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数々の科学者を悩ませてきた難問。「ネコは、なぜ背中から落としても足から着地するのか」

  • 2022.7.19
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「ネコひねり」をご存じだろうか。またの名を、「ネコの立ち直り反射」、「ネコの宙返り」、「キャットツイスト」などと言う。

「ネコひねり」とはずばり、ネコを高いところから背中を下にして落とすと必ず足から着地する現象のことだ。最初にどんな姿勢であっても、ネコは空中でひらりと身をひねり、何事もなかったかのように着地する。

この芸当、簡単なように見えて、実は物理学的な説明がものすごく難しい。史上数々の科学者たちがこの難問に挑み、とうとう一冊の本になったほどだ。『「ネコひねり問題」を超一流の科学者たちが全力で考えてみた』(ダイヤモンド社)。著者のグレゴリー・J・グバーさんは、米ノースカロライナ大学シャーロット校の物理学・光科学教授。10匹のネコを飼っている。

科学が誕生した頃から科学者は猫の落下に興味を惹かれてきたし、その興味もいろいろな分野にわたっている。ある分野で猫の落下問題への興味が薄れるたびに、別の分野でタイミング良く何か新しい事実が見つかるのだ。

「電磁気」の理論を発見したジェームズ・クラーク・マクスウェル、数学や流体力学や光学に大きな貢献をしたジョージ・ガブリエル・ストークスなど、ネコひねり問題に心を奪われて真剣に解き明かそうとした著名な科学者は数知れない。しかもネコひねり問題は、写真術、神経科学、宇宙探査、ロボット工学など、さまざまな科学技術を進歩させたという。

ネコひねり科学のあらゆる歴史が、この一冊に。あの小さな柔らかい体に秘められた科学の謎を、本書がひもといてくれる。

ただし、ネコひねり問題の真相がどんなに気になっても、身の回りのネコを故意に高いところから落とすことのないように。どうしてもネコひねりの様子が見たかったらインターネットで動画を検索しよう。

〈目次〉
はじめに 猫はおかしい
お願い
第1章 「ネコひねり問題」に魅かれた有名物理学者たち
第2章 謎は解明されたか?
第3章 馬の運動
第4章 フィルムにとらえられた猫
第5章 回って回って
第6章 地球を揺るがす猫
第7章 猫の立ち直り反射
第8章 猫、宇宙へ!
第9章 謎を隠しつづける猫
第10章 ロボット猫の進化
第11章 いまだ残る数々の難題
第12章 猫の宙返りと基礎物理学
第13章 科学者と猫
訳者あとがき

【著者】グレゴリー・J・グバー
ノースカロライナ大学シャーロット校、物理学・光科学教授。飼っている猫の大家族、サーシャ、ゾーイ、ソフィー、クッキー、ラスカル、マンダリン、ドリー、ミツィー、デイジー、ホッブズ、そしてもう死んでしまった、サイモン、サブリナ、フラフ、ゴールディ、マイロをこよなく愛す。そして、本書が初の一般書となる。

【訳者】水谷淳(みずたに・じゅん)
翻訳家。主に科学や数学の一般向け解説書を扱う。主な訳書にチャム、ホワイトソン『僕たちは、宇宙のこと ぜんぜんわからない』(ダイヤモンド社)、アル=カリーリ、マクファデン『量子力学で生命の謎を解く』(SBクリエイティブ)などがある。

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