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勢いが止まらない『ONE PIECE FILM RED』 たった10日でシリーズ最高興収樹立

  • 2022.8.17
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『ONE PIECE FILM RED』(c)尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会

大変なことになっている。先週末の動員ランキングのトップは2週連続で『ONE PIECE FILM RED』。「大変なことになっている」のはその数字で、今週月曜日までの公開からの10日間で動員505万人、興収70億6000万円を超えている。これまでの映画『ONE PIECE』シリーズの最高興収は2012年公開『ONE PIECE FILM Z』の68億4000万円だったので、たった10日間でシリーズ最高興収を更新したことになる。

この数字を近年のメガヒット作と比較すると、累計興収404億3000万円を記録した2020年公開『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』のオープニング10日間の興収(107億5000万円)の66%。累計興収137億5000万円を記録した2021年公開『劇場版 呪術廻戦 0』のオープニング11日間(58億7000万円)の120%(『ONE PIECE FILM RED』の方が集計日数が少ないので、実際はそれ以上)。近年の実写外国作品としては空前の大ヒットとなっている『トップガン マーヴェリック』も含め、少なくとも新海誠の新作『すずめの戸締まり』(11月公開)までは年内どの作品も超えることはないと思われていた暫定年間トップの『劇場版 呪術廻戦 0』(2021年12月公開だったので年間興収ランキングでは2022年度に算入される)の記録をも、既に射程に収めたことになる。

比較として挙げた『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』も『劇場版 呪術廻戦 0』も、いわば熱狂的な支持の高まりの渦中で映画化された、シリーズ第一作が巻き起こしたブームがもたらしたもの。2010年代半ばの『妖怪ウォッチ』ブームのように、作品を追うごとに興収がみるみる半減していって6作目では1作目の10分の1以下みたいなことにはならないとしても、『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』が10年後、20年後にフランチャイズとしてどのくらいの勢いを維持しているのか、あるいはそもそも続いているのか、まだ誰にもわからない。そう考えると、2000年公開の『ONE PIECE』から22年を経ての、右肩上がりどころではない今回の『ONE PIECE FILM RED』の爆発的ヒットは極めて異例な現象だ(『ドラえもん』シリーズや『名探偵コナン』シリーズだって、上昇基調の時は作品公開ごとに少しずつ数字を積み上げてきた)。

また、新型コロナウイルスのパンデミック以降に公開された作品として考えても、他のヒット作と比べて『ONE PIECE FILM RED』の公開時期は感染状況的には最悪だった。もちろん、現在も各劇場では飲食時以外のマスク着用が基本となっているが、シニア層と並んで最も感染状況に左右されてきたファミリー層の観客も多く含む『ONE PIECE FILM RED』のメガヒットをもって、2020年春以来長らく続いてきた映画興行における「コロナ期」は名実ともに明けたと言っていいだろう。

その一方で、「コロナ期」が明けても戻らないものもある。アメリカ映画界のストリーミング・シフトを受けた、今夏以降に劇場公開が予定されている外国映画の壊滅的なタマ不足についてはまた回を改めたい。(宇野維正)

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