1. トップ
  2. 恋愛
  3. 「元気なさそうだけど…」不調気味の部下に絶対言ってはいけない"声かけフレーズ"

「元気なさそうだけど…」不調気味の部下に絶対言ってはいけない"声かけフレーズ"

  • 2022.9.14
  • 1260 views

社内には、まだ夏の疲れが取れないメンバーもいる時期だ。どうすれば気にかけていることを伝えられるだろうか。話し方コンサルタントの阿隅和美さんは「『元気ないけど仕事は大丈夫?』などと言うのはもってのほか。元気がないときほど『見守っているよ』というメッセージが安心感を与えてくれる」という――。

疲れて過労ビジネスウーマン
※写真はイメージです
安易にしてはいけない「元気がないけど…」の声かけ

残暑が続き夏バテ気味の人や、コロナ後の環境の変化で調子がいまひとつという人も多いようです。チームにひとりでも元気がないメンバーがいると、全体の士気低下にもつながりかねません。特にリーダーの皆さんは、ご自分の体調管理はもちろん、チームメンバーが元気でいるかどうか気になるところではないでしょうか。

日本企業の管理職の多くがプレイングマネージャーであるという実態では、個々のメンバーが充分にパフォーマンスを発揮しやすい環境をつくるコミュニケーションの取り方は、リーダ―にとって重要なマネジメントスキルであり、何より自身の負担を軽減するためにも身につけておきたいものです。

そこで、今回はチームの士気が上がる声掛けについて夏バテ気味で元気がないメンバーへの対応を取り上げ考えてみましょう。

元気がなさそうなメンバーを、励ますつもりでつい言ってしまうのが「元気ないけど、明日の大事なプレゼン、大丈夫?」といった類の声掛けです。

こうした「元気ないけど仕事は大丈夫?」というフレーズは、相手の体調を気遣っているようで、実は仕事の進捗に対する不安を言葉にしています。そのため、相手に「仕事を不安視している」というメッセージとして届きかねません。

せっかくの声掛けが、「信頼されていないのか……。プレゼン、果たして上手くいくだろうか」と余計な心配をさせてしまう、ネガティブな作用をもたらす恐れもあります。

疲れていれば誰でも弱気になる

そこで、このような場面での声掛けは、「体調は大丈夫?」と「仕事はどんな具合?」を切り離して2ステップで伝えるのがポイントです。具体的には、まず「元気なさそうに見えるけど、何かあった?」というようなフレーズで、見守っていると伝えることを優先します。

次に、仕事に関して「プレゼンの準備はどう?」と切り出し「○○さんのことだから問題はないと思うけど、どんな戦略でいくのか聞かせて?」と現状を確認する質問をします。

準備が順調そうなら「いいね、その方向でいこう!」と背中を押してあげれば自信を持ってプレゼンに臨めます。反対に「実は体調がいまひとつで準備が進んでなくて……」という返事なら、「よければ相談にのるよ」とサポートを申し出てもいいでしょう。

誰でも疲れていると、弱気になりがちです。元気がないときほど「見守っているよ」「一人じゃないよ」というメッセージが安心感を与えてくれます。「疲れているようだけど、どうかした? もし私に出来ることがあったら遠慮なく言ってね」というひと言に救われるものです。このように、元気がない人への声掛けの際には、ひと言ずつ丁寧な対話を心掛けましょう。

「見た目」についての発言は控える

同じ職場のメンバーが、顔色が悪い、ため息ばかりついて元気がないと何かあったのかと心配になったり、元気を出してほしいと思ったりしますよね。ところが肝心の元気がない理由がわからないと慰めたくても、どう切り出したらいいか迷うところではないでしょうか。

この時に、気をつけたいのが「疲れた顔をしているね」「顔色が悪いよ」「やつれて見えるよ」という容姿に関する発言です。体調不良や薬の後遺症でむくんだり痩せたりすることもありますし、中には、ご自分が周囲にどう映っているのかとても気にされている方もいます。

決して悪気はなくてもストレートに、「顔色が悪いですね」「やつれましたね」と伝えると相手を傷つけてしまうこともありますので、見た目について発言するのは控えましょう。

実際、私もテレビ番組のリポーターで全国をまわっていたころ、久しぶりに会った知人に「すごく疲れた顔をしてるけど、大丈夫?」と真顔で言われたことがあります。自分では充実した毎日を送っていたつもりだったので「私ってそんなにひどく疲れた顔をしているんだ」と、とても落ち込んだ記憶があります。

元気がなさそうで気になったときには、まず、「ちょっと元気がないみたいですね。どうかなさったんですか?」「最近、口数少ないから気になっちゃって。元気ないな、と思って」と「何かあった?」と当たり障りのない調子で聞いてみましょう。

もし、「いや、別にいつもと変わらないよ」といわれたら、「じゃあ、私の気のせいだったんですね。勘違いしてすみません」「それなら良かったです、安心しました」と笑顔で伝えて仕事に戻ればいいでしょう。相手は気にかけてくれている行為に対して、嫌な気はしないはずです。

ビジネスの同僚が会話をする
※写真はイメージです
アドバイスではなく寄り添い型のあいづちが◎

もちろん、相手が「いや、別に」とあまり話したくなさそうなら、そっとしておきますが、もし、何か話したそうな様子であれば「私で良ければ話を聴くよ」と、時間を取ってあげましょう。

その際、元気がない理由が業務に関することであれば具体的なアドバイスもできますが、健康に関することやプライベートなことであれば、相手が「どう思いますか?」と尋ねてくる以外、無理に意見を言わずに「それは心配ですね」「お大事になさってください」「早く解決するといいですね」という寄り添い型のあいづちで聴き役に徹しましょう。真摯に耳を傾けるという行為は、相手を尊重することにほかなりませんし、安心安全な環境であると伝わります。何より話を聴いてもらうだけで気分がスッキリすることもあります。

他にも、元気がない理由を共有してもらうきっかけとなる声掛けとして、「私に知っておいてほしいことはある? プライベートなことでもいいので」「聞き手が必要なら、いつでも声をかけてください」と、相手の意向を尋ねるのもいいでしょう。

元気のない理由もさまざまです。声掛けは細やかな気配りをセットにしましょう。

元気がない人を励ます「承認の声掛け」4パターン

人は自分が認められている環境だと、脳内で幸福物質であるドーパミンが分泌され幸福感を感じるだけでなく、モチベーションがアップする好循環がうまれると言われています。

誰でも認められたらうれしいもの。単純に気分も上がります。そこで、元気がなさそうなときこそ、「承認の言葉」をしっかり伝えてあげてはいかがでしょうか。

承認には存在承認、行動承認、成長承認、成果承認の4つがあると言われています。

特に元気がないメンバーを励ますときには、存在承認と行動承認が使いやすいようです。

“優秀なメンバー”の「存在承認」を忘れない

存在承認とは、その人の存在自体を認めてあげることです。存在承認は決して難しいことではありません。

例えば、あいさつをする、名前を入れて声をかけてあげるなどです。また、存在承認は言葉だけではなく、笑顔であいさつをする、メールにすぐ反応する、話しかけられたら仕事の手を一旦止めて、相手の目を見て反応を示すといった非言語や態度も大切な要素となります。

メンバーは、上司や先輩から存在を承認されることによって、「気にかけてくれている」「信頼してくれている」と感じ、主体的に動くモチベーションを手に入れることができるのです。元気がない人には、分かりやすいくらいの表現で、承認欲求を満たしてやる気を促していきましょう。

また、この存在承認は、全てのメンバーに公平に行うように心がけたいところです。特に、優秀なメンバーには、存在承認を忘れがちになります。しかし、他のメンバーと比較して「自分のことを気にかけてくれない」などと思い始め、徐々にモチベーションが落ちてしまうことがあります。

優秀だから、わざわざ些細な承認の合図を送る必要もないだろうと思いがちですが、ぜひメンバー全員に当たり前のこともしっかり承認してあげましょう。

「成果」だけでなく「プロセス」の行動承認をしてみよう

行動承認とは行動そのものを承認することで、その人の行いを褒める行為です。

例えば、あいさつや掃除、他の人への気配り、仕事のプロセスといった行動を認めてあげることで、「自分の行動を見てくれている」と感じ、承認欲求を満たすことにつながります。

仕事は当然ながら、結果を出すことをシビアに求められます。そのため、成果が出たときしか承認しないことが多くなってしまいがちです。

一方、「行動承認」なら、「いつも書類を整理してくれてありがとう」「見込み客のヒアリングシートが参考になったよ」など行動や努力といった「プロセス」を承認することができます。元気がないときにはエンジンがかかりにくく結果もでにくいものですが、こうした行動承認を重ねることによってやる気を促進していくことができます。

ぜひ「○○してくれたのが良かったよ」というフレーズを使って声をかけてみましょう。

気づいていない変化を「成長承認」する

成長承認とは、以前と比べてどれくらい成長できたかを承認することです。あくまで、その人個人を基準に比較をした結果の承認です。

例えば、「商品説明がスムーズになったね」「書類のまとめ方がわかりやすくなったね」と伝えることを言います。

自分が気づいていない成長の変化を伝えてもらうことで、自信につながり、やる気を引き出すことができます。普段からしっかり観察をして、元気がなさそうに見えたときには、小さな成長でもしっかり言葉にして伝えてあげましょう。

成果承認とは、仕事などの成果を褒めることで相手を認めてあげる行為です。

「今期は、前期より10%伸びているね」「商談成立おめでとう」など目標を達成したときに「おめでとう」「よかったね」という言葉を伝え承認欲求を満たすことができます。

仕事では、承認する対象がわかりやすいため、おそらく簡単にできるはずです。メンバーが成果を出したら、それがどんなに小さなものでも、積極的に承認するようにしましょう。

やる気を引き出す言葉がけ「あいうえお」

そして、シンプルですが一番の報酬の言葉が「ありがとう」という感謝の言葉です。

感謝の言葉を伝える時には「色々ありがとう」という漠然とした伝え方ではなく「○○してくれてありがとう」と具体的に伝えると効果的です。

それでも声掛けが苦手という方もいるかもしれません。そこで、メンバーのやる気を引き出す言葉がけの「あいうえお」をご紹介します。よろしければ活用してください。

ありがとう…「いつも整理整頓してくれてありがとう」
いいね…「だいぶ、説明も上手くなっていいね」
うれしいよ…「お客様からAさんが褒められて、私もうれしいよ」
えんりょしないで…「遠慮しないで、いつでも聞いて」
おうえんしているよ…「失敗を恐れないで、応援しているよ」

(出典 阿隅和美著『仕事ができる人の話し方』)

こうした相手を思いやる言葉には、たった一言で、人を元気にするパワーがあります。

「あの時、かけてもらった一言で、ギアを上げることができました」と言ってもらえるように、いつも見守っているという言葉や承認の言葉を交わしましょう。夏バテなどちょっとした疲れに負けない体質のチームが生まれ、職場の活性化につながります。

阿隅 和美(あすみ・かずみ)
WACHIKAコミュニケーションズ代表
青山学院大学経営学部卒業。中部日本放送アナウンサーを経て、NHK衛星放送キャスターとして、株式市況、世界のトップニュースを10年担当。20年にわたり、スポーツ、経済、情報番組に関わる。アナウンサー名は瓶子和美。現在は、TV現場で培った技術を活かし、ビジネス現場でコミュニケーション力を発揮し、成果を出す人材を育成する研修、講座、講演を行っている他、経営層・管理職、エグゼクティブリーダー向けプレゼン・スピーチのパーソナルトレーニングやコンサルティングなどを実施している。著書に『心をつかみ思わず聴きたくなる話のつくり方』(日本能率協会マネジメントセンター)、『仕事ができる人の話し方』(青春出版社)があり台湾でも翻訳されている。ホームページ

元記事で読む
の記事をもっとみる