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世界からお届け!SDGs通信 シンガポール編。余剰パンでビールを醸造する〈CRUST〉

  • 2022.9.7
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世界からお届け!SDGs通信 シンガポール編

ベーカリーから排出されるパンの耳でビールを作る!

パンは主食。ゆえに、ベーカリーから排出される余剰パンの量は非常に多い。さらにシンガポール人は柔らかいパンを好む。したがって、ローカルのベーカリーの棚に並ぶほとんどの食パンは、耳をカットした状態で売られている。廃棄されるパンの耳を含め、余剰パンの現状に着目したのが、2019年に起業したスタートアップ企業「CRUST」の創業者であるトラヴィン・シンだ。

そこで彼が思いついたのは、余剰パンを使ったビールの醸造。まずはYouTubeでビール醸造動画を見ながら、自宅でビールづくりを試みたという。しかし、盛大に失敗。「ものすご〜く、まずいものができました(苦笑)」。

そこで、もともとアメリカンスタイルのビールが好みだったことから、渡米し、11か所のブリュワリーをまわって醸造のメソッドを学んだのだそう。シンガポールへと戻り、改めて余剰パンビールの醸造を再開。こうして代表作の「Breaking Bread Ale」が生まれた。

近年は大手スーパーマーケットと協業し、スーパーで出た余剰パンを回収したコラボビールなども展開する。またジュース店などともコラボレートし、果物の皮も回収。これらでビールやソーダに風味をつけ、シンガポール(南国)を感じる味わいのフレーバービールやノンアルコール飲料も開発した。
創業から3年。これまでに2,536kg分の余剰パンを含むフードロスを救済し、3,880kgを超えるCO2削減に貢献中。「2030年までに世界の食品ロスの1%削減が目標です」とトラヴィンは目を輝かせる。

余剰パンビールの醸造
食料ゴミは、国内で排出される5大ゴミの一つで、なかでも主食であるパンの余剰は多いと言われる。CRUSTはベーカリーと提携し、パンがフレッシュなうちに引き取り、ビールづくりに用いる。
余剰パンビールの醸造の様子
パンの持つ甘みを引き出すべく、じっくり時間をかけて醸造を行う。
ペールエール「Breaking Bread Ale」
代表作のペールエール「Breaking Bread Ale」。パンを思わせる甘やかな小麦の香りをたずさえる一方、キレがよく、軽い飲み口で、パンのお供にもぴったり。

CRUST

オンラインショップで購入可。また、国内レストランやスーパーマーケット「フェアプライス ファイネスト」などでも展開。

HP:https://www.crust-group.com/sg

profile

多田亜矢子

ただ・あやこ/編集&ライター。2006年、マガジンハウスに入社。雑誌『Hanako』『GINZA』編集部に勤務し、ビューティ、ファッション、グルメなどを担当。結婚を機に2016年よりシンガポールに移住。現在はフリーランスとして「Hanako.tokyo」や「FUDGE.jp」でローカル情報を発信中。

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