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金属アレルギーはなぜ起こるの?医師が教える、原因や対策

  • 2022.11.22
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ピアスやネックレスを長時間つけていたら皮膚が赤くなってかゆみが出た、なんてことはありませんか? このような金属アレルギーの症状はなぜ起こるのでしょうか?「肌クリニック大宮」院長の相馬孝光先生に伺いました。

金属アレルギーの原因を教えてください。なぜ金属アレルギーが起こるのでしょうか。

人間の体は原則的に自分でないもの、すなわち「非自己」「異物」を強く拒絶するようにできています(臓器移植手術などの拒絶反応などが一例です)。この「拒絶反応」の主役は、白血球を始めとした、いわゆる「免疫系」と呼ばれる細胞・組織群です。これらの細胞・組織にとって、そもそも「外敵から人体を守る」ことが主要な目的であり、通常は細菌やウィルスといった「外敵」から身体を守る役割を果たしています。しかし、時として、細菌やウィルスではないものの、身体にとって「異物」と免疫系が判断したものに対しても強い免疫応答反応を起こすことがあります。これがいわゆる「アレルギー」という状態で、その症状は、かゆみを起こす皮膚炎からアナフィラキシーショックまで免疫応答反応の強さに応じて多岐に渡ります。ちなみに免疫系が、あるものを「異物」として認識することを「感作」といいます。特に、皮膚は、外敵から身を守るスーツの役割を果たしていて、消化管に次いで「免疫系」が発達しており、最近では、こうした人体のアレルゲン感作経路の大部分は皮膚を介していることが分かっています。「金属」も本来は人体には存在しないものなので、ピアスやネックレスなどの着用を繰り返すうちに、人によっては免疫系がその金属を異物として認識してしまうことで感作が起こり、次に同じアレルゲン(金属)が入って来た時に免疫応答反応を起こすことがあるのです。

日常でできる、金属アレルギーの対策はあるのでしょうか。

ご自分に金属アレルギーがあるかもしれないと思った場合の主な対策としては、以下の2点が挙げられます。

(1)ピアスやネックレスなど、原因アレルゲンとなるものがある程度明らかな場合

原因と思われるアクセサリーなどの着用を回避することが第一です。

(2)金属アレルギーがあると思われるが、原因アレルゲンか今ひとつ明らかでない場合

医療機関で金属アレルギー検査を受けてください。当該検査で原因金属が判明した場合、当該金属を含んでいるアクセサリーや場合によっては食物を回避する必要があります。

金属アレルギーが完治することはあるのでしょうか。

残念ながら、現在の医学では原則的に一度感作されたアレルゲンに対して、能動的にその感作を無効化できる薬剤や治療法はなく、その意味では、金属アレルギーが完治することは難しいでしょう。ときに感作が自然消退することもありますが、まれです。

ですので、現状では、感作が明らかな金属アレルゲンを常日頃から回避する対処法となるわけです。ダニやスギ花粉アレルギーでは減感作療法と言って、あえて少量のアレルゲンを身体に投与し続けることにより、体にそのアレルゲンに対する耐性を持たせるという治療法が確立されてきていますが、これはいわば「受動的」な治療法であり、また少なくとも金属アレルギーに対しては、こうした治療法はありません。

教えてくれたのは

出典: 美人百花.com

「肌クリニック大宮」院長 相馬孝光先生

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医。

さいたま市大宮区で皮膚科・美容皮膚科・アレルギー科のクリニックを運営。一般皮膚科から皮膚外科手術・美容皮膚科・アンチエイジング・医療脱毛の相談まで幅広く診療。患者さんの症状が改善して笑顔になってもらう瞬間にやりがいを感じて日々の診療にあたっている。

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