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60歳を迎え、キャリア最高の輝きを放つトム・クルーズが『トップガン マーヴェリック』で見せる現在進行形

  • 2022.7.3
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日本はもちろん世界中で大ヒットを記録している『トップガン マーヴェリック』(公開中)。作品自体も熱狂的に受け止められているが、観た人多くの心をつかんでいるのが、マーヴェリック役、トム・クルーズの勇姿である。前作『トップガン』(86)の主演によってハリウッドのトップスターに登りつめてから36年。いまもその地位は揺るがないどころか、ここへ来てキャリア最高の輝きもみせているクルーズ。改めて、彼の映画人としての魅力を振り返ってみたい。

【写真を見る】『トップガン』出演時、24歳だったトム。精悍さはいまも失われてない

【写真を見る】『トップガン』出演時、24歳だったトム。精悍さはいまも失われてない [c]Everett Collection/AFLO
【写真を見る】『トップガン』出演時、24歳だったトム。精悍さはいまも失われてない [c]Everett Collection/AFLO

『トップガン』、『トップガン マーヴェリック』でプロデューサーを務めたジェリー・ブラッカイマーが、今回の来日時にトムについてこんなことを語っていた。

「映画に対しても、人生に対しても熱量がものすごい。好奇心の塊で、何より、観客を満足させたいという欲求が異常に高い」。

「CGIは使わない」というトムのこだわりで、戦闘機のコックピットにIMAXカメラ6台を搭載して撮影(『トップガン マーヴェリック』) [c]2022ParamountPicturesCorporation.Allrightsreserved.
「CGIは使わない」というトムのこだわりで、戦闘機のコックピットにIMAXカメラ6台を搭載して撮影(『トップガン マーヴェリック』) [c]2022ParamountPicturesCorporation.Allrightsreserved.

その言葉どおり、トムが前人未到のチャレンジを続けていることは周知のとおり。『トップガン マーヴェリック』でも自ら戦闘機のF/A-18に乗り込んで撮影に臨んでいるが、これには急激なG(重力加速度)の変化に耐えるトレーニングが必要だ。そこでトムはアメリカ海軍の協力を得て、プログラムを開発。若きパイロット役の俳優と共に5か月間の厳しい訓練を受けた。すでに『トップガン』で戦闘機の搭乗を経験していたトムは、この訓練でも共演者たちに対して教官の役割も果たした。こうした徹底した役作りの原点は、トムが初めて注目された『タップス』(81)で、共演のショーン・ペンらとともに軍隊の世界を身体で知るブートキャンプに送られた体験にたどりつく。リアリティへの追求という点で、初心を忘れない強い意思こそ、スターとしての成長が止まらないポイントだろう。

陸軍幼年学校が舞台の『タップス』で、ブートキャンプを体験 [c]Everett Collection/AFLO
陸軍幼年学校が舞台の『タップス』で、ブートキャンプを体験 [c]Everett Collection/AFLO

体を張ったアクションをこなすうえで、必要な“資格”にこだわるのもトム・クルーズの特徴。1994年に飛行機の操縦士資格を取得(その後、購入した自家用機のP-51マスタングは『トップガン マーヴェリック』にも登場)。『バリー・シール/アメリカをはめた男』(17)では、密輸ビジネスに絡むパイロット役ということで飛行シーンをすべて自分でこなした。アメリカからコロンビアまで操縦した撮影もあったという。

自ら操縦するヘリコプター・アクションに加え、しがみつく離れ業まで!『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』 [c]Everett Collection/AFLO
自ら操縦するヘリコプター・アクションに加え、しがみつく離れ業まで!『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』 [c]Everett Collection/AFLO

そして2018年の『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』では、ヘリコプターのスパイラル降下という驚異的スタントに挑むことになり、通常なら1日8時間の訓練で3か月もかかるプロセスを短期間に詰め込んで、ヘリの免許を取得した。車の運転技術もスーパー級のトムは、多くの作品でカーアクションに自ら挑み、鮮やかなハンドルさばきを披露。また正式なライセンスではないが、『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』(16)ではスペインの護身術、KEYSI(キーシ・ファイティング・メソッド)のテクニックを取得したりと、役のために“本物の技術”を身体にしみこませることがライフワークとなっている。

『アウトロー』とその続編『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』で、KEYSIを披露 [c]Everett Collection/AFLO
『アウトロー』とその続編『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』で、KEYSIを披露 [c]Everett Collection/AFLO

『M:i』シリーズでのスタントは映画史に残る“伝説“に

「ミッション:インポッシブル」シリーズでのトム・クルーズの数々のスタントは映画史に残る“伝説”となった。シリーズ4作目の『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(11)では、ドバイのランドマークで、地上828メートルという世界一の超高層ビル、ブルジュ・ハリファの外壁を昇り、宙吊りとなるシーンに挑戦。その後、ビルの天辺の、人がやっと一人立てる場所で記念撮影まで行い、世界中を驚かせた。

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』では、世界一高いビル、ブルジュ・ハリファで危険なスタントをこなした [c]Everett Collection/AFLO
『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』では、世界一高いビル、ブルジュ・ハリファで危険なスタントをこなした [c]Everett Collection/AFLO

5作目の『ミッション:インポッシブル/ローグネイション』(15)では離陸寸前の軍用機にしがみつき、そのまま時速400キロで、地上1524メートルの上空まで飛んで行くという、まさに命がけのスタントにもチャレンジ。トムの辞書に“限界”という言葉はないわけだが、観客にとってはCGではなく、実写のリアルなアクションであることで、興奮と衝撃、さらに感動が倍増される。その点にトムがこだわっているのは明らかで、自ら体を張ることが作品をアピールし、人々に勇気を与えると信じているのだろう。

飛行機に飛び乗るシーンも自ら!危険なスタントはもはやトムの代名詞に『ミッション:インポッシブル/ローグネイション』 [c]Everett Collection/AFLO
飛行機に飛び乗るシーンも自ら!危険なスタントはもはやトムの代名詞に『ミッション:インポッシブル/ローグネイション』 [c]Everett Collection/AFLO

イーサン・ハント、マーヴェリックという超当たり役を獲得し、出演作の興行収入は全世界で100億ドルを突破。トム・クルーズの俳優人生はパーフェクトのようでもあるが、その人生にはさまざまな困難や問題もあった。幼い頃から文章を読むことに障害のある失読症で、それを必死に克服した話は有名。3回の結婚・離婚歴があり(相手はミミ・ロジャース、ニコール・キッドマン、ケイティ・ホームズと、すべて同業者)、私生活で安らぎを得られたとは言い難い。また、2005年のテレビ番組「オプラ・ウィンフリー・ショー」では、当時の恋人、ケイティ・ホームズへの感情が爆発し、ソファの上でジャンプするという“奇行”が波紋を呼び、多くのパロディが生まれたりも。そして宗教哲学、サイエントロジーの熱心な実践者であることも何かと話題にされてきた。

3度目の妻ケイティ・ホームズとの間には一人娘スリも授かった [c]Everett Collection/AFLO
3度目の妻ケイティ・ホームズとの間には一人娘スリも授かった [c]Everett Collection/AFLO

しかし、酸いも甘いも経験したスターだからこそ、ひとりひとりのファンへの思いも深く、レッドカーペットでは延々とサインや記念撮影に応じるトムの姿に、計算ずくではない人間としての彼の魅力が垣間見えるのも事実。俳優だけでなくプロデューサーとしても有能な彼は、『トップガン』の続編がいつ、どのように製作されれば最高の作品になるのかも、本能的に見極めていたのではないか。

カリフォルニアの「ミッドウェイ博物館」で行われたプレミアに登場したトム。行く先々でファンサービスを徹底した [c]Everett Collection/AFLO
カリフォルニアの「ミッドウェイ博物館」で行われたプレミアに登場したトム。行く先々でファンサービスを徹底した [c]Everett Collection/AFLO

本日60歳=還暦を迎えたトム・クルーズだが、さらなる進化を全世界が期待する。『トップガン マーヴェリック』は、その事実を改めて証明したのだ。

文/斉藤博昭

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