1. トップ
  2. お笑い芸人が音楽番組MCを務める魅力と葛藤とは?「69号室の住人」MCグランジ遠山が告白

お笑い芸人が音楽番組MCを務める魅力と葛藤とは?「69号室の住人」MCグランジ遠山が告白

  • 2022.6.30
  • 88 views
「69号室の住人」MCグランジ遠山大輔 撮影=野口彈
「69号室の住人」MCグランジ遠山大輔 撮影=野口彈

【写真】ギターを抱え挑発的なグランジ遠山大輔

3年目に突入したTOKYO MXで放送中の「69号室の住人」(毎週火曜深夜1:35-2:05、TOKYO MX)。MCを担当している遠山大輔(グランジ)がアーティストの音楽にまつわることからプライベートなことを引き出している音楽トーク番組だ。幅広いアーティストの意外な素顔が見られるのも魅力のひとつ。今回は遠山に、MCとして大事にしていることや、昨今の音楽番組についてインタビュー。7月1日(金)、2日(土)に東京・LINE CUBE SHIBUYAで行われる番組発の初ライブイベントについての意気込みも聞いた。

「テロップも必要なところしか入れない」良さ

――スタートから3年経ちましたが周りからの反響はいかがですか?

遠山:声をかけられることがこの1年くらいで増えてきて、「やっと浸透してきたのかな?」と思います。何よりもゲストのアーティストの方が楽しんでくださっているのがうれしいです。

この番組は他の番組と違ってカメラの台数やスタッフの数も極力少なくしているんですよ。あくまでも僕の部屋に来てもらっているような雰囲気をスタッフ全員で作り出していて…。だからこそゲストの方々はリラックスして話してくれているのだと思います。

――プライベート感のある雰囲気が、ここでしか聞けないトークを生み出しているんですね。この番組ならではと感じるところはありますか?

遠山:最近の音楽番組は、多くのゲストが矢継ぎ早に歌っていくものとトーク中心のものがあると思いますが、この番組はどちらかといえば後者。その中でもいいなと思うのは、演出が一切なく、仰々しくないところです。

番組を見ていても思うのですが、テロップも必要なところしか入れないんですよ。テロップって面白さや重要なことを伝えることができますが、目から入ってくる情報が増えることで、アーティストさんたちの表情をきちんと見られていないこともあって…。そういう意味ではありのままが映っている気がします。

「HEY!HEY!HEY!」を見て育った遠山の思い

――トークが中心だと、音楽番組というよりバラエティー番組になりがちですもんね。

遠山:たぶん、僕がゴリゴリのお笑いマンだったらそれをやりたがったと思うんですよ。もちろん学生時代から「HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP」(1994~2012年、フジテレビ系)を見てきたので、自分のフィールドに持っていって、アーティストの魅力的な部分を見つけ出し、笑いで落とすというのには憧れはあります。

ただ、当然ですがダウンタウンさんのようにはできないし、いかんせん僕は音楽のことが好きすぎるので単純にゲストにイチファンとして聞きたいことがたくさんある。そこにはお笑いはいらないってどこか思っているんですよ。

それはやっぱり長年「SCHOOL OF LOCK!」(2010~2020年、TOKYO FM系)というラジオ番組をやってきたというのが大きいかもしれない。この番組はどこかラジオっぽい雰囲気がありますから。

――お笑い番組のように自分のフィールドに持ってくるのではなくゲストに寄り添う形だと、トークを引き出すのは技術も必要となってきそうですが…。

遠山:よく、「いいトークを引き出しますね」と言われますが、そんな感覚は僕にはなくて…。単純に疑問に思っていることを聞いて、みなさんが優しいからそれに答えてくれているだけで。アーティストの方のサービス精神旺盛なところに感謝です。

ただ、聞きたいことを聞くにしても気にしていることはあります。スタッフさんが台本を作ってくれているのでその流れを見つつ、「自分の聞きたいことはここで聞けるかな?」と考えたりしていますが、ただ自分が疑問に思ったからといって、必ず聞こうとは思っていません。ある程度、流れに任せるというか…自分の話をしたいがためにトークを誘導していたら、それは単なるエゴですから。あくまでもみなさんが話したいこと、その場で生まれたことを大事にしています。

その中であえて大事にしているのは、上から目線にならないようにすること。当たり前ですが僕は評論家ではないし、ただのリスナーなので。ただ、アーティストの方は不思議に思っているかも。芸人なのになんでこの人はボケないんだろって。だから代わりにボケている人もいるかもしれない(笑)。それくらいアーティストは面白い人がたくさんいるんですよ。

「さすがユニコーンだな」と改めて感じた収録

――これまでたくさんの方がゲストで訪れていますが、印象に残っている方を教えてください。

遠山:やっぱり奥田民生さんかな。中学の時から好きで、ソロで1回、ユニコーンとして1回来ていただきました。中でもユニコーンの時(2021年8月31日放送回)は本当にバタバタで。当時、アルバムを出したタイミングで1日取材を受けられていたんですよ。なので出張みたいな形で収録に行って。

最後の取材だったのですが、みなさんも疲れているし、「番組の放送時間の30分ちょうど撮れるかな?」くらいの感覚で。でも始まったらやっぱり面白くって、めちゃくちゃ盛り上がって70~80分くらい撮影させていただきました。ぶっつけ本番に近いものがあったけど、話を聞いていけばもうずっと笑いっぱなし。さすがユニコーンだなと改めて感じましたし、「型にハマっていないこの番組だからリラックスして参加していただけたところもあるのかな?」と思います。あれは本当に楽しかったです。

――ゲストのアーティストさんも本当に幅広いですよね。

遠山:そうなんです。民生さんやチバユウスケさん、ベンジー(浅井健一)さん、BRAHMANのTOSHI-LOWさんとか、甲本ヒロトさん&マーシー(真島昌利)ら、僕が小学生、中学生のころから見て憧れていた人から、最近だと若いDeep Sea Diving Clubのような、はじめましての方もたくさん来てくださって。ベテランから若手、バンド、アイドルと本当にジャンルが関係ないのがこの番組ならではだと思います。だから毎回、面白いんですよ。

今後の希望としては、海外アーティストの方にも来てほしいかも。僕、中学生くらいのころ、同級生より優位に立つために心の中で「オレはレッチリを聞いているけど、知らないだろ」と思っていたことがあるんですよ(笑)。そういう自分の小さな気持ちを満足させるために音楽を使っていたんで、レッチリに謝らなきゃ(笑)。ぜひ来てほしいですね。

あとは、7月にサカナクションがアンダーワールドとライブをやるらしいので、カール・ハイドに来てもらって(笑)。実際、何を話すんだろう?そのどうなるか分からない感じも楽しそうな気がします。

音楽好き目線としては「生演奏を見たい」

――時代によって音楽番組は形を変えていると思いますが、これまでたくさんの音楽番組を見てきた遠山さんが見たい音楽番組はどんな形ですか?

遠山:やっぱり生演奏を見たいです。放送の都合上、生の難しさもあり、それをアーティストのみなさんも理解されていると思っていますが、やっぱり生演奏の力って大きいんですよ。伝わるものが違いますから。

そして1曲では魅力が伝わりきらないところもあると思うので1回まるごとひとつのアーティストを特集して何曲か演奏してもらって、その場にはお客さんを入れてほしいな。

トークは合間でいいですね。トークはあくまでもアーティストの魅力を伝えるひとつであって。トークを含め、生演奏、観客、作り出す雰囲気の全てでそのアーティストの魅力が伝えていければ。それを生放送でできると最高だと思います。トークがグダグダになることもあると思いますが、それもその人たちの面白味。臨場感を伝える番組をいつかやってみたいです。

――そういう意味では7月1、2日に行われるイベントは近いですね。

遠山:本当に。LINE CUBE SHIBUYAという元・渋谷公会堂という場所で、生で行われますからね。いや~、こんな形でこの大きな会場に立てるとは思わなかったです。

ただ、まだ詳細は詰めているところですがちょっと不安なことがあって…。この番組発のイベントということもあり、どうもトーク時間がそれなりにあるんですよ。やっぱり音楽をたっぷり聴きたいという人が多いはずなので、客席から「引っ込め司会者!」なんて言われたらどうしようって(笑)。そうなったら隣の代々木公園でケンカが勃発ですよ。

そうならないように、すでにファンの方も他のアーティスト目当ての方も全員が楽しめるトークにしなければ。ちなみに、以前、井上苑子さんが来たときに“あっち向いてホイ”をやったのですが、これが意外と面白くて…。できればアーティストの皆さんでトーナメント方式でやってみたい気がします。まぁ、まだ何も決まっていませんが、アーティストさん同士の交流ができれば面白いですよね。ぜひ、来て見て聴いて楽しんでほしいです!

※取材・文=玉置晴子

元記事で読む
の記事をもっとみる