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宮殿の“庭園”誕生に秘められた、愛と奇跡の物語『ヴェルサイユの宮廷庭師』

  • 2015.10.9
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アカデミー賞受賞作『愛を読むひと』など、様々なヒロインを演じてきたケイト・ウィンスレット。ヒロインの第一候補に挙がっていた彼女は、「サビーヌ・ド・バラはわたしよ!」と言い切って全身全霊で熱演。

今年の春、お仕事でご一緒したプラント・ハンター、西畠清順さんから頂いたオリーブの木がすくすく育っている。プラント・キラーの私としては奇跡といっていい。西畠さんの作る庭園はこれまで見たことのない植物ばかりで、その野生的かつ神秘的な空間は現実を忘れさせてくれるほどだった。過ごしやすい秋の日は、お気に入りの庭園をお散歩するのにも気持ちがよさそうだ。

さて、今回は"庭園"が舞台の物語。しかも、世界でもっとも有名といってもいいヴェルサイユ宮殿の"庭園"である。

実在の国王付き造園家ル・ノートル役には、エルメス2014春夏コレクションのアイコンも務めたベルギー人俳優、マティアス・スーナールツ。『君と歩く世界』出演時とは全く違う演技に驚く方もいるかも?


◆ストーリー

17世紀、フランス。"太陽王"国王ルイ14世は栄華のシンボルとしてヴェルサイユ宮殿の増改築を計画する。国王の庭園建築家アンドレ・ル・ノートル(マティアス・スーナールツ)は、フランスで活躍する庭師たちを集め、ひとりずつ面接を行うことに。そこへやって来たのが、フランスの田園地方で造園家として働いていた、貴族とは無縁のサビーヌ・ド・バラ(ケイト・ウィンスレット)だった。ル・ノートルは自身と全く違った感性を持つ彼女と対立するも、彼女に「舞踏の間」を任せることに。次第に二人は惹かれあうが......。

監督は、国王役でも登場の名優、アラン・リックマン。2作目にしてその素晴らしい才能を発揮。彼の渋い、ヴェルヴェットボイスも堪能して。


◆現代女性が応援したくなるヒロイン、バラ

これまでヴェルサイユ宮殿といえば、マリー・アントワネットやルイ14世を主人公に、数々の名作が生まれた場所。ゴージャスなドレスを身にまとう彼らのドラマチックな恋愛や運命に心揺さぶられてはきたものの、やはり悲しいかな、彼らは雲の上のお方たち。しかし、今回の主人公は貴族とは無関係の女性庭師。それだけで親近感がわき、感情移入のスイッチが即座に入った(単純)。

しかも、王に見初められて......といったシンデレラストーリーではなく、自分の能力が買われ、一世一代の仕事を任されるという、果敢に働く現代女性を応援するストーリーになっているのもポイント。それだけではない。ル・ノートルとバラの関係も次第に変化していく。お互いの才能を尊敬し、さまざまな過去を背負いながらも、だんだんと絆が生まれていくその過程が丁寧に描かれ、作品に深みをもたらしている。

撮影地は、実はイギリス。ブレナム宮殿やワデスドン・マナーハウス、ハンプトン・コート宮殿、クリブデンハウス、ハムハウス、アッシュリッジ・エステート、チェニーズ・マナーハウスなど、壮大で優美な世界が楽しめる。


◆さいごに

なんといってもケイト・ウィンスレットが素晴らしい。ちょっとでも老けると"劣化?"と叩かれるハリウッドセレブの世界で、もはや別次元の瑞々しい美しさを放っている。ちょっぴりふっくらしたかなと思えば、なんと第三子を妊娠中だったとか。女性のたくましさ、強さ、賢さ、慎み深さ、そして脆さをこんな風に輝いたエネルギーで表現できる女優は、なかなかいないのではないだろうか。

そんな彼女が最後にはどんな幸せを掴み取るのか、豪華絢爛な宮殿内や、思わずため息が漏れそうな美しい景色の数々を楽しみながら、ぜひ映画館で見守ってほしい。

『ヴェルサイユの宮廷庭師』
監督・共同脚本:アラン・リックマン
出演:ケイト・ウィンスレット、マティアス・スーナールツ、アラン・リックマン、スタンリー・トゥッチ
配給:KADOKAWA
2015年10月10日(土)から角川シネマ有楽町、Bunkamura ル・シネマほか全国で公開
© BRITISH BROADCASTING CORPORATION, LITTLE CHAOS LIMITED, 2014
http://versailles-niwashi.jp/

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