1. トップ
  2. 『Dr.STONE 龍水』見どころは千空と龍水が何をしでかすか? 物語から声優まで徹底解説

『Dr.STONE 龍水』見どころは千空と龍水が何をしでかすか? 物語から声優まで徹底解説

  • 2022.7.10
  • 118 views
『Dr.STONE 龍水』(c)米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会

『Dr.STONE』のアニメが帰ってくる。原作は石器時代に戻ってしまった人類が、科学の知識と団結力で文明を再建していくストーリーの少年漫画。第2期まで作られたアニメの終わりで、主人公の石神千空とライバルの獅子王司が繰り広げた覇権争いに決着がつき、2023年放送の第3期では、千空たちがいよいよ世界へと飛び出していく。そこで重要な役割を担うのが七海龍水という男。7月10日に放送のTVスペシャル『Dr.STONE 龍水』で全貌が明かされる。

『アイシールド21』(集英社)の稲垣理一郎が原作を書き、『ORIGIN』(講談社)のBoichiが作画を担当、『週刊少年ジャンプ』(集英社)に2022年春まで連載された漫画『Dr.STONE』。7月4日に単行本の最終第26巻が刊行され、完結した。アニメ化もされ、2019年に第1期が全24話、2021年に第2期が全11話で放送されたが、完結までにはまだ先が残っていた。

科学が大好きで知識も豊富な高校生の石神千空をはじめ、世界中の人間が謎の光を浴びて石化してしまう現象が発生。そのまま文明は崩壊していったが、千空は石になっても長い時間を数え続けて意識を保ち、約3700年後に自力で石化から脱する。人間に戻った千空は、半年後にやはり自力で石化を解いた親友の大木大樹とともに、石器時代に戻ってしまったような世界で暮らし始める。

ここで威力を発揮したのが、千空の科学に関する知識。火をおこし料理をして住居を作っただけでなく、石化した人間を戻す溶液すら開発してしまう。そして、野生化したライオンから身を守るため、霊長類最強の高校生と呼ばれた獅子王司を目覚めさせるが、なぜか司は大人たちを毛嫌いして破壊すると言いだし、人間を全員蘇らせて文明を取り戻したいと願う千空と対立する。

圧倒的な身体能力を誇りながら、決して粗暴ではなく自分なりの考えを口にして千空と対決する司は、アニメ版声優の中村悠一による落ち着いた演技もあって、まさにカリスマといった佇まいを見せていた。対して千空も、司から逃げた先で出会った、石化を逃れた人間の子孫が暮らす村の人たちを科学の力で振り向かせ、味方にしていくしたたかな姿を、小林裕介が『Re:ゼロから始める異世界生活』のナツキ・スバルとは違ったふてぶてしさを感じさせる声で見せてくれた。

ここで繰り出される千空の科学の知識がすさまじい。石器時代に等しい状態から鉄を作り、ガラスも作り、ラーメンやコーラを作り、抗生物質を作り発電機を作り、通信機まで作ってしまう。どれも現代に生きている人にとっては、簡単に作ったり買えたりするものばかりで、「どこでもドア」や「タケコプター」といったドラえもんのひみつ道具のような驚きは少ない。けれども、部品すら手に入らない状況では、普通は作れないものばかり。それを千空は、材料を探し加工のための道具も作って完成へと持っていく。

アニメの中で千空が何かを作り上げてしまうたびに、科学の知識を持つことの素晴らしさ、そして諦めないでチャレンジし続ける大切さを強く感じさせられる。蘇らせた科学の成果を、生活の向上だけでなく司が君臨する帝国との戦いに振り向けざるを得ないところがあるのは寂しいが、そうした武器で誰も傷つけないことを自分たちに課すところに、配慮を感じる。

司が大人を嫌う気持ちにも理由があって、科学によって発展した人類に貧富の差が生まれ、差別が行われるようになった歴史を繰り返させない、という意思の現れだと理解はできる。だからといって、力こそが正義、といった態度には問題があることも示唆される。科学の知識だけでなく、正義と悪、戦争と平和といった問題についても考えさせてくれるところが、この作品の深いところだ。

第2期で千空と司との戦いに決着がついたが、実はそこからが、世界中の人間が石化してしまった現象の真相に千空たちが迫る、本作の真骨頂。舞台も日本から飛び出し、世界の国々へと大きく広がっていくだけに、第3期のアニメでどのような映像になるのかを見たいというファンも多い。

とくに関心を集めていたのが、千空や司と並ぶ存在感を見せる「七海龍水」というキャラクターだ。彼はいったいどのように描かれるのか? それが来年を待たずに7月10日のTVスペシャルで分かるのだ。もう期待しか浮かばない。

七海財閥の御曹司だったという龍水だが、3700年後の世界ではそうした経歴も財産も、まったく意味を持たない。ただ、龍水の場合は、何でも欲しいと思って自分で試し、手に入れながら知識と経験を溜め込んできた。帆船まで作って航海していたというのだから、ただの金持ちではない。自分でロケットを飛ばして宇宙旅行を実現してしまったイーロン・マスクのような男だ。

その龍水が目覚め、何でも作り出す千空と組んでどれだけのことをしでかすのかが、第3期以降の本作の大きな見どころ。『Dr.STONE 龍水』はその前哨戦で、ど派手な登場をして大言壮語し、千空とともに物語を引っ張る姿を見られそう。そんな龍水の声を担当する鈴木崚汰は、『錆喰いビスコ』で主役のキノコ守り、赤星ビスコを演じて、ど迫力のバトルを見せてくれたばかり。傍若無人で唯我独尊なキャラならお手のものといったところを、今回も見せてくれるはずだ。執事で、性別や年齢が一切不明のフランソワともども、注目していきたい。

声に関して触れるなら、アニメ第1期に登場した千空の父親、石神百夜を演じた藤原啓治のハマり具合の抜群さは外せない。宇宙飛行士として国際宇宙ステーションにいて石化を逃れた百夜は、仲間たちとともに世界が復興へと向かうための大きな道筋を残す。家庭では千空の科学好きを支え、宇宙飛行士たちのムードメーカーとして絶望にうちひしがれる仲間たちを鼓舞する百夜を、藤原啓治は『クレヨンしんちゃん』(テレビ朝日系)の野原ひろし、『交響詩篇エウレカセブン』(TBS系)のホランド・ノヴァクに並ぶ、最高のオヤジでありアニキといった感じで演じて見せた。

第1期最終話、「声は無限の彼方へ」で、仲間の歌声とともに驚くべき方法で3700年後まで残したその言葉は、百夜として千空に語ったものであると同時に、ファンに向けて語っているようにも聞こえる。2019年末の放送から4カ月後に、藤原啓治は亡くなった。今一度アニメを見返してその演技に触れることで、第3期以降も走り続ける千空とともに、ラストまで駆け抜けることを決意したい。(タニグチリウイチ)

元記事で読む
の記事をもっとみる