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日本でも盛り上がりを見せる、現代美術アート・オークションに潜入!

  • 2015.11.6
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1)アート・オークションとは?

 

“高額なアート作品が取引されていて一般人は入れない?”というイメージから、日本国内ではあまり馴染みのない「アート・オークション」の世界。いったいどんな場所で行われていて、どんな作品が入札されているのか?この目で確かめるべく見学に行って来ました!

今回、お邪魔したのは、10月24日(土)天王洲アイル駅より徒歩3分程の寺田倉庫「Terratria(テラトリア)」で開催された、SBIアートオークションの現場「第16回現代美術オークション」です。

日本の現代美術は、これから世界中で活躍しそうな作家が多く発掘され、将来的にどんどん伸びそ うなジャンルの市場です。出品作品は、海外でも有名な草間彌生さんのものから、若い方々に人気の奈良美智さんや名和晃平さんなどを含む、約 400 ロットもの現代美術作品が並びます。 

また、手に入りそうな価格から、驚くほどの価格まで様々です。アート作品の価格には時代背景や評価などによっても変動があるので、その価値を知識として知る だけでも勉強になります。 

 

 

まずは、受付へ。

現代美術のオークションでは定評ある、SBI のアートオークションは 3 ヶ月に一度のペース で開催されています。

作品の詳細は、 カタログや WEB オンラインカタログでも確認することができます。

また「下見会」なるものがオークション前に開催され、実際に作品の状態などを確認することができます。ます。

 

 

今回の出品作品が掲載されたカタログ。(写真手前) 

 

 

 

入ってすぐに広がる今回の出品作品群。

 

 

奥のフロアにもたくさんの作品が。 

 

 

下見会でこれだけの作品を一気に見るだけでも価値があります。 

 

 

海外で人気のある作家の作品も多く見受けられました。

下見会の当日は、運良く「第 56 回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展 2015 年」で日本館の展示 を企画・キュレーターした、中野 仁詞氏(神奈川芸術文化財団学芸員)のセミナーも開催されてい ていました。

ヴェネチア・ビエンナーレの日本館キュレーター指名コンペティションの裏話や、展示テーマ「掌の鍵—The Key in the Hand—(塩田千春 作)」のコンセプトがどのように誕生したか…など、 とても興味深いお話を聞くこともできました。

(第 56 回ヴェネチア・ビエンナーレ国際展示展 日本会館 HP: http://2015.veneziabiennale-japanpavilion.jp/ja/)

このように、オークション開催にあたり貴重なセミナーも無料で開催している場合があり、下見会で作品を鑑賞し、セミナーに参加するだけでも十分にアートを楽しむことができます。

 

 

 

2)オークションに関する素朴な疑問 Q&A!

 

オークションを見学する前に、まずは素朴な疑問を解決するため、
SBI アートオークションの加 賀美さんに質問しました。

 

Q:どんな方がオークションに参加していますか?

A:ディーラーの方もいらっしゃいますが、一般の会社員の方から会社役員さん、
主婦の方など色々な職業の方が参加しています。
収集や将来的な投資を目的とされる方もいらっしゃいますが、純粋にアートが
好きで楽しみたいという目的で参加される方も多くいらっしゃいます。
特に参加資格を 設けてはいませんので、反社会的勢力でなければどなたでもご参加いただけますできます。

 

Q:まずは下見会に参加してオークションを見学するだけでもいいですか?

A:もちろん OK です! 気軽に立ち寄ってみてください。

 

Q:オークションに出品される作品とは?

A:作品は一度世の中に出たもので、市場価値がついているものに限ります。
例えば一般の方が自 分の作品を売り込みに来ても、出品することは難しいです。

 

Q:どれくらいの数が出品されますか?

A:オークションの出品数は、ロット番号で表記されます。
だいたい、1度のオークションで約 300 〜400 ロットもの作品のせりが行われます。

 

Q:では、実際に参加してみたくなったら?A

A:初回のみ「お客様登録」が必要となりますので、所定の用紙に記入していただいて、
身分証の コピーをいただいています。一度ご登録いただけば、
次からはお名前を言っていただくだけでご参 加いただけます。 

 

Q:どんな作品を入札すればいいのかわからない場合、スタッフさんにアドバイスを聞いてもいい ですか?

A:はい、もちろん!
どの作品を入札すればいいかというのは難しいですが、どんな作品が好きか、
予算がどのくらいかなどに応じて、条件に合いそうな作品をご紹介することは可能です。
また、 気になる作品の最近の相場や人気具合など、どんどん聞いていただければと思います。

 

Q:オークションに際して特に注意するような点はありますか?

A:オークションでは、落札価格(ハンマープライス)の他に落札手数料がかかります。
SBI アートオークションの場合は落札価格に 16.2%(消費税込)の手数料がかかるので、
例えば 10 万円で落札した場合、 実際にお支払い頂く金額は 11 万 6,200 円になります。
ですので、そのことも事前に考慮して、 オークションにご参加される方がいいと思います。

 

Q:落札した作品の特に気をつけた方がよい保管方法とかってありますか?

A:どんな作品も紫外線には敏感です。特に写真は、紫外線によって劣化してしまうので、
紫外線に当た らないようなケアも必要です。また、十分な温湿度管理もが必要です。
作品にカビやシミができると、次に売るときの価格に響いてきます。

 

Q:カタログ中の価格「例:60,000〜120,000」という意味は?

A:この場合、エスティメートが 6 万円~12 万円という意味です。
エスティメートというのは、だいたいこの範囲内で落札するだろ うという予想価格帯のことで、
最近の相場を見ながらオークション会社のスペシャリスト達が決めます。

 

なるほど! これだけしっかりお聞きできたので、すぐにでも参加できそうです! ありがとうございました。


3)実際にオークションを見学!

 

24 日(土)の午後 13 時にスタートしたアート・オークション。 どんな雰囲気で始まるのかとドキドキ。
開始直後は静かに進行していきましたが、1 時間も経たないうちに 入札者や見学者がどんどん増えていき、最終的には会場後方に立ち見が出るほどに。

今回は約 400 ロットの作品の入札なので、とてもスピーディーに進行。「入札しようかどうしよう…」なんて考えている時間はないので、前もって何を入札するのか計画する必要 がありそうです。 

 

 

ちなみに、本当にオークショニアがハンマーを叩いて 競 りが盛り上がる場面では、どんどんと価格があがっていき、びっくりするような金額に!

中でも盛り上がりを見せていたのは、山田正亮(1930-2010)氏の作品や、今井俊満(1928-2002) 氏の作品。

そのうちの一つは、どんどん価格がせり上がりハンマーの音と声が響き渡り、会場も大いに沸いていました。

 

オークション盛り上がるのですが、価格が高ければ高いほど、まるで夢の中の話のようで、現実味があまり無いかも知れません。

 

ですが、中には入札が一人もいない作品や 20,000 円程度の作品もあるので、良い作品をお手頃価 格で入札できる場合もあります。 それに、もしかして将来的に価値がどんどん上がっていくかも知れません。ちょっと夢がありますね。
色々と考え、アドバイスをもらいながら参加すれば、もしかして掘り出し物が見つかるかも?! 

 

 

アートオークションは海外からの入札も多数あり、オンラインや電話による同時参加も可能で、会場の右側では専任のスタッフさんが代わりにせりを行っています。
日本のアート市場は、海外のコレクターにも人気が上昇中で、これからどんどん熱くなりそうな気配です。

オークションの落札結果は、後日 WEB上にて掲載されますので、落札された価格を確認することができます。

ちなみに、今回わたしが入札したいと思った作品は、エスティメートが 「80,000-140,000円」とあって、
少しの期間何かを我慢すれば買えるかも? と考えたのですが、後半の方の入札で見届けることができず
後日改めて結果を見てみると…「299,000 円」。 これは、価値が上がってる?! ということでしょうか。 

その他の作品もカタログで落札価格を照らし合わせると、思っていたより価格が伸びていなかったり 、
びっくりするほど高かったりと驚き! でした。 新たな発見とわくわく感があって、とても身につく見学会でした。

 

 

ロビーでゆっくりお茶を飲んでくつろぎながらでもオークションの様子を確認できます。

次回、現代アートの定期的な開催は来年 2016 年 1 月 23 日になりますが、
その時には入札者とし てぜひ参加してみようと思っています!

こちらもレポートするので、お楽しみに。

 

文 / 洲本マサミ写真 / 洲本マサミ(SUMODESIGN LLC.)

 

 

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