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「スーパー台風」に「線状降水帯」...「数十年に一度」の異常気象が頻発するワケ

  • 2022.8.17
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「観測史上初」の激烈な猛暑、
「数十年に一度」レベルの豪雨や台風。
異常気象は、なぜこんなに起きるのか。

異常気象に地球温暖化が関係しているらしいことは知っているけど、具体的にどんなメカニズムなのか、説明できるほどには知らない......という人も多いはず。

気象予報士・森さやかさんの『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)が2022年8月18日に発売される。本書は、異常気象についてお天気コメンテーター並みの知識をわかりやすく解説した1冊。

「線状降水帯」のしくみ

2021年8月に日本列島を襲った豪雨、2020年の熊本豪雨、2014年に起きた広島の土砂災害。それぞれ死者が出た大災害だが、実はこれらすべてに、近ごろよく耳にする「線状降水帯」が関わっているという。

「線状降水帯」とは、一見小さくて細長い雨雲が、途方もない量の雨を降らせる現象で、2014年広島土砂災害から徐々に使われるようになった気象用語だ。梅雨前線を太いマジックペンの線だとすると、細いシャーペンで引いた線ほどの幅しかないという「線状降水帯」は、いったいどんな仕組みで災害を引き起こすのか。その成り立ちについて、森さんはこう解説している。

まず、水蒸気をたっぷり含んだ暖かな風が山の麓にぶつかって上昇し、雲を作る。 上空の冷たい空気と衝突して強烈な雨雲に変貌し、その後強風によって風下に流される。このプロセスが数時間繰り返されると列となり、一方向に延びていく。(中略)こうしてみると線状降水帯は、まるで親、子、孫といった世代の違う雲の大家族が横並びした状態にも例えられそうである。風下ではおじいちゃん雲が衰弱していくが、風上では赤ちゃん雲が誕生し、一族は代々続いていく。 恐ろしいのは、その雲一族のなかで、 荒くれ者の若者世代が次々と通り抜けることである。

「線状降水帯」の個々の積乱雲の寿命は1時間弱と短いが、次世代の雲がどんどんやってくるため、雨はなかなか止まない。バケツをひっくり返したような雨が数時間続き、時には半日以上続くことすらあるという。

ちなみに森さんは、「線状降水帯」などにより引き起こされる豪雨は今後増えていくと予測している。「気温が一℃上がると、空気が含むことのできる水蒸気の量が七%増えるという自然の法則により、今後、空気中に漂う雨の素が増えていくと考えられる」からだ。

日本に来る? 「スーパー台風」の恐怖

この「線状降水帯」よりさらに恐ろしい異常気象が、今世紀中に日本にやって来る可能性が指摘されている「スーパー台風」だ。「スーパー台風」は米軍が使っている台風のスケールの中で最も強いカテゴリーで、最大風速が毎秒67メートル以上の台風を指す。

「スーパー台風」にも地球温暖化の影響が。地球が暖まると、台風の生まれ故郷の熱帯でも上空の空気が暖まり、大気が安定し、雲や台風が発達しにくくなる。こうして台風の数が減ると、植物の間引きのような仕組みで、残った少数の台風が水蒸気を独り占めし、少数精鋭化していくのだ。

もし「スーパー台風」が日本に上陸したら、どうなるのか。森さんはこう予測している。

もし上陸されたら、日本が超巨大な竜巻にひとのみにされるのと同じようなことになり、目も当てられないような被害が出る可能性が高い。しかも台風は今後、上陸後にスピードが遅くなるという予測も出ているから、台風の影響が長引いて恐ろしさはこの上ない。

話を聞くだけで震え上がりそうになる異常気象の数々。本書を読んでおけば、もしもの時に備える意識が高まりそうだ。最近の異常気象が気になっている人にオススメ。

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