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ホームベーカリーもオーブンも不要!おうちでつくる簡単絶品パン

  • 2022.9.2
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初心者でも失敗知らず。世界一簡単なドデカパンでおうちでパンを焼く幸せを

おうちでパンを焼く暮らしに憧れはあるけれど、手間も時間もかかるからとあきらめていませんか? そんな人におすすめなのが、今回登場する吉永麻衣子さん提唱の「つくりおきパン」。生地をこねて、発酵させて、成形して、また発酵させて……といったパンづくりの複雑な工程を極限まで省略。ホームベーカリーがなくても、保存容器で材料を混ぜて冷蔵庫に入れておくだけで、「食べたいときにいつでもすぐにパンが焼ける!」と大きな話題になっています。初心者でも失敗知らずの簡単「つくりおきパン」で、自分で焼いたパンを食べる幸せを味わってみませんか?

多忙な人こそ、つくりおきパンで小さな幸せを

誰でも気軽に挑戦できるパンのレシピ研究家、吉永さん。彼女が「つくりおきパン」を考案したのは9年前。ちょうど第二子を出産した直後でした。

「パンづくりって普通、材料をこねて、一次発酵をさせた生地を分割して、丸めて成形して、二次発酵をさせてやっと焼ける。トータルで3時間ほどかかるし、なおかつ焼きたてを食べたい場合にはそこから時間を逆算して仕込んで、その間ずっと家にいないといけない。私自身ずっと、それが当たり前だと思ってやっていたのですが、二人目の子が生まれて、上の子も2歳半で手がかかるし、毎日のごはんづくりもままならない状態で。とてもじゃないけど、そんな余裕はないという状況になってしまったんです」

パンを焼く吉永さん
それでも、どうしてもパンを焼きたい!と思った吉永さん。ある日、冷蔵庫で低温発酵させた生地を、二次発酵を省略し冷たいままカットしてトースターで焼いてみたそう

「トースターなら庫内が狭いので予熱なしで焼けるかなと思ったら、ちゃんと問題なく焼けたうえに、生地がもちもちしていてすごくおいしかったんです」

つくりおきのパン
多忙な人でも毎日気軽に焼けるのが「つくりおきパン」の魅力。「ちゃんと手間暇かけてつくったパンのおいしさも大事だけれど、完璧を目指してあきらめるよりは、多少不完全でも毎日つくれる方がハッピーですよね!」と吉永さん

そこで、ボウルではなくタッパーを使って混ぜて、そのまま冷蔵庫に保管しながら発酵させるなど、工程や手間をとことんそぎ落として手軽さを極めた「つくりおきパン」を考案。つくり方をSNSでシェアしたところ、たちまち話題に。気軽につまめる「スティックパン」や、成形不要の「ドデカパン」など「つくりおきパン」のバリエーションも広がっていきました。

「毎日忙しくて、ごはんをつくる時間も気力もないという人こそ、つくりおきパンに挑戦してみてほしい」と吉永さんは話します。「家で焼きたてのパンが食べられるって、ささやかだけれど、すごくぜいたくで記憶に残る幸せなことだと思うんです。手づくりだと材料にもこだわれるし、余計なものが入っていないのでヘルシーで安心。生地が発酵したときの質感やにおいの変化、焼いているときの香ばしい香りにもワクワクしたり、癒やされたりします。何より、自分でパンを焼いて食べるって、ものすごく達成感があることなので、ひとり暮らしの方もぜひ生活に取り入れてほしいですね」

特別なツールは不要! 5分でできる生地づくり

オーブンいらずのパンつくり
オーブン不要。保存容器でかき混ぜた生地を冷蔵庫に入れっぱなしで発酵させ、冷たいままトースターで焼き上げる「つくりおきパン」は、パンづくりの常識を覆す発明!

吉永さんが提唱する「つくりおきパン」の最大の特徴は、生地を冷蔵庫で低温発酵させてストックしておくことで、いつでも食べたいときにすぐにパンが焼ける点です。「生地はこねるというよりは混ぜるだけなので、ホームベーカリーやパンこね機など特別な道具は不要。保存容器で材料を混ぜて、そのままその中で発酵させた生地をトレイに直接オンして焼くので、ボウルもパンマットも必要ありません」
生地の仕込み自体は、計量も合わせて5分あれば完了というから驚き。「時間のあるときに何回分かつくってストックしておくと、パンづくりのハードルがぐっと下がりますよ」

それではまず、生地のつくり方を教えてもらいましょう。今回は「つくりおきパン」の中でもいちばん簡単な「ドデカパン」のレシピです。

生地の準備
【STEP1】まず材料を用意します。オリーブオイル大さじ1、岩塩ひとつまみ、塩3g、ドライイースト3g、水160mL、強力粉200g。 【STEP2】800~1100mLの保存容器に強力粉とドライイーストと塩を入れて、大きめのスプーンで混ぜて均一にします。 【STEP3】その上に水を8割入れて、ぐるぐるとかき混ぜます。さらに残りの水を粉っぽい部分を目掛けて入れて混ぜます。しっかりこねる必要はなく、生地にムラがなくなればOK。 【STEP4】 生地をざっと平らにしたら、保存容器のふたをして冷蔵庫で8時間以上低温発酵させます。

保存容器は長方形がおすすめ。後で生地を折りたたむときに作業がしやすいそう。発酵が完了した生地は、その日に焼かなくても1日に1回、スプーンで混ぜ直せば5日間は冷蔵庫で保存が可能。これさえあれば、いつでもパンが焼けると思うと、それだけで毎日がぐっと豊かに過ごせそう。「逆に、急いで焼きたい場合は夏場なら常温で1時間置いておけばすぐに焼けますよ」

ストック生地で、いつでもすぐにパンが焼ける!

「ドデカパン」は追加発酵も成形も不要。「冷蔵庫から取り出した冷たい生地を保存容器から出し、ざっくり折りたたんでそのままトレイに置いて焼くので、手が汚れず洗い物がほとんどないのも大きな魅力です(笑)」。テクニックも特に必要ないので、パンづくり初心者でも大丈夫。まずは、オリーブオイルと岩塩だけで仕上げた「ドデカフォカッチャ」からトライしてみましょう!

基本生地にオリーブオイルと岩塩をふりかけて焼いただけの「ドデカフォカッチャ」は、素朴なビジュアルも魅力。通常のパンより水分が多く、もちもちとかみ応えのある生地がクセになる味わい!
パンつくりの手順
【STEP1】まず保存容器の生地の表面に強力粉をふりかけます。生地の端の方は特にしっかり粉が当たるように多めにふりかけるのがポイント。 【STEP2】生地が外れやすいようにカードなどで端に隙間をつくり、フライパン用ホイル(またはオイルを塗ったアルミホイル)を敷いたトレイの上に保存容器ごとひっくり返します。保存容器を逆さまに置いて、生地が自然に落ちてくるのを待つのがコツ。 【STEP3】生地をざっくり三つ折りにします。継ぎ目がサイドに来るように折ると生地が浮き上がらず収まりがよくなります。 【STEP4】生地の上にオリーブオイル大さじ1をかけたら、指で10カ所ほど穴を開け、お好みの量の岩塩をふりかけて、1200Wのオーブントースターで15分焼けば完成!

オーブンがなくても、トースターやフライパンで焼けるのもつくりおきパンのうれしいところ。「オーブンで焼く場合は、230℃で15分を目安に焼いて。フライパンなら予熱なしでふたをして弱火で両面を10分ずつ焼きます。魚焼きグリルは焦げやすいので、弱火で5分焼いた後、アルミホイルをかぶせてさらに13分焼けばOK」

生地づくりも、焼き上げも、気が抜けるぐらい簡単なのにできあがりは立派なパンで、味もお店のフォカッチャにひけを取らないおいしさ! それなのに、キッチンが粉まみれになったり、予めオーブンを温めたりといった面倒もいっさいないとは。これなら本当に毎日焼けそう!

シンプルだからアレンジも自由自在!

焼きたてのドデカフォカッチャは、そのまま食べてもおいしいけれど、アレンジを加えればさらに楽しみが広がります。「私のおすすめはサンドイッチ。今回はレタスとハムを使いましたが、ツナでも卵でもコロッケでも、冷蔵庫にある好きなものを何でも挟めばOK。簡単なのに見栄えがするので、ちょっとしたパーティーにも喜ばれますよ」

フォカッチャをカット
フォカッチャをカットしたら切り込みを入れてレタスとハムを挟むだけ。お好みでマヨネーズを塗ったり、ブラックペッパーをふったりしても

基本のドデカフォカッチャをマスターしたら、表面にふりかけるものをチーズやシナモンシュガーに変えたり、生地を三つ折りにする際にチョコレートやソーセージを挟んだり、焼き上げる前の段階でアレンジを加えても楽しいそう。

「生地自体には、ほんのり塩味がついているだけなので、食事系にもスイーツ系にも応用が利きます。慣れてきたら、生地をざっと延ばしてピザにしたり、一口大にカットして油で揚げてドーナツにしたりしてもおいしいですよ」。シンプルなだけに、初心者でも失敗知らずで、好みや気分でアレンジをどんどん広げていける。そんな大らかさこそ「つくりおきパン」の魅力なのです。

PROFILE
吉永麻衣子

「日々のパン」代表

兵庫県宝塚市生まれ。パンづくりで親子のコミュニケーションを増やす「日々のパン」代表。自身も3児の母。大学卒業後、一般企業を経て専門学校講師、日本ヴォーグ社ハッピークッキングの立ち上げなどを経験。2009年に自宅にてパン教室をスタートし、子連れでも参加できて忙しいママでも毎日焼けるパンが人気を集める。企業とのレシピ開発や書籍の出版、コラムの執筆、外部講師、メディア出演など幅広く活動しており、『簡単もちもちドデカパン』(新潮社)、『はじめての子どもパン教室』(主婦の友社)、『いつでも焼きたて!すごい!作りおきパン』(宝島社)など多数出版している。
Instagram:https://www.instagram.com/maiko_y/
HP:https://hibinopan.jp/

CREDIT

取材・文/井口啓子 編集/勝又美月(Roaster) 撮影/藤井由依

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