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【東区】峯光寺(ほうこうじ)「ヨガと坐禅と写経の会」で自己と向き合い心爽やか

  • 2022.8.10
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観光名所で拝観するような名刹(めいさつ)は別として、お寺というのは一般的に、葬儀か法事の時しか自分から足を運ぶことはないという方も多いのではないでしょうか。私もそうでした。 「でした。」と過去形なのは、先月、葬儀・法事以外の目的でお寺に行ってきたからです。札幌市東区にある曹洞宗寺院「峯光寺(ほうこうじ)」で、毎月一回開催されている「ヨガと坐禅と写経の会」に参加する為でした。

ある日突然、「坐禅をしてみたい!」と思い立った私は、市内で坐禅体験が出来るお寺をネット検索してみたところ、坐禅だけでなく写経にヨガと、興味あるものが3つもプログラムに入っている峯光寺の「ヨガと坐禅と写経の会」を発見。「ここだ!」と参加を決めたのでした。

緊張と期待を抱えて…

峯光寺の「ヨガと坐禅と写経の会」は、定員10人・事前予約制です。私は峯光寺のHPで詳細を確認後に参加希望メールを送信(申し込みはメールのみ)し、参加承諾の返信を頂きました。通常は、毎月最終日曜日に開催されているのですが、7月はお寺の都合で一週間早い開催でした。

さて当日。緊張と期待と、ほんの少しの不安も抱えて境内に入りました。

出典:リビング札幌Web

門の横の掲示板に開催日の告知が。

出典:リビング札幌Web

本堂(左)と本堂に続く入り口(写真右側)

最初のヨガでリラックスモードに

坐禅・写経を指導してくださる小野隆見(おの りゅうけん)副住職とヨガ指導担当の、ゆみ先生(ヨガソロイスト yoga salon easespace代表)です。(写真撮影の間だけ、感染予防対策のマスクを外していただきました。)

出典:リビング札幌Web

開始時間の14:00になり、本堂でヨガからスタート。 ヨガマットは、持参するのが理想的ですが、お寺で貸し出しもしています。 この日の参加者は私を含めて9人。ストレッチで体をほぐしていき、ヨガのポーズに移行していきます。つい周囲の人と見比べ、自分の体の硬さを改めて自覚して情けなくなった私…。ですが、徐々にリラックスモードに入っていきました。

出典:リビング札幌Web

「ゆっくり息を吸ってー…。」「吐いてー…。」 リラックス出来るのは、ゆみ先生のゆったりと穏やかな口調も効いているのだろうと感じられます。これまでの私のスポーツジム等でのヨガ体験とは、良い意味で違っていました。

ゆみ先生が何度か「個人差があるので。」と言ったのが印象に残りました。骨格や筋肉の状態、体の柔軟さには個人差があるので、お手本のようなヨガのポーズが出来なくても気にしなくて良いという意味です。 これまで私は、自分の硬い体を無理やりヨガのポーズに合わせようと悪戦苦闘していたので、とても気持ちが楽になりました。

出典:リビング札幌Web

小野隆見副住職(左から3人目)もヨガに参加。

いよいよ坐禅体験!

1時間のヨガが終了すると、いよいよ坐禅です。 貸出し用に並んでいる坐蒲(ざふ)をお借りします。坐禅用の丸型の蒲団で、これをお尻の下に置いて体を支えます。(下の写真)コロンとした形がカワイイ〜…と思った私は不謹慎?

坐禅の前に、御本尊の釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)の前に立ち、曹洞宗の正式なお拝の所作を三回繰り返す「三拝」を行います。一挙に私の緊張感が蘇りました。

出典:リビング札幌Web

坐禅は、右足を左足の上に深くのせて左足を右足の上にのせる「結跏趺坐(けっかふざ)」という坐り方で行いますが、体が硬い私には無理…。もう一つの坐り方の「半跏趺坐(はんかふざ)」にしました。左足を右足の上にのせるだけです。私の場合、これも結構辛いですが…。

「痛くて組めなければ両足を下ろして坐っても構いませんよ。」と小野隆見副住職の優しいお言葉が。でも、なんとか半跏趺坐で頑張ってみようと決意。

その後、坐禅中の手の組み方(右手の甲を左ももの上にのせ、左手の甲を右手のひらにのせて親指を軽く合わせます。)や視線の位置等、独特の興味深い作法の指導が続き、やがて、静まり返ったお堂内に鐘の音が三回響き渡りました。坐禅開始を告げる合図です。

出典:リビング札幌Web

坐禅中の呼吸は、鼻でゆっくりと腹式呼吸をします。自分が普段している呼吸とは明らかに違うのでなかなか思うようにいかず、ついその事が気になってしまいます。生まれた瞬間から私は息をしていたのに、この坐禅の間ほど、自分の「呼吸」を意識したことは無かったと思います。

正直、坐禅中の私の頭の中は、雑念(足が痛い〜など。)だらけでした。けれども自分が坐っている静かな空間がとても心地良く、ある瞬間、「しばらくこの場に身を委ねていたい…。」という思いが浮かんだのもまた確かなことでした。

足の痺れに耐えながら…

静寂を破る鐘の音が鳴り響きました。坐禅終了の合図です。どれだけの時間が経過したのか、長かったような短かったような不思議な感覚でした。が、これで終わりではなく、全員で堂内をゆっくり歩行する「経行(きんひん)」という行が控えています。

小野隆見副住職の解説に従い、ひと呼吸する毎に半歩、のペースで時計回りに進みます。痛さと痺れを我慢している足で皆についていけるのか?と不安だった私ですが、足の痺れに耐えながら独特の歩行を繰り返している内に、足の苦痛が少しづつ軽減していきました。

『これって…もしかして、痺れた足を回復させるのも兼ねた作法だったりして?』またもや、不謹慎かもしれない考えが浮かんでしまった私でした。

出典:リビング札幌Web

経行の様子。手は、左手の親指を中にして握り、右手の甲を上に向けて左の拳にのせる作法。

「体験する」ということ

峯光寺は曹洞宗、禅宗のお寺です。経行終了後、小野隆見副住職の講話がありました。 「何事も、自分で経験してこそ初めて理解できる。」という、禅の精神の一端についてでした。坐禅と経行を体験したばかりの私には格別に心に響くお話でした。

私事になりますが、ずいぶん昔から私は「禅」に惹かれていて、関連本を読んだり映画やテレビ番組を観たりしていたのですが、それらで触れた「禅」の知識よりも、この日の体験の方が、遥かに強烈な印象でした。(と、お気楽人間の私が言うのは畏れ多い気もしますが…。)

何事も体験あるのみ!という思いを胸に、最後のプログラムの写経です。既に写経の道具が準備されている部屋に移動しました。

出典:リビング札幌Web

小野隆見副住職が蝋燭に火を灯し、火が消えるまでが写経の時間です。全員無言で、集中して書き進めます。坐禅の時と同様、静謐(せいひつ)な空気が漂う中での写経体験です。

それにしても、つくづく盛り沢山な、峯光寺の「ヨガと坐禅と写経の会」。 ヨガの、ゆみ先生から聞いた話によると、坐禅とヨガの会は、初開催から相当の年数が経っているそうですが、写経が加わったのは三年程前からとのこと。そもそもは、ゆみ先生も、坐禅がしたくて峯光寺に通っている内に、お寺側から、ヨガをプログラムに追加したらと誘われたのがきっかけだそうです。

出典:リビング札幌Web

透けて見える文字をなぞるだけなので、字に自信がなくても大丈夫。筆記具も筆ペンなので楽。

清々しさと充実感と

終了を告げる副住職の声が聞こえました。手元の時計をふと見ると、およそ20分が経過していました。途中までしか書けなかったので残念…。とはいえ、一回で書き終えられなくても不思議ではない文字数なのですが。 書きかけの写経用紙は保管され、次回に参加して続きを書くことが出来ます。全て書き終えた際、希望すると御朱印を授与して頂けるそうです。

最後の写経まで、約2時間半に渡った「ヨガと坐禅と写経の会」でした。 終わってみるとあっという間の時間で、日常の、何ともいえない不安や不愉快な記憶やらが、綺麗さっぱり洗い流されて、「心の大掃除」をしたような気分になれました。

普段はなんとなく敬遠しがちな「お寺」ですが、実は、静かに自己と向き合い、忘れていた何か大切なものに気づく事が出来る貴重な時間を過ごせる場所でした。

※「ヨガと坐禅と写経の会」参加を検討する際は、HPで詳細を確認することをお奨めします。

峯光寺 (ホウコウジ) 住所 札幌市東区北丘珠4条1丁目17-1 TEL 011-782-3607 駐車場 あり URL https://www.houkou.org

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