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パリ、セザンヌづくしのデジタルアートで南仏の光を浴びる。

  • 2022.8.6
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セザンヌの世界に遊ぶ35分間。photo:Mariko Omura

エクス・アン・プロヴァンスまで行く時間がなくても、パリにいながらセザンヌの世界を体感することができるのが現在アトリエ・デ・リュミエールで開催中の『セザンヌ、プロヴァンスの光』展だ。パリ生活も経験したが、エクス・アン・プロヴァンスに生まれ、そこで亡くなった画家ポール・セザンヌ(1839~1906年)。10m近い高さの天井を持つかつての鋳造工場に生まれた会場内の周囲の壁、天井、床の全面にセザンヌが描いたポートレート、風景、静物……が投影される。彼が残した油彩900点、水彩400点の中から選ばれた作品が次々と現れて、来場者を南フランスの光と色彩で包み込むのだ。中には有名なりんごの静物画や『カード遊びをする人々』なども含まれている。

導入部。ルーヴル美術館を訪問したり、サロンに出品した作品が落選したり……という画家としての初期の時代。photos:Mariko Omura

魅了され、亡くなるまで描き続けたサント・ヴィクトワール山。自由な筆使いが会場に広がる。 © Culturespaces/Cutback 

「近代絵画の父」と称えられ、ピカソからは「僕たちみんなの父」と呼ばれた彼だが、出品するサロンでは落選続きだった。彼がフランス画壇に受け入れられるようになるのは56歳の時に、画商アンブロワーズ・ヴォラールが開催した彼の個展によって、とかなり遅い。この35分のデジタルアート展では、彼が若い頃にルーヴル美術館で過ごした時間が導入部で、フィナーレは彼が44点の油彩と43点の水彩に描いたサント・ヴィクトワール山だ。その間、森や庭など自然への賛歌、水浴図、内面の苦悩、プロヴァンスの村々、画家のアトリエ、プロヴァンスの風景という6つのテーマで展開する。映像に合わせて選ばれた音楽はジャズ、クラシックなどいつものように心憎いミックスだ。

イントロダクションに続き、庭や森など自然をテーマに展開する。 © Culturespaces/Cutback 

左: 水浴者たちを描いたポール・セザンヌ作『Les Baigneurs』(1899-1904年) The Art Institute of Chicago, IL, USA, © Amy McCormick Memorial Collection / Bridgeman Images右: 会場内を満たすセザンヌの水浴者たち。photo:Mariko Omura

自画像で構成されたテーマは「内面の苦悩」だ。 © Culturespaces/Cutback 

左: ポール・セザンヌ作『 La Maison du Jas de  Bouffan』(1882-85年) collection privée, Photo © Christie’s Images / Bridgeman Images 。セザンヌの父が購入し、1899年まで一家が所有したエクス・アン・プロヴァンスの家。セザンヌはここで多くのインスピレーションを得た。右: 『カード遊びをする人々』。1890年代に始まり、同じテーマで5点の作品をセザンヌは残している。

左: アトリエで静物画制作。photo:Mariko Omura右: マルセイユの村エスタックを木越しに描いたポール・セザンヌ作『Vue de l’Estaque à travers les arbres』(1879)collection privée, Photo © Christie’s Images / Bridgeman Images 

なお、この『セザンヌ、プロヴァンスの光』展の後、10分の短編『カンディンスキー、抽象への冒険旅行』が続く。モスクワ生まれの画家ワシリー・カンディンスキー(1866~1944年)。第1部は彼のロシアのフォークロアへの思い出がこめられた作品、第2部は色彩とフォルムの実験的な作品で、という構成だ。音楽が感じられ、色彩が踊るような作品が会場を埋めつくす。

カンディンスキーの弾けるカラーを堪能する10分間。 © Culturespaces/Cutback 

『Cézanne, Lumières de Provence』展開催中~2023年1月1日L’Atelier des Lumières38, rue Saint-Maur75011 Paris開)10:00~18:00(月~木)10:00~22:00(金、土)10:00~19:00(日)無休料)16ユーロwww.atelier-lumieres.com

 

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