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21年ぶりに帰って来たアラン・グラント博士!「ジュラシック」シリーズでの活躍や古代生物への愛たっぷりな人物像に迫る

  • 2022.8.12
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遺伝子技術によって現代によみがえった恐竜たちが世界中で大暴れする『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(公開中)。今作は、巨匠スティーヴン・スピルバーグによって1993年にスタートした「ジュラシック」シリーズの完結編という位置づけで、これまでに登場したキャラクターが勢ぞろいし、スリリングな物語が繰り広げられる。なかでもシリーズを象徴する存在と言えるのが、第1作『ジュラシック・パーク』(93)と第3作『ジュラシック・パークIII』(01)の主人公だった古生物学者アラン・グラント博士(サム・ニール)だ。テクノロジーにはさっぱりだが、古代生物への愛情は誰よりも深いグラント博士の活躍を振り返ってみたい。

【写真を見る】記念すべき1作目、ジープで『ジュラシック・パーク』の入場ゲートをくぐり抜けるシーンにワクワク!スチールたっぷりで振り返る

中折れ帽がトレードマークのグラント博士(『ジュラシック・パークIII』) TM & [c] 2001 UNIVERSAL STUDIOS and AMBLIN ENTERTAINMENT, INC. All Rights Reserved
中折れ帽がトレードマークのグラント博士(『ジュラシック・パークIII』) TM & [c] 2001 UNIVERSAL STUDIOS and AMBLIN ENTERTAINMENT, INC. All Rights Reserved

前作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(18)のラストで、人間社会に放たれてしまった恐竜たち。その後の物語が展開される今作では、恐竜たちのほか巨大なイナゴが出現してアメリカ南部の畑で甚大な被害を与えていた。彼らはどこから来たのか、その調査を依頼されたのが古植物学者エリー・サトラー博士(ローラ・ダーン)。イナゴによる被害を目にした彼女は、その謎を解明するため、かつて公私のパートナーだったグラントに協力を求めることに。突然の要請に戸惑いながら、グラント博士はサトラーと共に遺伝子研究を行っているバイオシン社を訪れる。

オーウェンら「ワールド組」にも負けじと大活躍するグラント博士たちの勇姿に注目! [c] 2022 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.
オーウェンら「ワールド組」にも負けじと大活躍するグラント博士たちの勇姿に注目! [c] 2022 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.

「ジュラシック・パーク」でT-レックスら肉食恐竜を相手に大奮闘!

ここからはグラント博士が辿ってきた物語について振り返っていこう。『ジュラシック・パーク』での彼は、サトラーと化石発掘の日々を送る研究者として初登場。資産家のジョン・ハモンド(リチャード・アッテンボロー)からの依頼で、巨額の資金援助をする代わりに、彼がコスタリカ沖の孤島に建設した恐竜のテーマパーク「ジュラシック・パーク」を、サトラーや世界的な数学者のイアン・マルコム(ジェフ・ゴールドブラム)と視察することになったのがすべての始まりだった。

【写真を見る】記念すべき1作目、ジープで『ジュラシック・パーク』の入場ゲートをくぐり抜けるシーンにワクワク!スチールたっぷりで振り返る Film TM &[c] 1993 Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. All Rights Reserved
【写真を見る】記念すべき1作目、ジープで『ジュラシック・パーク』の入場ゲートをくぐり抜けるシーンにワクワク!スチールたっぷりで振り返る Film TM &[c] 1993 Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. All Rights Reserved

子どものころからの憧れだったトリケラトプスに興奮し、ガリミムスの群れの中を走り抜け、凶暴な肉食竜からのを攻撃を間一髪でかわすなど持てる知識を総動員して活躍するグラント博士。なかでもT-レックスに初めて遭遇したシーンは圧巻で、襲われている子どもたちを助けるために、発炎筒を使ってこの巨大な生物を誘導したほか、ひっくり返ったジープに身を隠して、「ぐるり」と文字通り逃げ回るシーンは映画を代表する見せ場になった。『~新たなる支配者』ではラスボスとしてギガノトサウルスが登場するが、こちらでもひっくり返ったジープを挟んでグラント博士たちが対峙するなど、第1作へのオマージュが確認できる。

発煙筒でT-レックスの注意を引く勇敢なグラント博士(『ジュラシック・パーク』) Film TM &[c] 1993 Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. All Rights Reserved
発煙筒でT-レックスの注意を引く勇敢なグラント博士(『ジュラシック・パーク』) Film TM &[c] 1993 Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. All Rights Reserved

インディ・ジョーンズ風のファッションでおなじみ

グラント博士と聞いてまず思い浮かぶのが、中折れ帽とブルーのデニム地のシャツ姿だろう。ハモンドの孫で博士の大ファンでもあるティム(ジョゼフ・マゼロ)がよく似たシャツを着ていたことからも、これが彼の“正装”らしい。もちろん、『~新たなる支配者』でもブルーのデニム姿で登場する。また、スピルバーグ作品で中折れ帽といえば冒険家で考古学者のインディ・ジョーンズを思い出す人も多いだろう。最新作では、グラント博士が松明を手に危険な洞窟を進む『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』(81)よろしくの見せ場もある。ちなみに、当初スピルバーグはグラント役にハリソン・フォードを想定していたが、フォードに断られたという経緯がある。

洞窟で松明を掲げるなど『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』でのグラント博士はインディ・ジョーンズ感が増している [c] 2022 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.
洞窟で松明を掲げるなど『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』でのグラント博士はインディ・ジョーンズ感が増している [c] 2022 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.

テクノロジー嫌いなグラント博士が、もう一つ苦手なのが子ども。発掘現場で恐竜なんか怖くないと軽口を叩いた少年に、大人げなくもラプトルの怖さを生々しく言い聞かせて震え上がらせていた。この“子ども嫌い”は映画オリジナルの設定。原作での彼は「恐竜好きの同志」として子どもを愛する人物だったが、スピルバーグとのコンビで知られる名脚本家デヴィッド・コープによって書き換えられた。コープは子どもが苦手なグラント博士が、レックス(アリアナ・リチャーズ)とティムを連れてパークで大冒険をするなかで、父性に目覚めていく姿を丁寧に描写。このサブプロットによって、彼はより共感を呼ぶキャラクターになったのだ。子ども嫌いの克服は、サトラーの幼い子どもと遊んだり、行方不明の少年捜しに巻き込まれる『ジュラシック・パークIII』でも生かされた。『~新たなる支配者』でも、誘拐されたメイジー(イザベラ・サーモン)を優しく気遣う姿が印象的に描かれている。

ガリミムスに襲いかかるT-レックス(『ジュラシック・パーク』) Film TM &[c] 1993 Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. All Rights Reserved
ガリミムスに襲いかかるT-レックス(『ジュラシック・パーク』) Film TM &[c] 1993 Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. All Rights Reserved

実在の古生物学者がモデル

そんなグラント博士にはモデルがいる。数々の受賞歴を誇る古生物学者ジャック・ホーナーである。原作者マイケル・クライトンは、恐竜が子育てをしていることを発見したホーナーを下敷きにグラント博士の人物像を作り上げており、映画化の際にスピルバーグは彼を古生物コンサルタントとしてチームに招いている。水辺に集まった恐竜の群れを見たグラント博士が、「思ったとおりだ」と口にしているが、これはホーナーを意識したセリフ。結局ホーナーはシリーズ全6作に協力し、『ジュラシック・ワールド』(15)ではオーウェン・グレイディ(クリス・プラット)がラプトルに餌を与えるシーンでカメオ出演していた。

『オーメン 最後の闘争』などで知られるサム・ニールがグラント博士を演じている(『ジュラシック・パーク』) Film TM &[c] 1993 Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. All Rights Reserved
『オーメン 最後の闘争』などで知られるサム・ニールがグラント博士を演じている(『ジュラシック・パーク』) Film TM &[c] 1993 Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. All Rights Reserved

グラント博士の新たな一面が掘り下げられた『ジュラシック・パークIII』

「ジュラシック・パーク」での恐ろしい体験を通して、遺伝子組み替えで生みだされたのは恐竜ではないと結論づけたグラント博士。『ジュラシック・パークIII』で化石から真実を探る日々に戻っていた彼は、パーク用の恐竜の飼育施設がある小島のサイトB近くで消息を絶った息子エリック(トレヴァー・モーガン)を捜す夫婦にうまく丸め込まれ(飛行機で島の上空を飛ぶ際のガイドを依頼された)、再び恐竜たちの島へと舞い戻ることに。

あんなに嫌がってたのに恐竜たちが暮らす島に再び戻ってきてしまったグラント博士(『ジュラシック・パークIII』) TM & [c] 2001 UNIVERSAL STUDIOS and AMBLIN ENTERTAINMENT, INC. All Rights Reserved
あんなに嫌がってたのに恐竜たちが暮らす島に再び戻ってきてしまったグラント博士(『ジュラシック・パークIII』) TM & [c] 2001 UNIVERSAL STUDIOS and AMBLIN ENTERTAINMENT, INC. All Rights Reserved

ここでのグラント博士は、自ら危険に飛び込もうとする素人たちの尻を叩きながらジャングルを奔走。成功を夢見る助手の青年ビリー(アレッサンドロ・ニヴォラ)との軋轢、恐竜好きのエリックと一緒にマルコムをディスるなど、これまでにないグラントの人間味あふれる一面が描かれたのも見どころだった。

島で遭難した息子のエリックを捜しに来たカービー元夫妻や助手のビリーと決死のサバイバルを展開(『ジュラシック・パークIII』) TM & [c] 2001 UNIVERSAL STUDIOS and AMBLIN ENTERTAINMENT, INC. All Rights Reserved
島で遭難した息子のエリックを捜しに来たカービー元夫妻や助手のビリーと決死のサバイバルを展開(『ジュラシック・パークIII』) TM & [c] 2001 UNIVERSAL STUDIOS and AMBLIN ENTERTAINMENT, INC. All Rights Reserved

固い絆で結ばれたサトラーとの絶妙なコンビネーション!

『ジュラシック・パークIII』の時点で、サトラーはグラント博士と別れて別の男性と家庭を築いていた。それでも彼らは友人同士で、その固い絆がサイトBで追い詰められた博士たちを救うことになった。『~新たなる支配者』では、それ以来となる2人の活躍を見ることができる。人生の後半で再びパートナーシップを組むことになったグラント博士とサトラーの絶妙なコンビネーションに、きっと癒やされることだろう。

卵から孵ったばかりの恐竜の赤ちゃん(『ジュラシック・パーク』) Film TM &[c] 1993 Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. All Rights Reserved
卵から孵ったばかりの恐竜の赤ちゃん(『ジュラシック・パーク』) Film TM &[c] 1993 Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. All Rights Reserved

なお、『ジュラシック・パークIII』にはグラント博士たちがラプトルの群れに囲まれてしまう場面がある。絶体絶命のその時、博士はラプトルの化石データから3Dプリンタで出力した共鳴腔で彼らとコミュニケーションを図ろうとし、ラプトルを混乱させて難を逃れることに成功した。『ジュラシック・パーク』でも鳴き真似でブラキオサウルスを呼び寄せていたが、その姿はラプトルの調教を試みるオーウェンの原型とみることができる。『~新たなる支配者』で、そんな新旧恐竜使いがどう共演するのかにもぜひ注目してほしい。

ある理由で一行を追っていたラプトルの群れについに囲まれてしまう(『ジュラシック・パークIII』) TM & [c] 2001 UNIVERSAL STUDIOS and AMBLIN ENTERTAINMENT, INC. All Rights Reserved
ある理由で一行を追っていたラプトルの群れについに囲まれてしまう(『ジュラシック・パークIII』) TM & [c] 2001 UNIVERSAL STUDIOS and AMBLIN ENTERTAINMENT, INC. All Rights Reserved

最後の登場から21年。愛用の中折れ帽にブルーのシャツを着込んで「ジュラシック」シリーズに帰ってきたアラン・グラント博士。髪や蓄えた髭を白く染めつつも、オーウェンたち「ワールド組」に負けじと恐竜たちに立ち向かうレジェンドの勇姿をぜひスクリーンで味わってほしい。

文/神武団四郎

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