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病院との違いは? “自宅出産”があまり推奨されないワケ

  • 2015.10.20
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【女性からのご相談】

最近、妊活を始めました。同じく妊活をしている友人たちに、「自宅出産したい」と言ったところ、危険だと反対されてしまいました。芸能人でもしている人たちはいるし、私には持病もないし、それほど危険だとは思いません。でも、少し不安になりました。 安全な自宅出産のためには、どうしたらいいですか?

●A. “安全な自宅出産”は、ほぼ不可能です!

こんにちは、ライターの佐原チハルです。

どこで、どのように出産したいかのイメージをすることも、安全にそれができるよう準備をしておくことも、とても大切なことですね。けれど自宅出産は、その他の方法と同じように“選択肢のひとつ”と捉えてしまうのは、残念ながらとても危険です。

●出産は現代でも命がけ

出産で亡くなる女性の数は、日本では随分と少なくなりました。しかしながら、現代でもゼロではありません。自宅よりは安全で一般的、気軽に行えるように思われている“助産院での出産”でさえ厳密な条件があり、それをクリアした人でなければ行うことができないようになっています。自宅・助産院での出産と病院での出産の違いは“いざというときに、医療行為が行えるか否か”です。

お産に関しては、「健康なお産であれば医者は必要ない」とも言われますが、“健康なお産”であるか否かは、結果論。ただでさえ危険な出産を“病院で行わない”ことは、自分の命・赤ちゃんの命に対する危険性を増すことにつながりやすいです。

●出産で亡くなる人の数は、病院出産の流行で激減しました

出産する場所の主流が“自宅・助産所”から“病院”へと移っていく中で、出産した母親・生れてきた子どもの死亡率は、どちらも激減しています。「昔はみんな家で産んでいた」という声も確かにありますが、“そうでなくなった”のには、それなりの理由があったのです。

例えば、出産時、母体・子どもの安全のため、緊急で帝王切開になることがあります。この処置は、助産院・自宅出産ではできません。出産の補助のため、会陰が切開されることも多々ありますが、これも助産院・自宅出産ではできません。

“医療行為”と言っても、内容はさまざま。自宅・助産院での出産では、予想以上に、「助けてもらえることが少ない」と感じることもあるかもしれません。

●それでも、「自宅出産がいい」という気持ちがある場合は?

死亡率などのリスクを理解した上で、「それでも自宅出産がいい」と思った場合には、“湯水のようにお金と手間をかける”ことを前提にしてください。出産時にサポートしてもらう助産師は、必ず複数人確保しておいてください。日本では基準は設けられていませんが、他の先進国では安全面を考慮し“最低でも2人以上”などの基準が定められています。

また、いざというときに搬送してもらえる病院を探しておいてください。「何かあったら救急車で病院に運んでもらえる」という考えは危険です。受け入れ先が見つからないまま手遅れになってしまう可能性は低くありません。また急な妊婦の搬送は、日頃からその病院に通っていた他の妊婦さんをリスクにさらすことにもなります。

もし自宅でなくても、「病院での出産よりもアットホームな雰囲気でできるなら、それでいい」といった思いなら、助産院はいかがでしょう。病院内に併設されている助産院であればより安心です。病院での出産でも、介助してくれるのは助産師さんで、医師は“医療行為が必要になったときのために控えているだけ”という場所もありますよ。

“理想の出産”のためなら、何を選択してもいいということはありません。あくまでも赤ちゃん・お母さん自身の命を危険にさらさないことが第一です。出産場所も、情報に惑わされず、その意識を持って選べるようにしたいですね。

【参考リンク】

・妊産婦死亡に係わる日本産婦人科医会の取り組み | 日本産婦人科医会 医療安全委員会

●ライター/佐原チハル(フリーライター)

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