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古川琴音、デビューから4年も「ほとんど変化はない」 演技は“いま感じていること”を大切に

  • 2022.8.11
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古川琴音(撮影:池村隆司)

道枝駿佑(なにわ男子)と福本莉子がW主演を務める映画『今夜、世界からこの恋が消えても』は、眠りにつくと記憶を失ってしまう、実在する難病「前向性健忘」を患ったヒロイン日野真織と、そんな彼女を献身的に支えるも、自らも大きな秘密を隠し持っている主人公・神谷透の儚くも切ない愛を描いたラブストーリーだ。そんな本作のキーパーソンとなるのが、古川琴音が演じる綿矢泉。透と真織の同級生で、真織が「前向性健忘」を患っていることを知る数少ない人物だ。連続テレビ小説『エール』(NHK総合)やドラマ『コントが始まる』(日本テレビ系)、映画『偶然と想像』など話題作への出演が続く古川に、「演じるのが難しかった」という本作の経験から、自身の高校時代や転機となった作品まで、話を聞いた。

■高校時代は「“ザ・優等生”だった」

ーーネタバレになってしまうのであまり詳しくは書けないのですが、後半の畳みかけるような展開に圧倒されました。古川さんは作品をご覧になっていかがでしたか?

古川琴音(以下、古川):自分が出ているのでどうしても客観的に観れない部分があるのですが、今年に入ってから撮影したばかりだったので、いろんなことを考えながら観ました。でもやっぱり、透(道枝駿佑)と真織(福本莉子)の2人がすごくきれいだなと思いました。

ーー道枝駿佑さんと福本莉子さんとは今回が初共演になるんですよね。

古川:お二方とも初共演でした。莉子ちゃんに関しては、三木孝浩監督の『思い、思われ、ふり、ふられ』を観たときに、すごく瑞々しくて爽やかで、儚いイメージがあったんです。でも実際にお会いしたら、儚い部分だけではなくて、すごく芯のある、強さのある人だなと思いました。結構ハキハキしていて、自分の考えもしっかり持っている印象です。道枝くんは年が6つぐらい下なんですけど、彼も本当にしっかりした人で。2人ともすごく大人っぽいなと思いました。

ーー6歳年下の道枝さん、4歳年下の福本さんと同級生役でも、全然違和感がありませんでした。

古川:まだまだ高校生役がいけるとは思っていないんですが(笑)、私も今回は久々に制服が着れることがすごく楽しみだったんです。やっぱり現役の高校生と話すときは、テンポ感だったり興味関心のあることが違ったりするので、演じる上では自分の過去を掘り下げて、その年代に歩み寄ることが必要かなと思っているんですけど、今回は撮影地が自分の母校に近かったので、そういった意味でも当時のことを思い出したりして戻りやすかったです。

ーーちなみに古川さん自身はどんな高校生だったんですか?

古川:すごく真面目でした(笑)。“ザ・優等生”だったと思います。勉強もそうですし、校則とかもきちんと守っていたので、泉とは全然違うタイプの高校生でした。

ーーでは、自分自身の高校時代のどのような部分を役に生かしたんですか?

古川:高校生の頃の自分とはほとんど真逆だったからこそ、客観的に見て掴める部分が多かったんです。例えば服装ひとつにしても、校則を破る人は、それなりのポリシーがあったり、自分がどうしたいかはっきりわかっている人だと思うんですよね。だからこそ自己主張ができるというか。そういう切り口から、泉の服装は奇抜な色使いだったりするので、何かから身を守っているようなファッションなんだろうなと思ったり。そういう捉え方をしていました。

ーー真織と透を見守り、応援する良き理解者となる泉ですが、2人の未来を大きく左右する重要な鍵を握る人物でもあります。

古川:真織と透の全てを知っているのは泉だけなんです。なので、2人の記憶をつなぐことが、泉の一番の役割なんだなと思って演じていました。あと泉は、真織にとっての“ナイト(騎士)”として、いろんなことから真織を守ることによって、自分自身の存在意義を保っていたところがあったと思うんです。それが、透という存在が現れたことによって、単純に悩みを共有できる相手ができたという安堵感もありつつ、どこか寂しく感じる部分も生まれてくるというか……透に真織をとられてしまうんじゃないかという嫉妬心も抱えた、複雑な役だなと思いました。

ーーそうですよね。観ていてとても複雑なキャラクターだと思いました。演じるのも難しかったのでは?

古川:本当に難しかったです。どんな人に対しても何かを隠して接しなきゃいけないのが、苦しいなと思いました。私が演じる上で意識していたのは、やっぱり真織のことを一番に考えて、その場にいることでした。泉は真織の“用心棒”的な存在なので、真織は何に困っているんだろうとか、何を補足してあげれば今日を楽しく過ごせるかなということを、常に考えるようにしていました。

■デビューから4年、変化は「ほとんどない」

ーー古川さんのお芝居は、セリフがダイレクトに伝わってくるのが特徴的だなと思っていて。この作品は観ていて特にそう思ったのですが、古川さんが役を演じる上で意識していることがあれば教えてください。

古川:ありがとうございます。やっぱり、いま感じていることを大切にしたいと思っていて。この言葉を強く言おうとか、こういうふうに見せようということは1回は考えるんですけど、本番ではそれは置いておいて、相手のお芝居を受けて、自分がいま何を感じているのかを優先するようにしています。

ーー共演する方によって変わってくる部分もあったりすると。

古川:そうですね。あとは台本を読んだときに、「ここで感情がこみ上げて泣くだろうな」と思ったとしても、いざ本番でそういう感情にならなかったら変えていきます。

ーーこの作品でもそういうことがあったりしたんですか?

古川:今回はほとんどありませんでした。というのも、今回は撮影に入る前に、三木監督から手紙をいただいたんです。その手紙には、監督が泉という役をどう受け止めているか、泉はどういう愛情を持ったキャラクターか、ということが書かれていて。私もその手紙をもとに役作りをして、現場でも監督と話し合うことがたくさんありました。

ーー三木監督の作品に出演するのは今回が初となりましが、三木組はいかがでしたか?

古川:表情の切り取り方が本当にすごいなと思いました。感情を思いっきり出すシーンって、本来はあまり人には見られたくない表情じゃないですか。でも三木監督は、すごくきれいに撮ってくださっていて。顔の造形だとかそういう意味ではなくて、パッションの部分がちゃんと伝わるというか。そういう瞬間を確実に拾い上げてくださっていたのがすごく嬉しかったです。

ーーデビューからまだ4年ということに驚かされるわけですが、今年に入ってからも映画やドラマ、舞台などますます活動の幅が広がっているように感じます。

古川:すごくありがたいことではあるんですけど、私自身はこの仕事を始めたときからあまり変わっていないと感じているんです。目の前のことをきちんとやるというスタンスで、基本的にやっていることも体感としてもほとんど変化がないというか。それが結果的にいまのお仕事にもつながっているのはいいことかなと思います。

ーーこれまで出演してきた作品の中で、自分の中で転機となったのはどの作品ですか?

古川:濱口竜介監督の『偶然と想像』です。公開は昨年でしたが、撮影は3年前くらいにやっていて、そのときに1カ月くらい濱口監督とリハーサルをやったんです。そこで学んだことが全ていまの自分のお芝居のベースになっていて。それまでは、“自分がどう表現するか”ということに重きを置きすぎていたんですけど、濱口さんとのリハーサル後からは、先ほど言ったような、“相手の反応から自分が何を感じるか”ということを大事にするようになりました。

ーー3年前というと、デビューしてまだ間もない頃ですよね。

古川:なので、すごくラッキーだったと思います。中学・高校の演劇部でお芝居をやっていたとはいえ、お芝居について誰かに何かを教えてもらうことがあまりなかったんです。そんな仕事を始めてまだ間もない頃に濱口さんと出会って、いろんなことを教えていただいたことによって、いまの自分が出来上がっていると思います。(取材・文=宮川翔)

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