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暑い夏こそ!都心の「銭湯」でリフレッシュ。 映画の舞台や、観光名所が見える場所も

  • 2022.7.12
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蒸し暑さのなか湯船につかりたくても、ついシャワーで汗を流して終わりという方も多いのではないでしょうか。今回は都心でリフレッシュできる魅惑の「銭湯」について、旅行ジャーナリストのシカマアキさんが解説します。

都内の銭湯は500ヵ所弱、近年は訪日外国人旅行者に人気

昔懐かしい「銭湯」が、東京都内で年々減り続けています。

銭湯ならではの煙突 ※イメージ(画像:photoAC)

東京都浴場組合の統計によると、1965年(昭和40年)には都内に2641もの銭湯があったとのこと。ピークは、1968年(昭和43年)の2687ヵ所。その数は徐々に減り続け、10年前の2012年(平成24年)が741 、2021年(令和3年)は481です。区市町別では、大田区の35が最多で、江戸川区の32、板橋区の28、足立区の27、世田谷区の25と続きます。

一方、23区以外の郊外ほど少なく、青梅市、日野市、福生市、清瀬市、多摩市、稲城市、羽村市、大島町がゼロ。23区内に限ると、最少が港区と千代田区の4、文京区の5ヵ所で、なんとか生き残っている感も。

銭湯は、近年に続々オープンするスーパー銭湯や、本格的な温泉などとは異なる魅力があります。なにより誰もが気軽に利用でき、料金も安いです。最近は「日本らしさが体験できる」と、訪日外国人旅行客にも人気。東京23区でぜひ行きたい銭湯をピックアップしてご紹介します。

昭和レトロな銭湯は今も健在、映画の登場人物の気分になれるかも!?

北区にある「稲荷湯」は、大ヒットした映画『テルマエ・ロマエ』にも登場して一躍有名になりました。明治末期創業のレトロ銭湯で、登録有形文化財でもあります。

とても狭い路地に、入り母屋造りの玄関、破風屋根が重なる社寺風の建物は、1930年(昭和5年)完成。今見てもなかなか壮観です。46度を超える熱湯など3つの湯船があり、昭和レトロが感じられる番台も健在。お湯を抜いた「ぬ」、お湯が沸いた「わ」などの昔ながらの案内も必見です。

銭湯と言えばレトロな外観 ※イメージ(画像:photoAC)

1773年(安永2年)創業、江戸川区の老舗銭湯「あけぼの湯」は、男湯と女湯ともに2階建てなのが特徴。ジェットバス、電気風呂、岩盤泉、牛乳風酵素風呂など12種類のお風呂があります。

特に、富士山やお台場、タヒチの海などが描かれたタイル絵の壁がユニークで、これは銭湯を経営する家族が訪れた場所なのだそう。無色透明の温泉はぬるくて肌触りよく、芯から温まるので身体が冷えにくいのもうれしい点です。

足立区にある「タカラ湯」は、1927年(昭和2年)創業。特に男湯に、縁側と鯉が泳ぐ池があり、都心とは思えないほど情緒ある空間です。富士山と飛行機が描かれた浴室は、ドラマの撮影で使われたこともあるとのこと。一方、女湯にはメダカが泳ぐ坪庭があります。

週1回、男湯と女湯の入れ替えがあるので、両方体験したい人はどの日なのか事前にチェックしましょう。

露天風呂からあの観光名所が見える! 光の演出が斬新な銭湯も

昭和25年(1950年)創業、墨田区の「荒井湯」は、浴室にペンキ絵で大きく描かれた葛飾北斎の『富嶽三十六景』が見もの。銭湯外観の瓦屋根、鯉が泳ぐ池など、昭和のレトロ感満載です。洗い場には地元の新名所、東京スカイツリーができるまでの展示も。

墨田区にもう1つ、“露天風呂から東京スカイツリーが見える”銭湯があります。1949年創業(昭和24年)創業の「大黒湯」で、弱アルカリ性の天然温泉である露天風呂につかりながらスカイツリーがちょっとだけ見えるというのも、なかなかレアな体験でしょう。

大小2つの露天風呂のほか、サウナ、ジェットバス、歩行湯、日替わり薬湯など風呂も充実。男湯と女湯それぞれ設備が異なるため、日替わりでの入れ替え制。東京スカイツリーの観光ついでの利用もおすすめです。

 

近年のサウナブームで銭湯のサウナも人気(画像:photoAC)

練馬区にある「天然温泉 久松湯」は、2014年(平成26年)リニューアルオープン。他の昭和レトロな銭湯と異なる、現代的なデザインが特徴です。明るい雰囲気のサウナ、浴室ではプロジェクションマッピングも見られます。その他、露天風呂、電気風呂、季節風呂など、新しいスタイルの銭湯が体験できます。

利用料金は大人500円一律、広い風呂は心身のリフレッシュ効果も

東京都浴場組合に加盟する銭湯は、どこを利用しても一律料金です。その料金は、2022年7月15日から、12歳以上500円、6歳以上12歳未満200円、6歳未満100円です。直近で利用料金の値上げがあったものの、まだワンコイン(500円)で利用できるのはありがたい点と言えるでしょう。

昔の風呂といえば、銭湯でした。戦後しばらくは多くの自宅に風呂がなく、銭湯が街にいくつもあるのが当たり前。ただ風呂に入るだけでなく、地域の人々と交流を深める場でもありました。

しかし、高度成長期の団地ブームで、風呂・トイレ付きの家が急増。それに伴い、大衆浴場である銭湯の需要も減り続けました。それでも自宅に風呂があっても、銭湯の広々とした浴槽は楽しい思い出がある人もきっと多いはず。

いまや貴重な存在となりつつある銭湯は、ごく近所で身と心をリフレッシュするにも最適な場所。まずは身近なところにある銭湯から、ふらっと訪れて巡ってみてはいかがでしょうか。

シカマアキ(旅行ジャーナリスト、フォトグラファー)

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