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『からあげビーチ』【今日の絵本だより 第307回】

  • 2022.8.7
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kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。 こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『からあげビーチ』 キリーロバ・ナージャ/作 古谷萌、五十嵐淳子/絵 文響社 1848円

前回は海が舞台のお話をご紹介しましたが、今回も海つながりのお話を。 『からあげビーチ』は、ビーチが舞台、登場人物はみんなからあげという、ちょっと変わったお話です。

待ちに待った夏休み。 からあげの3人家族が、青い空の下、車でビーチに向かいます。 着いたビーチには、世界中から来たからあげがいっぱい。 からあげ家族は、茶色の衣を脱いで裸の鶏肉姿になって、 「ふー! すずしいー!」 するとむこうに、あれ、見たことのないからあげ(の中身)が。 タコだ! 「えっ!? からあげは タコも アリなの?」 と3人はびっくり。 タコのからあげは、お肉を食べられない人向けなんですって。

みんな衣を脱いでいるビーチでは、他にもいろんな鶏肉以外のからあげがいます。 野菜しか食べられない人向けの、でもお肉そっくりのだいずミート。 大豆アレルギーの人向けの、さといも。 中身は同じ鶏肉でも、脱いだ衣が違うからあげもいます。 小麦アレルギーの人向けの、グルテンフリーって言うんですって。

食物アレルギーという体質の問題だけでなく、イスラム教の教えで豚肉を食べられない人、野菜中心のベジタリアン、さまざまな理由でそれぞれに食べられないものがある人がいるということを、わかりやすく伝える一冊。 なんといっても子どもが大好きなからあげが主人公なのが、いかしていますよね。 巻末の解説では、ヴィーガン、ハラールなど、大人でもさっとは説明できないような言葉も詳しく説明されています。 作者のキリーロバ・ナージャさんは、旧ソ連生まれ。 両親の転勤に伴い世界6カ国の転校を経験し、さまざまな「違い」を体験したことから、多様性を伝える絵本を複数刊行しています。 発売中のkodomoe8月号では、巻頭特集「絵本を旅する」内の「絵本で世界をめぐろう」のページで、その転校体験を描いた『ナージャの5つのがっこう』(大日本図書)をご紹介しています。 ぜひあわせてご覧ください。

選書・文 原陽子さん はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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