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MCU最新作「シー・ハルク」は異例のマーベル作品 “ありがちなヒーローもの”ではない魅力

  • 2022.8.17
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「シー・ハルク:ザ・アトーニー」が、8月18日(木)昼4時よりディズニープラスで独占配信開始 (C) 2022 Marvel
「シー・ハルク:ザ・アトーニー」が、8月18日(木)昼4時よりディズニープラスで独占配信開始 (C) 2022 Marvel

【写真】“シー・ハルク”になった直後の、スーツがビリビリに破れたジェニファー

「アベンジャーズ/エンドゲーム」をはじめ、破格のメガヒット大作によって次々とエンターテインメント史を塗り替えてきたマーベル・スタジオ。映画ファンなら恐らく誰もが一度は見たことがあり、少なからず新作の報が出れば関心を示すMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の最新作が、8月18日(木)昼4時よりディズニー公式動画配信サービス・ディズニープラス独占で日米同時配信されるドラマシリーズ「シー・ハルク:ザ・アトーニー」だ。今回、第4話まで先行視聴の機会を得たので、“調査報告”を兼ねて先行レビューをお届けする。(以下、本作をふくめ一部MCU作品のネタバレを含みます)

今作の主人公は、アベンジャーズ屈指の怪力を誇るハルク(ブルース・バナー)の親戚で、正義感に溢れる弁護士のジェニファー・ウォルターズ。演じるのは、MCU初参戦となるタチアナ・マスラニー(日本語吹替版は井上麻里奈)。先日公開されたユーモラスな予告編も話題となったが、「ありがちなヒーロー物語ではないってことを知ってほしいわ」とタチアナが語る通り、スーパーパワーを持ったと同時にヒーローの資質に目覚め、地球を守るため奮闘する“ヒーローあるある”な物語…ではなさそうだ。

なぜハルクのパワーが?

まず、本作の情報が出た時に誰もが気になったであろう部分から触れたい。なぜ彼女はシー・ハルクとなったのか。事前の情報では「ある事故をきっかけに、突然“ハルクのパワー”を得てしまい、しぶしぶヒーローになる」とあった。事故でハルクのパワーを得るんだったら、結構な数のハルクが既にいるのでは?というツッコミが、筆者の周りでは聞かれた。(それはそれで極論だが)

その謎は第1話序盤、ジェニファー自らがカメラ目線で「説明する」と触れ、物語をさかのぼって判明した。ジェニファーはブルースのいとこで、事故に遭った時も一緒に車に乗っていた。衝突事故を避けようとして山道から崖を転落した事故なのだが、その原因がいかにもMCU作品らしい。動物が飛び出してきたわけでも、居眠り運転のトラックをよけるためでも、あおり運転の車を避けるためでもなく、突然目の前に宇宙船が現れたから。詳細は割愛するが、その時にすったもんだあってハルクのパワーを得る。

ハルクのパワーは制御できる?

「インクレディブル・ハルク」から見ていた方はご存じだと思うが、初期のブルースは“ハルク化”すると意識も飛び、ほぼ誰彼構わず暴れ回る要注意人物(怪物)。7つの博士号を持つ天才生物学者とのギャップがビジュアル含め、魅力でもあるのだが、ジェニファーは緑色で巨大・怪力化するのは一緒だが、意識がはっきりとしており、“別人格”との戦いに10年も要したブルースとは違う、天才肌タイプ。いわばエリートハルクだ。最初は多少感情のコントロール含め苦戦するも、割と早い段階に自分の意思でオン・オフの切り替えもできるくらいコントロールが利くようになり、社会に順応していく。

シー・ハルクはアベンジャーズの一員に?

そんな彼女は「突然“ハルクのパワー”を得てしまい、しぶしぶヒーローになる」という受け身タイプで、少なくとも4話まで視聴した段階では、アベンジャーズの一員ではない。「ミズ・マーベル」のようにスーパーヒーローに憧れていたわけではなく、強いていえばキャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースの恋愛事情に持論があるくらいで、「アベンジャーズに医療保険はあるの?」と皮肉を言う始末。弁護士の仕事に矜持も自信も持っており、ハルクのパワーを封印できるならしたいとまで思っている。

それでも、法廷に交通裁判所から逃走したインフルエンサー・タイタニアが紛れ込んで暴れた時には、変身してやっつけるくらいの正義感、“使命感”は持っている。その結果、もともといた弁護士事務所はクビになり、転職活動もうまくいかず、“違和感のある存在”として見られることも。元祖ハルクほどではないものの“普通に生きることの難しさ”を感じながら、徐々に個性として受け止めていく。

MCU人気キャラのカメオ出演は?

また、クロスオーバーの宝石箱であるMCU作品だけに、人気キャラのカメオ出演も気になるところだろう。最近何かといろんなMCU作品に顔を出しがちな魔術師ウォン(ベネディクト・ウォン)の出演は既に発表されており、ジェニファーがハルクの天敵であるアボミネーション(エミル・ブロンスキー/ティム・ロス)を弁護するという、マーベルファンにはたまらないサービスも。いやはや、すごいことを考えるものだ。

本編にてジェニファーの口からカメラ目線で「みんなウォンを見たいよね? でも、カメオ出演が毎週あるドラマじゃないの」と語らせる演出も実に面白いが、アベンジャーズの中核を担うハルクのいとこの話だし、「ミズ・マーベル」では最終話にキャプテン・マーベルがカメオ出演するなど、遊び心を忘れないマーベルドラマなので、中盤・後半にサプライズがあってもおかしくない。

個人的にはウォンが女性に「ウォンちゃん」と呼ばれて若干照れる姿が見られるのも、コメディー色の強い今作ならではのものでほっこりした。もちろん、いざという時にはウォンが圧巻の魔術を見せてくれるので、ウォンのすごさもあらためて堪能できる。

「スーパーヒーローものっぽさ」を抑えフランクな“法廷ドラマ”に昇華させ、「これまであまりヒーローものを見てこなかった」という人にも見やすい作りになっている本作。カット・コイロ監督も「ジェニファーは他のスーパーヒーローとは全く違う。彼女は普通の人で、弁護士になるためにたくさん努力をしてきた。そんな中、突然、必要もしていないパワーを得てしまうの。そのことで人から違った風に見られるようになったから、そんな自分に適応していかないといけない。自分の個性を発見し、受け入れる物語なのよ」と語っているが、“普通でいること”の尊さ、多様性の時代なので、人と違うからといってそれを無条件に排除するのは違うし、当事者もそれを個性として強く生きてほしい、というメッセージも感じられた。

今のご時世、決して特別なことでもないが「働く女性を描くドラマ」という要素はMCU作品ではまだ少ないので注目を集めそうだが、それはそれとしてMCU初期から活躍していたハルク関連の新たな物語の誕生に酔いしれ、肩の力を抜いて楽しんで見てもらいたい。

◆文=高崎二灯星

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