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100年続く老舗も!和菓子屋の閉店相次ぐ…ここにきて存続危機が深刻化した理由

  • 2022.7.3
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2021年、2022年と和菓子屋の閉店が相次いで報道されています。存続危機が深刻になっている背景には何があるのでしょうか。

■和菓子屋閉店が相次ぐ現状とは

昨年から今年にかけて、老舗和菓子店の閉店が相次いでいます。いくつか例を挙げてみましょう。

・宝万頭本舗(2021年2月)
宮城県仙台市で65年以上営業。看板商品の「宝まんぢゅう」のほか、東日本大震災後には「ネコまんじゅう」を発売するなど、意欲的に経営を行っていました。しかし、コロナ禍の影響で業績が低迷し、社長が自己破産を決断しました。

・高田屋(2021年11月)
島根県出雲市の出雲大社近くで200年以上、和菓子の製造販売を営んでいましたが、後継者がいないために廃業。看板商品である紅白のようかんは地元住民だけでなく、観光客にも人気でした。

・菊水総本店(2022年3月)
創業150年の歴史を持つ「瓦せんべい」の老舗。兵庫県神戸市、楠木正成を祭る湊川神社の向かいにあります。瓦せんべいには神社や正成にちなんで菊水紋や正成の焼き印が押されていました。店舗兼工場の老朽化などが原因で閉店を決めたとのことです。

・紀の国屋(2022年5月)
東京都武蔵村山市で創業して74年の和菓子メーカー。多摩地区を中心に23店舗を展開し、「相国最中」が人気でした。1993年に本店工場を新築したことで負債を抱えていましたが、コロナ禍が経営に大きな打撃を与え、自己破産・廃業となりました。

■和菓子屋閉店が相次ぐ理由

和菓子屋が相次いで閉店している背景には、何があるのでしょうか。

ひとつはコロナ禍で観光産業が打撃を受けたことと関係しています。和菓子の中でも、土地の銘菓としての色合いが強いまんじゅうやせんべいは、観光客の減少が売り上げに大きく響いたようです。

また、会社員が得意先を訪問するときなどに、和菓子を手土産として買い求めることも多いのですが、コロナ禍の影響でこうした機会も減りました。

ただし、コロナ禍だけが原因ではありません。コロナ禍前の2018、19年度における菓子メーカー全体の売上高動向を業歴別で見る と、老舗企業とよばれる創業100年以上の菓子メーカー88社のうち、増収となったのは34社で割合にして39.1%でした。一方業歴10~30年未満のメーカー52社では、24社(48.0%)が増収であったことと比較すると、老舗企業の増収の割合は9ポイントほど低くなっています。

老舗企業の中には和菓子メーカーが相当数含まれると考えられ、コロナ禍前から和菓子メーカーが苦戦していたことが伺えます。

手土産だけでなく、日常的に家庭で食べるためにも購入される洋菓子に比べ、和菓子を日常的に家で食べるという人は少なく、どうしても購入動機が土産用になりがちです。特に、若い人の間では和菓子離れが進んでいるという調査もあるようです。

■これから和菓子店が生き残っていくためには

コロナ禍前から、若い人を中心に嗜好の変化から和菓子の消費が減少していたことに加え、コロナ禍で需要がさらに落ち込んだ和菓子。今後、和菓子店が生き残るには「土産物ニーズ」から脱却する必要があります。

すでに、個別包装や1個からの販売を行うなど、日常的に気軽に食べてもらえる工夫を行っている和菓子店はあります。また、洋風の味を取り入れたり、インスタ映えするようなパッケージを取り入れたりして積極的に若い層へアピールする店も登場しています。和菓子に新たな価値を与えることで、新しい市場が生まれる可能性は十分にあるのです。

文・はせがわあきこ

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