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「もう寝るよってときに、子どもは重たい告白をしがち。え、今?って(笑)」。保育者の青山誠さんとだいすけお兄さんが対談【だいすけお兄さんのパパシュギョー!・11(後編)】

  • 2022.11.11
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だいすけお兄さんが、パパやママの代わりにさまざまなジャンルの専門家からお話を聞く「だいすけお兄さんのパパシュギョー!」。 保育者の青山誠さんをゲストに迎えた今回の対談も、だいすけさんにとって共感や新たな発見がたくさんあったようです。本誌で伝えきれなかったトークをwebでご紹介。後編をどうぞ!

子どもの隣で、同じ風景を見る

青山さん(以下青山) 僕は最初に仕事を始めたとき、幼稚園の先生だったんですけど、35人全員で遊ぼうとしても、子どもたちが全然のってくれなくて。 ベテランの先生に「子どもをどう遊ばせていいかわかりません」って相談したら、「どう遊ばせよう、じゃなくて、子どもに遊んでもらいなさいよ」って。「そうしたら、子どもってこういうふうに感じて、こう生きてるんだってわかるから、そこからじゃないの?」って言われて。 その、子どもの遊びの世界にこっちがお邪魔する感覚、「あ、これが楽しいのか」と、そういうのをたくさん知っていくことが、すごく大事だと思うんです。 大人が遊んであげる必要はなくって、その子が遊んでる世界をちょっとのぞきに行ってみる、ぐらいの方がいいのかな。

だいすけお兄さん(以下だいすけ) いいですね。その方が親自身も楽しめますよね。 「こんなこと考えてるのか」とか、「こんな遊び方するんだ」とか。

青山 そうなんです。それから、大人が子どもを見るときって、お医者さんも、お店の人も、大抵向かい合いますよね。でも保育者は、隣に座って、子どもが見ているのと同じ風景を見るんです。「この子が見ている風景は、どんなものかなあ」って。 世の中の大人は子どもに向かい合うと、評価が入っちゃうんですよね。「なんでこの子はなんでも遅いのかな」とか、「3歳なのに、これで大丈夫?」とか。 僕らは、もちろんそういう発達的な知識も持っているけれど、それだけで子どもを見るのではなく、その子を知っていくには、「その子から世界がどう見えているのかなあ」って考えることが大事だと思います。みんなそれぞれ、すごく面白い個性を持っているから。

だいすけ そうですよね。特に家の中で親と子のふたりだと、向き合うことしかないですよね。でも、その子を俯瞰して見るには、向き合うことじゃなくて――。

青山 そう、横に並んで、同じ風景を見る。この身体の向きは、日常生活でも活かせるんですよ。 親は子どもから園の話を聞きたいですよね、今日何があったのか、誰と遊んだのか、とか。だけど、しゃべらない子もけっこう多いんですよ。 でも、たとえば自転車や車に乗っているとき、お風呂、それから寝る瞬間とか、生活の中で親と子の身体が同じ向きになるときに、気持ちってすごく出やすいんです。 だから子どもって、夜寝る前にね、ちょっと重たい告白をしがちなんですよ。寝る前に「ママ、今日ねえ、幼稚園でさ……」って。「え、今言うの?」みたいな(笑)。でもそれは、気持ちが出しやすいからだと思うんです。

だいすけ ああ、なるほどねえ。

青山 子どもから話を聞きたかったら、大人からしゃべるのもいいと思います。「今日パパさぁ、仕事でこんな面白いことがあって」とか。人って、相手がしゃべってるとしゃべりたくなるものなので、「あのね、ぼくもねえ」ってなりやすいかな、という気はします。

だいすけ 面白いなあ、子どもって。

青山 そう、面白いですよ。

「もう寝るよってときに、子どもはちょっと重たい告白をしがち。え、今?って(笑)」。保育者の青山誠さんとだいすけお兄さんが対談。 【だいすけお兄さんのパパシュギョー!・11(後編)】の画像1

親が子どもにできる、一番大切なことは

青山 僕はすごく小さく生まれて、小学校にあがるときにランドセルを背負うのもやっとぐらいだったんです。で、普通の子はできることが、なかなかできない。 学校は大好きだったんだけど、行くときにずっと蟻んこを見ちゃって、学校にたどりつけなかったり。ランドセルも2回、失くしてるんです(笑)。月の忘れ物も80個ぐらいかな。 クラス会議が開かれちゃうような子だったんですよ。「青山くんがいると授業が進まない」って。口笛とかずっと吹いちゃうから、うるさくて注意される。 それで、4年生のときの成績表に、なんか書いてあったのかな、すごく落ち込んで家に帰った日があって。 そうしたら母親が、「もしかして、成績表なんか気にしてるんじゃないよね?」って。「あんたは大器晩成型なんだから、ゆっくりだっていいんだよ」って言ってくれたんです。 それがもう、本当、唯一の自分のお守りというか。だから、最後の最後は、やっぱり親が子どもの味方になってほしい。 やっぱり子ども自身が何より大事で、子ども以上に価値のある学校も学びの場もなくって。 「その子がその子でいいんだ」っていう線を守ってあげてほしい。それだけで子どもって、生きていけるんですよ。 自分で育つ力は、どの子も持っていて、子どもは自分で山を登っていくわけですよね。だけど、後ろを振り返りたくなったり、足元を確かめたくなる瞬間がある。そのときに親が「大丈夫だよ」って、「あなたはあなたのままでいいんだよ」って言ってあげることだけかなって思うんです、大事なのは。

だいすけ 自分にとって大きな出来事があったときに、親が「大丈夫だよ」ってひと言言ってくれるだけで、安心しますよね。 僕も、劇団四季をやめて歌のお兄さんのオーディションを受けたときに、「もしダメだったら仕事もなくなっちゃう、どうしよう」と不安だったけど、母親が「ダメだったっていいじゃない。ずっとやりたかった『歌のお兄さん』のオーディションを受けられたことが、何より素敵なことなんだから」って言ってくれたんです。 そのときに、「ああ、やっぱり親ってすごいな」って。 子どもに何かあったとき、親がどう寄り添ってあげられるかって、すごく大切ですよね。

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プロフィール
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横山だいすけ よこやまだいすけ/NHK Eテレ「おかあさんといっしょ」の歌のお兄さんを2017年3月まで最長9年務める。「子どもに良質の音楽を届けたい」という目標のもと、舞台、ラジオ、TVなど幅広く活躍。NHK Eテレ「すイエんサー」(毎週日曜17:25~17:50)、メ~テレ(名古屋テレビ)「ドデスカ!」(月~金曜6:00~8:00)木曜コメンテーター他、出演多数。YouTubeチャンネル「横山だいすけチャンネル」も配信中。

「もう寝るよってときに、子どもはちょっと重たい告白をしがち。え、今?って(笑)」。保育者の青山誠さんとだいすけお兄さんが対談。 【だいすけお兄さんのパパシュギョー!・11(後編)】の画像4

青山誠さん あおやままこと/ 1976年神奈川県生まれ。社会福祉法人東香会上町しぜんの国保育園園長。幼稚園勤務、りんごの木子どもクラブでの保育を経て現職。 著書に『あなたも保育者になれる 子どもの心に耳をすますための22のヒント』(小学館)など。

インタビュー/原 陽子 撮影/大森忠明 スタイリング/吉岡ちさと(だいすけさん) ヘアメイク/安藤千浪(だいすけさん) だいすけさん衣装/チェックシャツ39600 円、サーマルTシャツ14300 円、パンツ26400 円(BLUEBLUE)/ HOLLYWOOD RANCH MARKET

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