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様々な課題が…プラスサイズの私が考える、サステナブルファッション

  • 2022.9.30
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あなたは普段服を買う時に「サステナブル」かどうか考えていますか? 古着屋によく行く人や、フリマアプリを使う人の中には意識している人たちが多くいるはず。また、サステナブルを掲げるブランドから洋服を買っている人もいるでしょう。

そこで本記事では「サステナブルファッション」を追い求める中で、プラスサイズの選択肢が少ないという壁に直面したイギリスに住むデザイナー、サラ・ブラウンさんのストーリーをご紹介。

彼女が考える「プラスサイズ」と「サステナブルファッション」の在り方とは?

語り:サラ・ブラウンさん

古着屋にプラスサイズの服は少ない

チャリティショップ(チャリティー団体によって運営される中古品の販売店)に行った時のことです。虹がかかったようなキラキラしたものを見つけ、目を奪われました。そこにあったのは、マルチカラーのチェックのブレザーと「バーバリー」のトレンチコート。

私は、「チャリティショップにこんな素敵なものが眠っているなんて!」とワクワクしていました--その服を私が着られないと知るまでは。

ひとまずショッピングを続けました。UKサイズ・8号、10号、12号、14号--やっと見つけた24号以上のサイズの服は後ろの方に押し込まれていたのです。

私や、私と同じような体型の人の気持ちは無視されているように感じました。たとえば幸運にも、私がお店でプラスサイズのコーナーを見つけられたとしましょう。そこに売られているのは、たいてい“おばあちゃんが結婚式で着ているような”ワンピースか、“私が5歳の時に着ていたような”上着です。

私のようなプラスサイズの体型の人にとって、古着を買い、「サステナブル」なショッピングをすることは、ほぼ不可能のように感じられるし、実際とても難しいことです。

私の体に合う服をデザインしたい

私がファッション業界に魅了されたのは、物心がついた頃からです。大学でファッションデザインを勉強し、卒業制作で“大きめ”サイズの服でランウェイを歩いたのは、いまだに珍しいことだと思います。「私の体に合う服をデザインしたい」と講師と何度も議論をし、その年で唯一、私だけが8号以上のサイズの服を作りました。

それから、私はプラスサイズの服のデザインを始め、「ASOS」や「Rixo」といった名のあるファッションブランドのデザインやコンサルティングを行ってきました。

そして、私はやっと自分の体に合ったサイズの服も選べる「Dolly Rocket」というブランドを立ち上げたのです。しかし、ファッション業界の中で、サイズの多様性が当たり前になるのはまだまだ遠い道だと感じます。

衣料品廃棄の裏にある問題

私たちは廃棄の多い時代に生きています。しかし、それも少しずつ変わってきました。使い捨てのプラスチックをただ捨てるだけでなく、段々と皆が自然にリサイクルなどに取り組むようになってきています。

では、服についてはどうでしょうか? 多くの人にとって、古着を買い、着なくなった服は交換したり、サステナブルを掲げるブランドから服を買ったりすることは、廃棄を少なくするための簡単なステップになっていると思います。

しかし、16号以上のサイズでこれを実現しようとするのは、すごく大変です。2020年、ファッション・ユナイテッドは、2022年までに英国の衣料品市場の22%をプラスサイズが占めるようになると予測しました。さらに、過去5年間で、英国におけるサステナブルなファッションブランドの検索数は450%も増加しました。これらの統計は「サステナブルファッション」の大きな需要を示しているのに、なぜサイズの選択肢は少ないままなのでしょうか?

ライターとしても活躍するファッションコンサルタントのアジャ・バーバーさんが指摘するように、「ファットフォビア(肥満恐怖症、または太っていることや太っている人へ嫌悪感をもつ人)」が、いまだに私たちを悩ませているようです。

衣料品廃棄の問題を抱える、ファッション業界。ところが、市場が求めるサイズを作るのではなく、売れ残った服を焼却処分しています。そんなことが許されて良いのでしょうか。

ファッションビジネスの舞台裏には、「プラスサイズの女性が何を求めているか自分たちが一番よく知っている」と主張する非プラスサイズの人々がたくさんいて、ブランドの中には、変化を恐れたり、時代遅れな意見を尊重しているところもあるのが現状なのです。

「受注生産」という新たな潮流

ブランドが変化を拒むとき、その主な理由のひとつに予算が挙げられます。確かに、洋服のサイズ展開を拡大するには、コストがかかります。また、真の意味でプラスサイズの服がブランドを代表するためには、より多くのモデルやサンプルを使って宣伝を行う必要も。

しかし、イギリスの女性の平均サイズは16号なので、プラスサイズの需要は十分にあると思います。サイズ展開を拡大してくれるファッションブランドに対して、お金を出す準備ができている女性はたくさんいるのです。

もちろん、サステナブルに生産された新しい服だけが地球に優しい方法というわけではありません。最近ではアプリなどを使って、プラスサイズの古着を買うことができます。しかし、“プラスサイズの新しい服”が作られない限り、古着の数が増えていく未来もないのです。

そんな中、サイズ展開に取り組む多くの小規模のブランドは、“受注生産”というアプローチをとっています。

実際に、私は自分のブランド「Dolly Rocket」で、この方法を使って洋服を作っています。必要なサイズとスタイルだけを作るので、廃棄物が少なくなり、フィッティングや丈のオーダーメイドも可能です。体型の変化が大きくなると、完璧にフィットするものを見つけるのが難しくなるので、プラスサイズの人には嬉しいポイントだと思います。

デザイナーのメアリー・ベンソンさんも、この方法で制作しています。ベンソンさんは6号から30号までのドレスを作っていますが、売り上げの60%は16号から30号のサイズなのだそう。他にも、古着の生地を使って、よりサステナブルな服作りをしているデザイナーもいます。

ファッション業界が、真にサイズの多様性に富んだ持続可能なものになるまでは、長い時間が必要です。そのうえで、バーバーさんはこう強調します。

「プラスサイズを扱うことに前向きな良いブランドはたくさんあります。だから、私たちはそのブランドへのサポートを確実に示し、きちんとした取り組みをしている人たちに応えるべきなのです」

※この翻訳は、抄訳です。Translation: Risa TsubakiharaCOSMOPOLITAN UK

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