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吉高由里子さん、30代になってそぎ落とされた自分「軸を大切に生きていきたい」

  • 2022.8.21
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6年ぶりとなる舞台『クランク・イン!』を始め、2023年1月クールの連続ドラマ『星降る夜に』(テレビ朝日系)、そして2024年のNHK大河ドラマ『光る君へ』と、主演オファーが引きも切らない俳優・吉高由里子さん。スクリーンデビューから16年のキャリアを経て、34歳の今、女性として思うこと、その生き方などについて伺いました。

不用意に人を傷つけることで、自分も傷ついていた20代

――吉高さんは今年34歳。5年ほど前のインタビューで、「26歳から28歳の3年間は30代の輪郭を作る期間だ」とおっしゃっていました。

吉高由里子さん(以下、吉高): 口先だけでそんなことを言ってる……。その頃の私、朝ドラの『花子とアン』が終わって2年間休業して、ずっと海外を飛び回って遊び呆けていた時期なんですよ。だから、ちょっとその頃の私に「黙れ」って言ってあげたい。「何が輪郭じゃ」って(笑)。

――30代半ばになって、20代の頃と考え方は変わりましたか?

吉高: 20代まではあった「貫こうとする自分」とか、「頑固な自分」とか、「こう見られたい自分」とか。そういう思いは削ぎ落とされた感じですね。

不用意に人を傷つけると、結局は自分が一番傷つくんですよ。人を傷つけてしまったという現実に、私自身がすごく落ち込んじゃう。だから、なるたけ自分も傷つかないようにしたいし、人も傷つけないようにしたい。お仕事の場面でも、プライベートでも、歳を重ねるうちにそういった距離感の会話に徐々に変わっていったのかなと思います。昔が尖りすぎていただけなのかもしれないですけど、20代に比べたら、いまは柔らかい女性になったのではないかと思います。

朝日新聞telling,(テリング)

「今日という日は一日しかない」という感覚

――30歳を境に、結婚や出産について意識するようになりましたか?

吉高: 昔は30歳ぐらいで結婚して、子どもを産んでお母さんになっているんだろうなって、勝手に思っていました。ウチの母も30歳前後で私を産んでいるので。

でもこの歳になると、寝て起きての生活を続けているうちに、自然と赤ちゃんができていると思っていたのなら、それは大間違いだったねと、感じます。両親だって、私を授かるまでにはきちんと順序立ててストーリーを作っていったんだなって、今は具体的に見えるようになりましたね。

今は自分のことだけでいっぱいいっぱいで、私が母親になれるわけがないと思っているんですけど、あと2年ぐらいすると出産のタイムリミットがリアルに見えてくるんだろうと思います。どうなんでしょうね……そのときになったら、意識したり考えたりするのかな。こればっかりは出会いとタイミングなので、計画的なことは考えていないですね。

――出産などを考えると30代半ばはターニングポイントでもあります。この先、どのような人生を送っていきたいですか?

吉高: 今日っていう日は、本当に1日しかないんだなって34歳になった今、思うんです。その日が過ぎたらもう戻ってこないことは、体がわかってきているというか。今日という日が後戻りできないことを心でちゃんと感じながら過ごしていけたら、1日も1ヶ月も1年も、今よりもっと謳歌できるのかなって思います。

朝日新聞telling,(テリング)

差異から生じる違和感を大事に

――今後、お仕事では何を大切に進んでいきたいですか?

吉高: 連続ドラマなどに出始めて、街中で知らない人から声をかけられるようになった頃から、どこか「違和感」を覚えていました。声をかけてきた人のことを私はよく知らないけど、その人から見た自分というのは確実に存在している。でもその他人から見た自分と、本当の自分は違う。そういう意味での「違和感」を、むしろ私は大事にしていきたいんです。

そういう意味では、「違和感」って、本当の自分と、自分を外から客観的に見ることとの違いとも言えますね。歳を重ねるうちに自分を客観的に見られるようになって、そうした違和感を楽しめるようになりました。目の前のことを何でも当たり前に受け入れるのではなくて、今のこの状況や自分の姿を客観的な視点で見たらどうだろう、違ったように見えるかも……みたいな。

人に対しても、作品に対しても入り込みすぎずに、自分の軸をしっかり持って大切に生きていこうかなと。自分の思いと、外から見た視点には必ず差があるので。

朝日新聞telling,(テリング)

――吉高さんと同世代のtelling,読者の中には、「やりたいことがあってもなかなか踏み出せない」と感じている方も少なくありません。最後にメッセージをお願いします。

吉高: 人生はすべて成功じゃなくてもいいんじゃないかって思うんですよね。たとえ失敗しても、「失敗を知っている」ということが大事だから。その時その時に反省して、次は出来るだけ成功するように歩んでいく。

進む道を軌道修正したり、やり直しをしたりする機会は、いくらでもあると思います。人生100年時代ですからね、この先、長いですよ。何かあったときのために保険にでも入って、大船に乗った気持ちで人生を満喫する。自分の人生だから、100%楽しんでください!

■横山 由希路のプロフィール
横浜生まれ、町田育ちのライター。エンタメ雑誌の編集者を経て、フリーランスに。好きなものは、演劇と音楽とプロ野球。横浜と台湾の古民家との二拠点生活を10年続けており、コロナが明けた世界を心待ちにしている。

■岡田晃奈のプロフィール
1989年東京生まれ、神奈川育ち。写真学校卒業後、出版社カメラマンとして勤務。現在フリーランス。

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