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『哲仁王后』の哲宗は王様なのになぜ高官に頭が上がらないのか

  • 2022.9.14
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奇抜な設定で非常に面白い『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』の序盤を見ていると、キム・ジョンヒョンが演じている25代王・哲宗(チョルジョン)が、国王として君臨しているのに政治力を発揮できていない。それどころか、キム・テウが扮しているキム・ジャグン(金左根)にまったく頭が上がらない状態になっている。

実際、ドラマの中ではキム・ジャグンこそが当時の朝鮮王朝の最大権力者だと紹介されている。

なぜ、こういう逆転現象が起きているのだろうか。

カギを握る人物が、ペ・ジョンオクが扮している大王大妃の純元(スヌォン)王后だ。

彼女はもともと23代王・純祖(スンジョ)の正室であり、実家が安東(アンドン)・金(キム)氏の一族だ。そして、純元王后の強い影響力によって、安東・金氏は絶大な権力を手に入れることができるようになった。

その際に中心人物になったのが、純元王后の弟だったキム・ジャグンだ。

キム・ジョンヒョンが扮している哲宗は徐々に気骨を持った姿勢を見せていく(写真=© STUDIO DRAGON CORPORATION)
歴史的に描かれる重厚な世界

彼は朝鮮王朝の官僚トップとなる領議政(ヨンイジョン/総理大臣に該当する)に何度も就いている。さらに、純元王后と結託して王族の末端にいた哲宗を国王に据えて、裏で傀儡(かいらい)政権を動かそうとしたのである。

『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』では、哲宗が操り人形にたとえられる場面が何度も出てくるが、それはまさに史実に合った描き方であり、哲宗はキム・ジャグンの許可がなければ何も決められなかったと言われている。

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しかし、ドラマと史実は違う。『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』では哲宗をもっと骨っぽい人物として描いている。キム・ジョンヒョンは堂々たる姿で哲宗を演じていて、安東・金氏の権勢に抵抗する気骨を見せていた。

そういう哲宗に対して、シン・ヘソンが演じる哲仁(チョリン)王后はどのような態度を取っていくのか。その成り行きが今後の見どころの一つになっていく。

『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』は単なるコメディ時代劇ではなく、歴史的に重厚な世界もしっかり描いている。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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