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森田成一が追い続ける、「BLEACH」黒崎一護の理想の声「僕はずっと、一護に困らされています(笑)」

  • 2022.12.3
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森田成一 撮影=三橋優美子/スタイリスト=ちなみちよ/ヘア&メーク=河口ナオ
森田成一 撮影=三橋優美子/スタイリスト=ちなみちよ/ヘア&メーク=河口ナオ

【写真】森田成一、横顔がクールな1枚

アニメ「BLEACH」が10年ぶりに再始動。「BLEACH 千年血戦篇」(毎週月曜深夜0:00-0:30ほか、テレビ東京系ほか)として最終章が、とうとう映像化された。しかも声優陣は続投。これはもう、アツくならずにはいられない。主人公の黒崎一護の声を担当する森田成一に再始動への思い、そして「BLEACH」への思いを聞いた。

「物語が終わってしまうという“恐怖”を感じた」

——「BLEACH」が復活すると聞いた時は、どう感じましたか?

実際に聞いたのは、数年前でした。うれしいという気持ちと同時に、漠然とした恐怖みたいなものを感じたことを強く覚えています。「千年血戦篇」で「BLEACH」が完結するのはわかっているので、これで物語が終わってしまうという恐怖。今までに、長く携わってきた作品の終わりを迎えたことがないので、一緒に歩んできたキャラクターが自分の中からなくなってしまう、という恐怖があったのかもしれません。

「やっぱり僕は死神代行ではなく、人の子なんでしょう(笑)」

「BLEACH 千年血戦篇」ビジュアル (C)久保帯人/集英社・テレビ東京・dentsu・ぴえろ
「BLEACH 千年血戦篇」ビジュアル (C)久保帯人/集英社・テレビ東京・dentsu・ぴえろ

——10年ぶりのアニメのアフレコでは、どんなことを感じましたか?

収録日が決まり、当日までは緊張しないだろうと思っていたんですけど、どこか緊張していたみたいですね。家で何かしていても、ふと「BLEACH」のことを考えちゃって、「あ、そうだ、これをやってる途中だった」と我に返ったり。やっぱり僕は死神代行ではなく、人の子なんでしょう(笑)。

当日は行木竜ノ介役の山下大輝くん、斑目志乃役の瀬戸麻沙美さんという初出演のキャストと収録することになり、「BLEACH」なのに「BLEACH」じゃない、みたいな感覚でした(笑)。彼らの瑞々しい演技を聞いて、スタッフさんに「すみません…2人の演技なんですけど…」と言ったら、場が凍ってしまって。“座長自ら、若い子の演技に文句を付けに来たぞ”と思われたのかもしれません(笑)。でも僕が、「2人の瑞々しい演技と比べて、僕の演技はいらんベテラン感が出てませんか?」と続けたら…スタジオ、大爆笑です(笑)。そこで音響監督の長崎(行男)さんが一言、「いや、森田くんは若いよ!」。なんてフォローを入れてくれて(笑)。忘れられない第1話になりました。

「“BLEACH脳”ができてしまっている」

 「BLEACH 千年血戦篇」ビジュアル (C)久保帯人/集英社・テレビ東京・dentsu・ぴえろ
「BLEACH 千年血戦篇」ビジュアル (C)久保帯人/集英社・テレビ東京・dentsu・ぴえろ

——久しぶりに演じて、すぐ一護の声を出せるものなのでしょうか。

前アニメシリーズが終わった直後にリリースされたアプリゲーム(「BLEACH Brave Souls」)がずっと続いていたので、一護の声は切れ目なく出していた印象です。出演者全員、そうだったと思います。ですがゲームだとセリフがどうしても必殺技や一言だけになり、会話劇がありません。会話劇をするのは、久しぶりでした。そこは、少し戸惑った瞬間もありましたね。

でも、他のキャラクターの声が聞こえてくると耳が覚えているのか、“その声が聞こえるとこの声が出る”と条件反射みたいになっていて。折笠富美子さん(朽木ルキア役)も「みんなの声が聞こえてくると、自然と自分の出すべき声が出てくる」と言っていました。アニメは7年半やっていましたし、その後も一護を演じ続けていたので、“BLEACH脳”ができてしまっているのかもしれません。

——TVアニメ「千年血戦篇」、第1話から最高でした。特に黒崎一護・井上織姫・石田雨竜・茶渡泰虎の4人が揃ったシーンは、胸アツ過ぎて…。

実は僕、今回の取材では逆取材というものをしているんです(笑)。インタビュアーの方々に「見てみて、いかがでした?」と聞いているんですけど、みなさん声をそろえて「現世チームが出てきたところで感動した」と言うんですよ。なぜなんでしょう?

——「BLEACH」で青春を過ごしたという人にとって、あの4人は象徴的存在だと思います。「彼らが帰ってきた!」って、なりますよね。

studioぴえろさんも喜ぶことでしょう(笑)。ただですね…、どのメディアも、まだこの逆取材を記事にしていないんですよ。ザテレビジョンさんにはぜひ、逆取材を受けたことを書いていただきたい!(笑)

「“アイツ”と僕がオーディションで戦ったら、真っ先に落とされるのは僕」

 「BLEACH 千年血戦篇」ビジュアル (C)久保帯人/集英社・テレビ東京・dentsu・ぴえろ
「BLEACH 千年血戦篇」ビジュアル (C)久保帯人/集英社・テレビ東京・dentsu・ぴえろ

——はい、書きます!(笑) では、森田さんにとって、黒崎一護というキャラクターはどう映りますか?

本当に難しいキャラクターで…。行けども行けどもフックとなるものが見えづらい。他のキャラクターはどこかしらあるんですよ、自分の手をかける場所が。でも一護は手をかける場所がなく、ずっと悩み続けているこの10数年です。

一護の思考は普通の主人公とちょっと違っていて、先の先の先を読んで話すことが多い。その分、一護の言動を周りは理解できないままということが多く、最後の最後になって意味がわかる。とても思慮深い人なんですけど、普通の考え方だと彼の脳みその中をたどることができないんですよ。それゆえ、一護の「俺はこうする」という言動にどうして行き着いたのか、はじめはわかりません。その意図が明かされるのは、もっと先だから。結果、「その答えが合っていないと、ここの演技ができない」という状況に陥るんですよね。僕はずっと、一護に困らされています(笑)。みなさんにとっては慣れ親しんだ声になってもらえていたらうれしいのですが、僕が理想とする黒崎一護の声にはまだ遠いんです。

——それは驚きです。森田さんの中では、どんなイメージなのでしょう?

うまく表現できないんですよね、○○みたいな声というのはなくて…。ただ、僕が理想とする黒崎一護の声を出せる声優さんは1人もいないと思います、自分も含めて。今でも「BLEACH」を読む時は、僕だけの黒崎一護の声で読んでいます。もしその声と僕がオーディションで戦ったら、真っ先に落とされるのは僕です。それくらい、“アイツ”はすごいんですから。ある意味、僕の内なる虚(ホロウ)ですよ(笑)。

一護の声自体、その声に近づけようと専用に開発して作ったものなので、特殊な出し方をしています。空気の出し入れや喉の形を一護用に開発したんですけど、「死神代行篇」の第1話の時点ではまだその音ができあがっていないから、今の声と全然違うんですよ。「死神代行篇」の第1話と「死神代行消失篇」の第366話を見比べていただければ、分かりやすいと思います。卍解するあたりでやっと“ここがひとつの到着点”と思えるところにたどり着き、楽に声を出せるようになりました。頭の中の一護とはちょっと違うんですけど、今の声で浸透しているので途中で変えるわけにもいかないし、そのまま続けています。

——人気キャラクターの多い「BLEACH」ですが、森田さんが「千年血戦篇」で注目しているキャラは?

「千年血戦篇」って、オールスターじゃないですか。総決戦なので本当に難しいんですけど、一護以外で好きなキャラクターは昔から山本元柳斎重國です。あまりにもかっこいいですよね、強いし。最初は杖をついていたから、みんな「総隊長だけど、もう一線を退いているんだろうな」と思ったはず。ところが、脱いだらすごい(笑)。しかも、炎熱系最強にして最古の斬魄刀“流刃若火”を持っている。「千年血戦篇」での山本元柳斎重國とユーハバッハの戦いはものすごい迫力で、これほどすごい死神の戦闘がかつてあったか、と思ったくらいでした。

「恋次役の(伊藤)健太郎とは異様にウマが合う」

森田成一 撮影=三橋優美子/スタイリスト=ちなみちよ/ヘア&メーク=河口ナオ
森田成一 撮影=三橋優美子/スタイリスト=ちなみちよ/ヘア&メーク=河口ナオ

——それでは、「BLEACH」の中で一番好きなセリフは?

尸魂界(ソウル・ソサエティ)篇で阿散井恋次と戦い、傷ついた彼に「ルキアを護ってくれ」と頼まれて、答えた一護の「ああ」が大好きなんですよね。重要な一言で、言うのはとても大変でしたが、一緒にアフレコしていた恋次役の伊藤健太郎に「最高の『ああ』だったね」と言われました。健太郎とは異様にウマが合って、初めて彼とユニゾンで言ったセリフ「俺の魂だ!」はリハなしの一発本番でピタッと合ったほど。

「千年血戦篇」でも恋次とユニゾンで言うセリフがあるんですけど、一護と恋次のセリフがかぶるところが多いから、別の部屋でアフレコすることになるだろうと思っていました。ところが現場スタッフの「ライブ感が見たいから、同じ部屋でやりとりしてほしい」という粋な計らいにより、一緒に収録することができて。実際にやってみたら会話の呼吸もユニゾンも、ものの見事にビタッと合う。初めて見た人は驚いていたし、昔からいるスタッフには「すっごくうれしかったです!」と言われました。

もう一つ…、「死神代行消失篇」の最終回は一護の「またな」というセリフで終わるんです。そう約束しておいて、「千年血戦篇」の最初のセリフが「さて、と」なんですよね。この腰を上げる感じが、一護らしくていいなと思います。

——では、最後に「千年血戦篇」の注目ポイントを、教えてください!

まず、映像の美しさを体感していただきたい! 10年経ったらここまで技術が革新していたという事実に、僕は驚きました。たった10年ですけど、こんなにも技術が上がったのかと。studioぴえろの技術を総結集し、「かつてない映像美を作り上げるぞ」という気概のもとに制作しています。

そして、その映像美に負けない音。“この音場ではどういう響きになるのか”というところまで細かく計算して、作られています。そこもしっかり、感じてもらいたいですね。

あとはみなさんもご存知でしょうが、物語の素晴らしい構築性。久保先生が作られた物語をアニメ制作陣がどう解釈し、作っていくのか。みなさんが原作を読んで想像していたものを、スタッフの人たちが素晴らしくクリエイティブな考えで表現しているので、注目していただきたいなと。僕自身は、いらんベテラン感が出ないように頑張ります(笑)。

◆取材・文=篠崎美緒

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