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フォンダシオン ルイ・ヴィトンで色彩に歓喜するふたつの展覧会。

  • 2022.8.9
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フォンダシオン ルイ・ヴィトンで春に開催が始まった『色のフーガ』展と『シモン・ハンタイ(1922~2008) 』展は、どちらも色彩をめぐる展覧会である。ことさら暑い今年のパリの夏、アート作品にあふれる色と戯れて、2022年の鮮やかな旅の思い出を作ろう。

『色のフーガ』展

『色のフーガ』展は財団の最上階のギャラリー8から10での開催で、5名のアーティストの作品を展示している。会場で色彩のパワーを放っているのは、サム・ギリアム(1933~)、スティーヴン・ パリノ(アメリカ、1958-2005)、ニエル・トロニ(スイス/フランス、1937)の作品群。そしてカタリーナ・グロッセ(1961年~)とミーガン・ルーニー(1985年~ )がフォンダシオン ルイ・ヴィトンのために壁、床などギャラリー空間そのものに制作した作品だ。ルーニーの作品『With Sun』は作品は天窓から射し込む光によって表情を変えるので、天候次第でギャラリーを去りがたい、という状況になってしまうかもしれない。横長の広い会場、ダイナミックに壁と床に色を踊らさせたのはグロッセ。作品『Spliter』の中に身を置くと、弾ける色彩のエネルギーに連れ去られるような錯覚が……。

左: Sam Gilliamの作品は左から『Carousel Imerge』(1971年)、『Carousel Form II』(1969年)、『Carousel』(1970年)右: Steven Parrinoの作品。右の壁は『Spin-out voltex 』(2000年)。photos:Mariko Omura

左: NieleToroni の1966年から1997年までの作品。右: Megan Rooneyの『With Sun』(2022年)。photos:Mariko Omura

Katharina Grosseの『Splinter』(2022年)photo:Mariko Omura

『シモン・ハンタイ(1922~2008)- 100周年記念展』

ギャラリー1~7で開催されているのは『シモン・ハンタイ(1922~2008)- 100周年記念展』。1957年から2000年にかけての作品を中心に、130点以上を展示する回顧展だ。中にはフォンダシオン所蔵の4点、ほどんどが未発表のシモン・ハンタイのスタジオコレクションが含まれている。会場内、彼の創作に決定的な影響を与えた芸術家の存在を浮き彫りにするべく、アンリ・マティスやジャクソン・ポロックの作品も展示。また彼と友情関係を築いていたダニエル・ビュランは、彼にオマージュを捧げる『シモンのための壁』をこの展覧会のために制作した。

左: 展覧会の入り口。ダニエル・ビュランのストライプに目を引きつけられる。右: 展覧会のポスタービジュアルにも使われている『Tabula』(1980年)。photos:Mariko Omura

1970、80年代に制作された折り畳みのシリーズ『Tabula』を集めた一室。眺めは圧巻だ。photo:Mariko Omura

シモン・ハンタイは第二次大戦後の1948年に祖国ハンガリーを脱出し、フランスで芸術活動を亡くなるまで続けた。その間作品は変化。聖書をテーマに作品を作っていた時代もあるが、1960年代から折り畳んだトワルを平らにして、そこにペイントをする、という制作を始める。晩年は日本の絞り工芸を思わせるような手法で多数の作品を手がけた。この回顧展では彼が国に寄贈した絵画『薔薇色のエクリチュール』(1958-59年)を起点に、「サイン画」「単色画」「マリアージュ」「カタムロン」「パン」「ムーン 」「エチュード」「ブラン」「タブラ」「多色画」「セリグラフ」「レッセ」と彼の作品の主要な時期を取り上げている。そして「最後のアトリエ(1983~1985)」では1982年以降、公の場で作品を発表せず、アトリエにこもって作業した彼の制作にフォーカスが置かれている。フランスでもこうして彼の作品を時代を追って見られる機会は珍しい。

左: 1950年代後半の作品。右: シリーズ「Mariales」にみられる折り畳みの仕事から、1962年の『Marial mc 3』。photos:Mariko Omura

左: この向かいの壁に、彼に影響を与えたアンリ・マティスの切り絵『Nu bleu IV』(1952年)を展示。右: 鉱物の美しさを感じさせる作品。photo:Mariko Omura

左・中: プリーツを畳み、糸で縛るテクニック。会場内の映像で作業工程を見ることができる。右: 画家にオマージュを捧げるダニエル・ビュランの『シモンのための壁』。photos:Mariko Omura

展示の締めくくりとなる部屋は「最後のアトリエ」。photo:Mariko Omura

『La couleur en fugue』展、『Simon Hantaï』展開催中~8月29日Fondation Louis Vuitton8, avenue du Mahatma GandhiBois de Boulogne, 75116 Paris開)11時(土日10時)~20時(金21時)休)火料:14ユーロwww.fondationlouisvuitton.fr

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