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その声かけが「指示待ちっ子」を作る。愛情は「心配」より「信頼」で伝えよう。

  • 2022.9.22
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不登校、不適応、性の問題、自己肯定感の低さ、学習意欲の低下、ネットトラブル......。子どもへの心配は尽きないが、まずは親自身の「不安」を解消することだという。

じつは、子どもの内面の形成には「親の無意識の習慣」が大きく関わり、親が習慣を変えることで子どもの行動も変わるというのだ。

本書『子どもは「親の心配」をランドセルに入れて登校しています 「指示待ちっ子」が「自分から動く子」になる親の習慣』(WAVE出版)は、我が子のために身につけたい「新しい習慣」を紹介した1冊。

「あり方」の影響力

著者の桑原朱美さんは、25年間で7万人以上の子どもたちを保健室で見守ってきた元養護教諭。NLP教育セラピスト。

「NLP(神経言語プログラミング)」と「脳科学」を教育で活用した先駆者でもある桑原さんだが、これらを学ぶ中で衝撃を受けた理論があったという。それは「非言語コミュニケーションは、言語コミュニケーションの2万倍ほどの圧倒的な力で、相手との関係性に影響を及ぼす」というもの。

本書は「子どもがイキイキと自分の力を発揮し、主体的に生きていくための親の習慣」について、「指示待ちっ子が育つ親の習慣」(左ページ)と「自分からやる子が育つ親の習慣」(右ページ)を対比しながら紹介。

「思考」「言葉」「行動」「愛情」「生活」「インターネット」の6つの視点から、親の習慣にかんする思い込みや勘違いを明らかにする。

「大切なのは、やり続けることです。簡単に手に入れたものは簡単に崩れていきます。しかし自分が試行錯誤して実践して手に入れたものは、新しい習慣として身につくばかりでなく、それに取り組む『あり方』が、言葉の2万倍の影響力で、お子さんにプラスの影響を与えるのです」

「心配」を「信頼」に

ここでは「愛情」のかけ方から1つ、「指示待ちっ子が育つ親の習慣」と「自分からやる子が育つ親の習慣」を見てみよう。

■指示待ちっ子が育つ親の愛情――心配が愛情と考える
心配ばかりでは、子どもは「信頼されていない」と感じるようになる。

■自分からやる子が育つ親の愛情――信頼が愛情と考える
子どもを信頼するために、親自身が自分を信頼しよう。

こんな例を挙げている。6年生のG君が友だちとけんかをして、小さな傷をつくって保健室に来た。「担任の先生からおうちの方に連絡してもらおうね」と桑原さんが言うと、「絶対にやめて!」とG君は言った。

母親が知ったら、友だちの家に怒鳴り込んだり先生に文句を言ったりするそうで、G君も以前はその気持ちが嬉しかったが、今は嫌なのだという。

「子どもは、親から心配されることを、必ずしも愛情として感じるとは限りません。必要な時期に、心配を信頼に変えていく必要があります」

心配しているときの脳は、起きていないことを「こうなったら嫌だ」と想像し、無意識に主観的な映画を上映している状態。不安や恐怖は「今、ここにいる自分の感情」に影響する。脳科学的に言うと、「感情を伴った想像は、現実化しやすい」のだという。そこで、「心配は信頼に変えましょう」と桑原さん。

「信頼とは『もしも失敗してもそれを乗り越えて成長できる』と信じていることです。子どもを信頼するためには、『親自身が自分を信頼する』必要があります」

「『間違ってるよ』と指摘する」→「『それ、伸びしろだね』と喜ぶ」、「子どもが歩く道の石ころを取り除く」→「子どものつまずきを成長に変える」......など、いつのまにか定着していた習慣にハッとさせらっぱなしだった。

ただ、本書は子育て中の親に「間違っている」とダメ出しするものではない。親自身の生きづらさの原因となっている「無意識の習慣」に気づき、「新しい習慣」にシフトすることを提案するもの。子育て中の親御さんに肩の力を抜いて読んでほしい、子育てのヒントを凝縮した1冊。

■目次

第1章 25年間保健室で見てきてわかった 「指示待ちっ子」を育てる母親の習慣
第2章 「考え方」を変えてみましょう
――自分を基準に、自分も子どももダメなところを認める
第3章 「言葉」のかけ方を変えてみましょう
――子どもの良いところを見つけて、しっかり伝える
第4章 「行動」の仕方を変えてみましょう
――子どものペースを考え、自分から動くまで待つ
第5章 「愛情」のかけ方を変えてみましょう
――子どもを信じ、自分の価値観を押しつけない
第6章 「生活」のスタイルを変えてみましょう
――子どもとの食事を大事にして、一緒に会話を楽しむ
第7章 豊かなアナログコミュニケーションが、デジタル時代を生きる力の土台となる

■桑原朱美さんプロフィール

島根県生まれ。愛知教育大学教育学部卒業。授業エスケープ、自転車で廊下を走る、対教師暴力が続く教育困難校等の保健室の先生として25年間勤務。独立後、脳科学理論に基づき、過酷な現場から生みだされた誰でも安全に使えるオリジナル教材は、全国1000の学校現場で大好評となっている。また、2015年に出版した『保健室コーチングに学ぶ養護教諭の現場力』(明治図書出版)はニッチな分野にもかかわらず7刷と版を重ねている。日本教育新聞をはじめ専門誌への執筆は延べ25誌。東海テレビ、中京テレビ、日本テレビ、TBS「ジョブチューン」にも出演。昨今は、子どもたちの自死や不登校の予防に力を注ぎ、未来に希望をもって生きる力を伝える「友だちコーチングの出前授業」は、教育現場で好評を博す。家庭教育では、「ママのためのオンラインサロン」を開設。ウィズコロナ時代の子育てを支援する取り組みにも力を注いでいる。主な著書に『保健室から見える親が知らない子どもたち』(青春出版社)など。

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