1. トップ
  2. おでかけ
  3. 【東京都有楽町】江戸・明治の市川團十郎が浮世絵の中で蘇る!「市川團十郎と歌川派の絵師たち」展開催

【東京都有楽町】江戸・明治の市川團十郎が浮世絵の中で蘇る!「市川團十郎と歌川派の絵師たち」展開催

  • 2022.11.28
  • 298 views

歌舞伎役者・市川團十郎三代を描いた歌川派の浮世絵を集めた「市川團十郎と歌川派の絵師たち」展が、東京・有楽町朝日ギャラリーで、11月26日(土)〜12月13日(火)の期間開催中だ。

「浅井コレクション」から50点余りを展示

市川團十郎は江戸時代、単なる歌舞伎役者ではなく、成田不動尊の信仰や御霊信仰とも相まって「江戸の守護神」「役者の氏神」と見做され、神仏の権化であるかのように神聖視されたとされる。

「市川團十郎と歌川派の絵師たち」展では、120年以上の歴史を持つ日本有数の「浅井コレクション」からの50点余りを展示。江戸後期から明治にかけて江戸歌舞伎を「核身」として牽引した七代目、八代目、九代目の團十郎の雄麗姿が、歌川国貞、歌川国芳、豊原国周らにより、激動期の気分を含んだ躍動的な絵筆で捉えられている。

同展は、東京・歌舞伎座で上演中の十三代目市川團十郎白猿氏の襲名披露興行を寿ぐ企画でもある。

團十郎三代の絵をストーリー仕立てで陳列

今回展示される53点を見てみると、苦悶しつつも獅子奮迅の気迫で、江戸歌舞伎を支え抜いてきた七代目、八代目、九代目團十郎が躍動している。浮世絵師は初代歌川国貞(後の三代目歌川豊国)、今人気沸騰中の歌川国芳、豊原国周らで、芝居絵・役者絵をよく描いた国貞、国周作品が目立つ。

[caption id="attachment_798957" align="aligncenter" width="600"]

豊原国周作「与衆同楽」(1887年)。「勧進帳」の一場面。Ⓒクールアート東京 無断転載厳禁※データ保護のためあえて画質を低下させています。[/caption]

注目の作品は、十三代目の襲名披露興行の演目でもある「勧進帳」「助六」など「歌舞伎十八番」の浮世絵。八代目を描いた国貞の「助六」、九代目を描いた国周の「勧進帳」は必見だ。

役者や絵師の個性を見比べる楽しみも

浮世絵からは、目も顎も鋭く苦味走った印象の七代目、粋で上品で色気も愛嬌もある江戸一番の人気者・八代目、大振りな顔と強烈な双眸の九代目といった面貌の個性の違いも見て取れる。

粋や伊達といった江戸の美意識をビターな感覚で描いた国貞、「武者絵」で知られながらも奇抜な構図・画想で、描線はどこか丸みを帯びて現代のマンガに通じるタッチを見せた国芳、西洋化が急ピッチで進む明治時代にたっぷりと豊かにかつ上品に仕上げた国周。こうした絵師の個性の差を見比べるのも面白そうだ。

良好な保存状態で色彩が鮮烈

[caption id="attachment_798958" align="aligncenter" width="338"]

Ⓒクールアート東京 無断転載厳禁[/caption]

これらの浮世絵は保存状態が極めて良好で、色彩が鮮烈。所蔵する「浅井コレクション」によると、今回の展示品の多くは、これまで美術展などに出品した記録がなく、光や空気に接触することによる退色現象が起きていないという。

「浅井コレクション」は、福井県出身で大阪で書店「浅井書店」を経営していた実業家浅井勇助氏が1897年ごろに創設。幕末・明治の激動期の気分を反映し、背景に物語を感じさせる作品を収集したといい、浮世絵を約3万枚所蔵している。

肉薄する危機に、したたかに、華やかに抵抗し、逆境をはねのけて乗り越え、再び歌舞伎を隆盛へと導いていった團十郎代々。「市川團十郎と歌川派の絵師たち」展で、歴史が語りかける一つのコアなメッセージを感じてみよう。

展覧会は、博物館における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインなどに沿って開催されるので、来場の際は協力を。

■「市川團十郎と歌川派の絵師たち」展 会期:11月26日(土)〜12月13日(火) 会期中無休 開館時間:11:00〜18:00 入場は閉館の30分前まで 会場:有楽町朝日ギャラリー 住所:東京都千代田区有楽町2-5-1 有楽町マリオン11階 観覧料:一般1,500円、高校・大学生1,000円(税込)、中学生以下無料 URL:https://www.sunm.co.jp/dankuni/

(山本えり)

元記事で読む
の記事をもっとみる