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事故で大けが、家族死亡、多額の「保険金」を受け取った…「年末調整」で必要な手続きは?

  • 2022.11.25
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多額の保険金や入院給付金を受け取った場合、どのような手続きが必要?
多額の保険金や入院給付金を受け取った場合、どのような手続きが必要?

11月を中心に、会社員や公務員が勤務先に書類や証明書を提出して、行われるのが「年末調整」です。病気や事故によるけがに備えて、生命保険に加入している人も多いと思いますが、年末調整の際に「生命保険料控除証明書」を提出すれば、年間の生命保険料の支払金額に応じた所得控除を受けることができます。

生命保険の契約内容によっては、家族が亡くなったり、病気や事故で入院したりした場合に多額の保険金や入院給付金を受け取る可能性があります。多額の保険金や入院給付金を受け取った場合、年末調整ではどのような手続きをする必要があるのでしょうか。ファイナンシャルプランナーの長尾真一さんに聞きました。

入院給付金などは非課税

Q.年末調整の対象者について、教えてください。労働者(パート、アルバイト含む)、会社経営者、個人事業主を問わず、働いている人すべてが対象になるのでしょうか。また、確定申告とは何が違うのでしょうか。

長尾さん「年末調整は毎月の給与などから源泉徴収された所得税額と、本来納めるべき所得税額の差額を調整(精算)する手続きです。従って、経営者や正社員、パート・アルバイトなどの雇用形態にかかわらず、基本的に給与所得を得て源泉徴収をされている人は、年末調整の対象になります(厳密には『給与所得者の扶養控除等(異動)申告書』を提出している人)。

ただし、給与収入が2000万円を超える人は年末調整の対象外なので、確定申告を行う必要があります。また副業による所得が20万円を超える人や、2カ所以上から給与をもらっている人でメインの給与以外の所得が20万円を超える人なども確定申告をしないといけません。給与所得者ではない個人事業主も年末調整の対象外です。

年末調整は勤務先の会社が本人の代わりに申告、納税する手続きであるのに対して、確定申告は納税者本人が自ら所得を申告し、税金を納める手続きです。また年末調整はその名のとおり年末の11月中旬から12月に行うのに対し、確定申告は翌年2月16日から3月15日までの間に行います」

Q.給与収入が2000万円を超える人などのほかに、年末調整では手続きできず、確定申告が必要なケースはありますか。

長尾さん「例えば、住宅ローンを組んで家を購入した場合、住宅ローン控除を受けるためには、控除を受ける最初の年に確定申告をする必要があります。年末調整では、手続きできません。また年間の医療費が10万円もしくは所得の5%を超えて医療費控除を受ける場合や、株取引などで損失が出て3年間の繰り越し控除を受ける場合なども確定申告が必要になります。

これらの場合は、確定申告をしないと控除が受けられないので、多少手間が掛かっても確定申告をした方がよいと言えます」

Q.生命保険や医療保険に加入している場合、年末調整のときにどのような控除を受けられるのでしょうか。また、一度に多額の保険金や入院給付金などを受け取った場合、勤務先にその旨を報告しなければならないのでしょうか。

長尾さん「生命保険や医療保険に加入して保険料を支払っている場合、加入している保険によって『新生命保険料控除』『介護医療保険料控除』『新個人年金保険料控除』が受けられます。控除額はそれぞれ最高4万円で、3つの控除を合わせて12万円が上限です。

控除証明書は加入している保険会社から発行されるので、その控除証明書を年末調整のときに勤務先の会社に提出します。これらの生命保険料控除は、保険金や入院給付金を受け取った年でも受けることができます。

なお、金額にかかわらず、勤務先に保険金や入院給付金を受け取った旨を報告する必要はありませんが、死亡保険金を受け取った場合は、その契約形態や受け取った保険金額によっては課税の対象となるので、その場合は年末調整ではなく、確定申告をしなければならないことがあります」

Q.死亡保険金を受け取った場合、どのような税金がかかるのでしょうか。

長尾さん「死亡保険金は契約者、被保険者(保険をかける対象者)、保険金受取人が誰であるかによって、対象となる税金の種類が異なります。

(1)契約者、被保険者が夫で、受取人が妻の場合は『相続税』(2)契約者が夫、被保険者が妻、受取人が子どもの場合は『贈与税』(3)契約者、受取人が夫で、被保険者が妻の場合は『所得税』

所得税がかかる場合、年末調整では税額の精算は行われないので、確定申告を行う必要があります。また相続税や贈与税の対象となる場合、受け取る保険金額とその他の相続財産、贈与財産の額によっては、相続税や贈与税の申告を行う必要があります。

なお、相続税の申告は被相続人の死亡を知った日から10カ月以内、贈与税の申告は1年間分の贈与について翌年2月1日から3月15日までの間に行う必要があります」

オトナンサー編集部

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