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「昔話」は一見残酷......でも、子どもにはそのまま読み聞かせたほうがいい"理由"【ミモザの読み聞かせ絵本 8】

  • 2022.9.30
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読み聞かせボランティア歴17年のミモザさんがおすすめの絵本を紹介する「ミモザの読み聞かせ絵本」シリーズ、第8回は「昔話の絵本」です。

現代は、昔話を知らない子どもが増えているといいます。ミモザさんが小学校での読み聞かせの際、子どもたちに質問してみると、桃太郎や浦島太郎をテレビCMでしか知らず、ストーリーがわからない子というが多いのだそうです。ぜひ、子どもたちに日本の昔話を読んであげてください。

『かちかちやま』
おざわとしお 再話、赤羽末吉 画/福音館書店

もっとも有名な日本昔話の一つ、「かちかちやま」。ミモザさんはこの絵本の中で、とてもショックを受けたページがありました。それは、たぬきがおばあさんを殺して「ばあじる」を作り、おばあさんに化けて、帰ってきたおじいさんにたぬきじるだと偽って「ばあじる」を食べさせる場面。他の「かちかちやま」の絵本の中にはマイルドに改変してある版もありますが、昔話研究者の小澤俊夫さんによるこの『かちかちやま』は、もとの民話どおりにはっきりと書いてあります。

ミモザさんはこのページをそのまま読み聞かせていいものか迷ったそうですが、小澤さんの考え方を尊重し、民話どおりの『かちかちやま』を読み聞かせています。

小澤さんは、2016年の講演会「昔ばなしと子ども」でこんな話をしています。講演会で小澤さんが取り上げたのは、「うまかたやまんば」という昔話。馬方がやまんばに追われて、馬の脚を切って投げ、馬は3本脚や2本脚になってもそのまま走るというシーンがあるのですが......。

お話しを聞きなれている子どもたちは、あそこを聞くと、笑うよ。2本脚で走ったなんて言うと、もう手をたたいて笑ってるんだ、喜んで。大人と全然違うんだ、感覚が。今聞いてる皆さんは、ぎょっとしているか、いろいろな顔があったけどさ、子どもは全然逆です。僕はこう思います。子どもと大人は感じ方が違います。感受性が違います。それを大事にしてください。
教育しないでください、っていうことです。
(〈NPO法人「絵本で子育て」センター 小澤俊夫氏講演会「昔ばなしと子ども」講演録3〉より)

大人は思わずリアルに想像してしまいますが、昔話は現実から切り離して「切り絵細工のように」語っているのだと小澤さんは説きます。つまり、あくまでも"おはなし"は"おはなし"。それを子どもがどう受け取るかは自由です。「教育しない」というのはとても難しいことかもしれませんが、どうか大人が勝手に毒抜きせず、そのままを読み聞かせてあげてください。

同じく福音館書店から発売されている『うまかたやまんば』も、合わせてぜひ。

『はちかつぎひめ』
香山美子 文、赤坂三好 画/教育画劇

こちらの昔話は知らない方も多いかもしれません。大阪府の寝屋川に伝わるお話です。

母親は病で亡くなる直前、「どうぞこの子をおまもりください」と娘に鉢をかぶせます。すると、鉢はどうしても頭から取れなくなってしまいました。母親の死後にやってきた継母は、鉢をかぶった娘をいじめ、屋敷から追い出してしまいます。

つらい日々を送る娘でしたが、その鉢を割ったのは強い"愛"の力でした。日本版のシンデレラのようなストーリーに、読み聞かせを聞いている女の子たちの目がキラキラするのだそうです。

『日本昔話百選』
稲田浩二・稲田和子 編著/三省堂

最後にご紹介するのは、絵本ではなく読み物。日本各地から聞き集めた100の昔話を、その土地の方言で収録しています。

「おや、こりゃあ、じいさん、なんちゅうことなら、男の子ができた」
「ほんによかった、よかった。まあかわいがって大きゅうしてやろう」
(「桃太郎」より)

「桃太郎」「こぶとり爺」「舌切雀」などのメジャーな昔話から、地域性の高い昔話までを網羅。ルビが多く、小学校高学年から読むことができます。

ミモザさんは娘が子どもの頃、毎晩寝る前に絵本の読み聞かせをしていました。娘が小学六年生になり勉強が忙しくなると、『日本昔話百選』を毎晩1話ずつ読んで、約10年間の読み聞かせを締めくくったのだそうです。

昔話は、古くから人々の暮らしに根づき、子どもたちの心を育ててきました。時代は変わっても、百年、千年と残ってきた昔話の効能は変わりません。あなたもぜひ、お子さんに昔話を読み聞かせてあげてください。

ミモザの読み聞かせ絵本、次回もお楽しみに。

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