【ゲイと女の5点恋愛術】ISSUE5：性的欲求ゼロ！ 28歳女性が目指すべき理想の恋愛とは…　恋人関係でセックスは必須条件？

ネオおばさん世代の恋の悩みを解決！

人気Podcast番組「ゲイと女の5点ラジオ」パーソナリティーのしょうちゃん（ゲイ）とヴァジャ（女）による出張恋愛保健室がオープン！ 妻でも母でもなく、ターゲットとされる雑誌もない。属性のない私たち“ネオおばさん”が、自意識をこじらせながらも、偏見と妄想のなかに笑いと正論を交えて、同世代の皆さんの恋愛のお悩みに誠心誠意お答えします！ 100点満点中、なにかと5点の私たちではありますが、ご容赦ください。

お悩み：セックスしないと恋人じゃないの？

5点ネーム：恋に恋するノンセク女 さん「28歳・独身・女です。私はいわゆるノンセクシュアルで、恋愛感情はあっても性欲がありません。男女問わず、自分が心を許す人にハグやキスはできますが、行為をすることに嫌悪感を抱きます。私の元彼はとてもいい人でしたが、行為を求めてくるのでずっと我慢していました。ある日「セックスは好きじゃない」と伝えると、「これは愛情表現なのに、俺のこと嫌いなの？」と非難され、別れを告げられてしまいました。恋人関係であればセックスするのが当然で、しないのは相手を大切にしていないのか！？ 恋人がほしくても、性的欲求がない自分はおかしいのか！？ もう何も分からなくなり、ずっと一人で悩んでいます。私はこれからどんな心構えで恋愛と向き合っていけばいいのでしょうか？」 しょうちゃん：恋愛感情はあるけれど性的欲求がないことに悩んでるってことは、周囲や相手から求められていることと、自分の考えや思考との間に大きなギャップがあって、どうにも埋められないから苦しいのか、ノンセクシュアルである自分自身が恋愛の障害になっているのがつらいのか。ちゃんと見極めてから解答すべきなんだけれど、どっちかな？

ヴァジャ：「一般的にはこうするよね」「恋人ならこうするべきだよね」「付き合っているんだからセックスするのは当然だよね」……って、 呪いをかけられているみたいなものだけど、彼女の場合は両方あるんじゃないかな。元彼の主張は分かるし、本人も彼の言い分が理解できるからこそ悩むよね。

しょうちゃん：私、よく「どっちがいいとか悪いとかじゃないけれど」って言うけれど、このケースもまさにそれ。元彼とはコアな部分が合わなかっただけで、彼女が自分を責める必要も、変える必要も全然ない。相手のことをきちんと考えられる真面目な人なんだし、恋愛に向いていないわけじゃなさそう。ノンセクシュアルっていう自覚があっても、恋したきゃ、すればいいんだよ。

ヴァジャ：ここ数年、セクシュアリティーについてはいろんな分類や定義がなされるようになって「LGBTQ」に＋（プラス）が付くくらいすごく増えているし、毎日のように情報更新されているよね。恋に恋するノンセク女さんも自ら「私ってノンセクシュアルなのかも」って認識できた。でもそれって別に、現代だから判明したんじゃなくて、昔からそういう人はたくさんいたけれど、カテゴライズされることがなかっただけ。「ノンセクシュアルは恋に恋するノンセク女さんしかいません」っていう彼女固有の特性だったとしたら、そんなジャンルはできない。大勢いるからこそ、ノンセクシュアルっていうカテゴリーが成立しているのよ。

しょうちゃん：そんなに思い悩みながら恋愛と向き合わなくても、同じノンセクシュアルの人とうまく恋できたらいいんじゃないかって思うんだけど。きっとお互いにすごく分かり合えると思う。逆にどんなにいい人でも、違うカテゴリーの人と付き合おうとすると、そもそも価値観が根本的に違うから、きっとどこかで衝突や摩擦が起こって、うまくいかなくなると思うんだよね。友達関係も人間関係も、考え方が近い人と付き合う方が断然楽じゃん？

ヴァジャ：今ってすごくいい時代でさ。たとえばツイッターとかSNSで“ノンセクシュアル”っていうハッシュタグをつけて発信すれば、もしかしたら仲間が見つかるかもしれないじゃん？ そうして集まった同じ価値観を持つグループの中から、自分が「いいな♪」と思える人が見つかったら、すごく幸せなんじゃないかな？

しょうちゃん：私自身、これまで「ゲイの中でいい人を見つける！」ってことを徹底して生きてきたから、うまく恋愛してこれたんだよね。逆に私が、女が好きな男をどんなに好きになっても成就しないだろうし、私もたぶん一生、女を好きになることはない。BL本が世間一般にスッカリ普及しちゃったせいで、イケメン同士がいつの間にかゲイになって、付き合うってストーリーにみんな親しみすぎているけれど、現実ではそうないからね！

28歳、出会うには気合いが必要かも！？

ヴァジャ：学生から卒業して社会人になっちゃうと、自然と他人を好きになる機会ってすごく減ると思わない？ 学生時代は同じ学校やクラスにときめく人がいたり、社会人3年目くらいまでは職場恋愛が盛んな場合もあったりするけど、20代半ばを過ぎると、自分から合コンを開くとか、婚活をするとか、紹介してもらうとか、「気合い入れて出会うぞ！」みたいな心持ちが必要になってくる気がする。

しょうちゃん：「別に恋愛しようなんて思っていなくても、恋とは落ちるものだし、自然に身を任せていればステキな出会いがある」なんていうのは単なる妄想だよね。

ヴァジャ：ほとんど女性しかいない職場とかも多いじゃん。私の場合も、自分から貪欲に求めていかなかったら出会いなんて望めなかった。恋に恋するノンセク女さんも、もしノンセクシュアルの人の中から相手を見つけようと思ったら、けっこう積極的に探しに行かないと出会えないと思うんだよね。

しょうちゃん：大好きだった人から酷な振られ方をしたばっかりだから、今はつらくて気分が乗らないかもしれないけれど、自分のセクシュアリティーが把握できているだけでも素晴らしいよ。もし同じノンセクシュアルグループの中からすごく相性のいい人を探し出せたらラッキーだし、たとえうまくいかなくて「別に彼氏はいらないかも」と思うようなら、恋人がいなくても楽しい人生を過ごす方に全力シフトすればいいわけだし。

ヴァジャ：28歳っていう年齢も余計に悩ましいんだよね。友達と会っていても絶対「最近どうよ？ いい人いるの？」とかいう話になりがち。周囲からのプレッシャーが一番大きい世代のような気がするから、「恋愛していないと変なのかな、恋人がいないといけないのかな、結婚した方がいいのかな……」ってつらくなるのもすごくわかる。でも、あと3〜4年もたって“ネオおばさん”世代に突入すると、周囲も一通り結婚して落ち着いているから、浮ついた話題を振られなくなって、もっと生きやすくなっていると思いますよ。

同じノンセク仲間を見つけに行こう！

しょうちゃん：恋愛相談によくありがちなんだけれど、別れて落ち込んでいる相談者の女に対して「男なんて星の数ほどいるから」ってアドバイスする人いるじゃん？ 「……で！？」ってイラッとしちゃう。すごくナンセンスな言い回しだと思う。その人は別れた人が好きだったわけであって、男だったら別に誰でもいいってわけじゃないから。「他にもいい人はいっぱいいるからさ」ってどんなに慰められたところで、何の解答にもならないよ。

ヴァジャ：でも確かに「他にも男はいるから」と自分に言い聞かせることで、未来に進めるし、そこに新しい男がいるよね。私たち“きれいごと撲滅運動”中だから、厳しい回答になっちゃうかもしれないんだけれど、恋に恋するノンセク女さんにはぜひ行動してほしいんだよね。一度、ノンセクシュアルの人が集まるコミュニティーにアプローチしてみては？

しょうちゃん：最初はお友達からでいいんだよ。同じ考え方や思考を持つ人同士でお話ししたら、きっといい相談相手になってくれそうだし、「私はこうやって解決しました」みたいな具体策を伝授してくれる人がいるかもしれない。いろんな人の話を聞いて、恋に恋するノンセク女さんだけの答えを見つけてほしいな。

ヴァジャ：マッチングアプリの中にもコミュニティーがたくさんあるよ！ 「眼鏡かけてる人が好きー！」っていうグループがあるくらいだから「ノンセクシュアルの人集まれー！」っていうチームもきっとあるはずじゃない？

しょうちゃん：あるといいよね。ひとまずトライして探してみてから、その後の状況をお便りで報告してほしいね。そしたらまた一緒に考えますから。

人気ポッドキャスターがネオおばさん世代の恋のお悩みを一緒に考える恋愛コラム連載「ゲイと女の5点（でも愛されるための）恋愛術」、ラスト更新は11月9日（水）の予定です。お楽しみに！

（@okishimagazine）