせ)

「年の瀬」とは、「年の暮れ」「年末」「歳末」を指す言葉です。年の瀬の“瀬”は、川の瀬に由来し、流れが速いところという意味。慌ただしく過ぎていく年の暮れを思うと、じつに上手い表現です。

年の瀬は日にちが決まっている言葉ではないので、12月中に使えますが、慌ただしい時期を意味しているので、12月の中旬以降に使ったほうがしっくりくるでしょう。

なお、年の瀬には年末という意味があるとはいえ、具体的な日にちが決まっている言葉ではないので、打ち合わせなどで「年の瀬までに」などと言うのはNGです。

<例文>

  • 年の瀬が近づき慌ただしくなってまいりました。
  • 年の瀬を迎え、正月商戦の準備でお忙しいことと存じます。
  • 年の瀬も押し迫ってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

一年の締めくくりとなる12月。風流な言葉を師走に生かしてみてください。

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