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『あさがお』【今日の絵本だより 第302回】

  • 2022.7.20
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kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。 こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『あさがお』【今日の絵本だより 第302回】の画像1

『あさがお』 荒井真紀/文・絵 金の星社 1320円

前回ご紹介した『およいでいえにかえりたい』は、小学校からあさがおの鉢を持ち帰る帰り道でのお話でした。 今回は、あさがおそのものが主役の絵本、『あさがお』をご紹介します。

最初のページには、手のひらにひと粒、黒い種。 「これは、あさがおの たねです。 4がつの おわりから 6がつごろにかけて、 あさがおの たねを まいてみましょう。」 指で土に穴をあけて種を落とし、土をかぶせると、土の中で根が伸び、種の皮を破って、双葉が顔を出します。 「あさがおは たいようの ひかりを いっぱい あびようと、 ふたばを おおきく ひらきます。」 本葉が出て、つるが出ると、 「つるは、そらに むかって どんどん どんどん のびていきます。」 青空を背景にした縦の画面に、あさがおのつると葉が堂々と、今この瞬間にもまた上にのびていきそうに描かれています。 そして、つると葉の根元の間にできたつぼみは、まだ暗い夜明け前からゆっくりほどけていき、空が明るくなる頃に、 「みごとな はなが さきました!」

見慣れたはずのあさがおがもたらす、静かな、確かな感動。 ゆっくり、じっくり観察すれば、一粒の種はこんなにも美しいドラマを秘めています。 科学絵本なのに温かい読後感なのは、すみずみまで見つめて丁寧に写し取った細密な絵と、言葉の端々にあふれる、あさがおへの愛情からでしょうか。 花がしぼんで落ちても、 「でも、これで おわりでは ありません。」 花のつけねに、新しい種を宿すあさがお。 次世代に命をつなげたあさがおの一生を見た後は、最後のページで再び出会う 「あさがおの たねを まいてみましょう。」 という言葉に、思わず「はーい!」と手をあげたくなります。

選書・文 原陽子さん はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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