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女の幸せに、男ウケはいらない!?

  • 2015.11.2
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女の幸せに、男ウケはいらない!?

仕事に美容に恋愛に、女の人生ってけっこー大変! 私はこのままでいいのかな? 幸せになれるかな? そんなモヤっとした悩みを浄化し、毎日がもっと楽しくなる痛快エッセイを、毎週土曜日お届けします。

結婚の費用対効果とか少子化だとか、いろいろ世間は騒がしいけれど、相変わらず未婚率は高いし、いったいアラサー女子はどこを目指しているのだろう。もはや死語になりつつある男ウケだが、私たちが幸せになるには、何を目指せばいいんだろう?


【恋愛はしたいけれど1mmも傷つかずに生きたい】vol.15

なんだかハロウィンをみていると、年々ものすごいヘンな盛り上がり方に進化しているなぁと思ったりする。イチャモンをつけたいわけじゃない。大人のハロウィンコスプレは、普段それぞれが外に出せない自分らしさや変身願望が、お祭りを口実に弾けているなと感じるからだ。ハメを外すタイミングをみんなうかがってるんじゃなかろうか。

冷静に考えて、アラサーのコスプレ姿なんて、キメキメにしたって誇れるものじゃありません。きっとやってる本人たちだってSNSにアップこそすれど、その自覚はあるのではないか。自分のためにやって、自分のためにハジけた思い出を記録して、友達と共有しあってテンションを上げる。ましてやここに男ウケや、モテの要素なんて、もしあったらラッキー程度にしか考えてないんじゃないだろうか。

最近もっぱらオシャレも遊びも、男ウケより自分ウケが大事な時代になりつつある。その代表選手は、やっぱりネイルアートだと思う。

昔は男ウケネイルがどーとかこーとか言っていたけど、サロン料金が安価になるにしたがって、デザインは凝り、爪は自己主張のキャンパスに変わり、できあがったものはいかにふとした瞬間、自分のテンションを上げてくれるかが最重要ミッションとなった。

ネイルアートは禁断症状を招く。

例に漏れず、私もこのネイルアートの魔力に犯されたことがある。結構な方が体感済みかもしれないが、ネイルサロンに通っていると、最初は爪がツヤツヤになっただけで心が満たされていたハズが、回を重ねるごとにツヤツヤな爪に目が慣れてくる。

数回デザインを変えようものなら、ツヤだけじゃふとした瞬間のテンションはほとんど上がらなくなる。これがネイルアートの恐ろしいところ。ネイリストさんから、

「このデザイン、そろそろ飽きたんじゃないですか?」なんてアオリが入り、

「このブラウンなんか、秋っぽくて今人気です」なんて提案を受けると、

「わぁ〜、チョコレートみたいで美味しそう!」と、こちらも俄然その気になっちゃう。

「なんかやったことないデザインにしようかなー」と、新しさを求めれば、どんどん派手で個性的になることもしばしば。季節を漂わせたって意味ないのはわかっちゃいるけど、なによりこの自分のときめきを誰の目も気にせず発揮できる瞬間は、たまらなく楽しく幸せなのだ!

ただ怖いのは、ジェルネイルをやればやるほど自爪が薄くなり(オフするときに削れているのだ)、ハッと気づくと、ジェル無し生活が厳しくなる。まさにこれ美の禁断症状みたいじゃありませんか…

自分らしさの闇。

ところでアラサーになると、20代よりもこの小さい自分ウケオシャレに拍車がかかるように感じる。

疑問を解決すべく考えてみると、常にただよう「空気読め」な空気と反発心なんじゃないか。よくも悪くも、周りの人に合わせる文化が良いとされていると思うのだが、この、ある程度周りの人に合わせるのが当たり前って感覚が、小さく私たちを生きづらくさせているのだ。

たとえば、オフィスでは派手な格好は常識知らずと言われる。外回りならわかるのだが、仕事に差し障りのないオフィススタッフでもだ。マナーといえば「ハイ終了」な話だけど、ゆっくり考えてみると、破ったときの「あの人、空気読めない」のプレッシャーが半端ない。そんな回りの目から逃れるポイントを探していくと、ツメやスマホカバーなんかは、格好の自分ウケおしゃれのポイントなのだろう。そこだけが小さく自己主張できる場所と思うと、日本の「自分らしさ」の闇は深い。

ちなみに2014年にブレイクしたディズニー映画「アナと雪の女王」のキーワードは「ありのまま」である。それだけが大ヒットの理由ではないけれど、「ありのまま生きられない」という心の声は、カタチをかえてせめてネイルアートだけでもくらいに女の自己表現として現れているのかもしれない。

ただ、自分ウケの魔力はなにもネイルに限らず、私たちの体のパーツにも溢れている。近くの歯医者に通いながら、私は虫歯だけにそれを痛感した。

「上に4カ所、下に4カ所ありますね」お前の歯はキタねえぞ! な虫歯の説明からはじまり、スタッフによる治療方針の提案が行われる。

「コチラが保険を利かせたプランになりまして、こっちが自費治療のプランになります30分もかけて行われるカウンセリングの感想は一言。

「…た、高い」

お直しは銀にするか、セラミック(白くて自然)にするかでケタが1つも2つも違うではないか。

「セラミックは陶器ですから、着色汚れはないんです〜」と丁寧に提案されると、

「まあ一生モンだしね…」と俄然やる気になってくる。

「全部綺麗にした後には、ホワイトニングされる方も多いですよ」と治療の集大成的にホワイトニングを提案されると、もはや感覚の麻痺した私の財布は、いとも簡単に緩みだす。

結局、虫歯を治して歯を今より綺麗にするのに、15万円もかかるって言うじゃないか。

「いえいえ、安いほうですよ!」と締められたが、自己満足と考えればネイルの比じゃない金銭的破壊力である。 ネイルほど周りにわからないところを考えると、95%自分ウケの自己満足である(残り5%はちゃんと治療ね)。

芸能人でもないのに歯にこだわったって、大した恩恵をうけないことはわかってる。でも、綺麗な歯で私らしく自信を持ちたいんだもんっ! 身の丈知らずと言われるのが怖くってまだ周りにはいえてないけど、きっと治療が終わったら、私は15万円の歯を見せびらかしてしまうのだろう。

おおしま りえ/雑食系恋愛ジャーナリスト・イラストレーター

10代より水商売やプロ雀士などに身を投じ、のべ1万人の男性を接客。20代で結婚と離婚を経験後、アップダウンの激しい人生経験を生かし、現在恋愛コラムを年間100本以上執筆中。そろそろ幸せな結婚がしたいと願うアラサーのリターン独女。

HP:http://oshimarie.com

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