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【連載】「MINAMOの話をきいてミナモ?」 第4回 美とコンプレックス

  • 2022.6.24
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いま人気急上昇中のAV女優、MINAMOが愛する映画や本、音楽、さらには自身の様々なことを語る連載「MINAMOの話をきいてミナモ?」。第4回は自身の思いや経験を振り返りながら、美とコンプレックスについて語っていただきました。

【写真を見る】自身も悩みを抱えていた人気AV女優のMINAMOが容姿コンプレックスについて語る

人はどうしてコンプレックスを抱いてしまうのだろう

【写真を見る】自身も悩みを抱えていた人気AV女優のMINAMOが容姿コンプレックスについて語る 撮影/SAEKA SHIMADA ヘアメイク/上野知香
【写真を見る】自身も悩みを抱えていた人気AV女優のMINAMOが容姿コンプレックスについて語る 撮影/SAEKA SHIMADA ヘアメイク/上野知香

私がデビューして間もない頃、インスタグラムのダイレクトメッセージで「自分はコンプレックスまみれでつらい」というメッセージがきた。短文ではあるがその大きなつらさを感じ、ずっと忘れられないでいる。ということで今回のテーマは「美とコンプレックス」。コンプレックスと言っても、今回は容姿コンプレックスの話である。

ここ何年かで、世界はグッと変わったように思う。様々なムーブメントが起き、ジェンダーフリーにジェンダーレス、ルッキズムやボディポジティブなど、今まで聞いたことがないような言葉をSNSで毎日目にするようになった。TVでタレントの容姿を批判し、笑いに変えるというあのくだらない流れも今では冷めた目で見る人も増えた。くだらないというのは完全に私の意見である。昔から人の外見をネタにゲラゲラ笑っている大人が私は怖かった。街を歩く女性に点数をつけるという頭の弱いYouTuberが炎上し、「ミスコン」の水着審査がなくなりつつある。ヴィクトリアズ・シークレットの「エンジェル」が廃止されたことには驚いた。まだまだあるが、これらはここ数年にあった出来事であり、価値観は変わってきている。この流れが良いのか悪いのか、それは人それぞれの意見があると思う。

 デビュー1周年を迎えたMINAMOがコンプレックスに悩むあなたへ2冊の本をオススメ 撮影/SAEKA SHIMADA ヘアメイク/上野知香
デビュー1周年を迎えたMINAMOがコンプレックスに悩むあなたへ2冊の本をオススメ 撮影/SAEKA SHIMADA ヘアメイク/上野知香

昔から疑問に思うことがあった。それは「人はどうしてコンプレックスを抱いてしまうのだろう」ということである。抱く、というよりも生まれるもの。もっと言えば、コンプレックスは造られるものではないだろうか。

小さな頃から存在する「あだ名」という化け物やパートナーが悪気なく発する呪いの言葉、SNSで意図せず目に入ってくる他人の「容姿の願望」や「誰かがつくる流行」。激しく変化し続ける周りの環境。コンプレックスはそんなモノたちが自分の身体を通過する時に生まれるモノではないかと思う。そして不幸なことにコンプレックスはその人の中に長い間寄生し、なかなか付いて離れない。

1950年代のセックスシンボルであったマリリン・モンローは「自分のサイズが0じゃないから醜いと思っている女の子へ。あなたはそのままで十分美しいわ。醜いのは社会なの」と言った。人の容姿について、他人があれこれ余計な口出しをする姿こそ不細工である。

「欠点も美しいよ」と他人が言ってはいけない

コンプレックスにより傷つき、涙する全ての人へ一読して欲しい本が2冊ある。

まず、「真夜中乙女戦争」で知られるFさんの「20代で得た知見」。なるほどな!と納得させられることもあれば、梅をかじった時のしょっぱい顔をしながら何言ってんだおっさん、となることもある。取ってこい、とボールをえらく遠いところに投げられた感覚になったと思えば、すぐそばで手を握ってくれているようなあったかい感覚にもなる。何とも不思議な本である。私のお気に入りは第4章「二十代に自信はいらない」である。その中にある、“何やら自信満々な人間に憧れなくてよい。今光っているもの、眩しいものには憧れなくてよい。嫉妬しなくてよい。本日の流行なんて、来月は誰も覚えていません。”という文には、「本当にそのとおりでございます」としか言いようがなかった。

「20代で得た知見」は永瀬廉主演で映画化もされた「真夜中乙女戦争」の著者・Fによるエッセイ 「20代で得た知見」F 著 KADOKAWA刊
「20代で得た知見」は永瀬廉主演で映画化もされた「真夜中乙女戦争」の著者・Fによるエッセイ 「20代で得た知見」F 著 KADOKAWA刊

次に韓国の作家キム・スヒョンさんによる「私は私のままで生きることにした」。読んだ次の日、外に出てみれば世界が変わって見えるなんて魔法はかかっていないが、確実に自分の足で立って生きていく上で大事なエッセンスは振りかけられている。エッセイは読めるのに、自己啓発本と聞くとなんだか一歩引いてしまう私だが、この本は自己啓発本というよりも、「自分を大切にする」ということがどれだけ重要かを教えてくれるきちんと言語化されたヒーリングエッセイであった。自分を愛しなさい、大切にしなさいと沢山の大人に言われるも、「私のことは私が決めるから私以外の人間は口出ししてくるんじゃないざます」と全ての意見を跳ね除けた10代の私に、この本をそっと無言で渡したかった。

BTSファンを中心にSNSで大きな話題を呼んだ「私は私のままで生きることにした」 「私は私のままで生きることにした」キム・スヒョン 著 / 吉川南 訳 ワニブックス刊
BTSファンを中心にSNSで大きな話題を呼んだ「私は私のままで生きることにした」 「私は私のままで生きることにした」キム・スヒョン 著 / 吉川南 訳 ワニブックス刊

「コンプレックスも愛そう」というスローガンについて、「欠点も美しいよ」と他人が言ってはいけないものだと私は思う。他人が勝手に”欠点”と決めてはいけないのである。人間誰しも個別の美的感覚というものを持っている。美的感覚というものは生きていくなかで造られるもので、コンプレックスと表裏一体のモノである。だからくっついて離れない、捨てることなんてそうそうできないのだ。美的感覚がある限りコンプレックスも生まれてしまうのではないか、というのが私の考えである。

コンプレックスを抱え傷ついた経験があって良かったと心から思う

コンプレックスに悩む人へMINAMOが伝えたいこととは? 撮影/SAEKA SHIMADA ヘアメイク/上野知香
コンプレックスに悩む人へMINAMOが伝えたいこととは? 撮影/SAEKA SHIMADA ヘアメイク/上野知香

化粧をして服を着ていざ外に出てみると、街のショーウィンドウに映る自分がいる。その自分を見てびっくり仰天。なんて不細工なんだと思い、ショックを受けてそのまま家に帰る。これはちょっと昔の私である。今思い返すと笑い話だが、当時は深刻な悩みであった。何か嫌なことがあると全て顔のせいにしてしまい、鏡を手放せなかった時期があった。そしてその鏡に映る自分の顔をみてワンワン泣くのである。そんな人はこの世の中に山ほどいるのではないかと思う。私がこうしてコラムを書いている間にもコンプレックスにさいなまれ、涙する人がいるかもしれない。そう思うと悲しくていたたまれない。今すぐにでも抱きしめてあげたい。

今までつま先から頭のてっぺんまで、更にはアソコの中まで様々なコンプレックスに悩んできた私だが、どうしても他人と比較して悲しく、恥じてしまう自分があまりに哀れなので鬼の努力をしてコンプレックスを抹殺・撲滅・根絶した。しかし、コンプレックスを抱え傷ついた経験はあって良かったと心から思う。なぜなら私はその分人に同じ嫌な思いをさせないからである。呪いの言葉も言わないし、コンプレックスに傷つく人も否定しない。しかし人は無いものねだりする生き物だ。隣の芝生は、一生青いままである。何度見ても青いのだからもう見なくて良いのだ。

“自分の美の基準を人に押し付けない”ことを大事にしませんか

 美とコンプレックスについてMINAMOが語る 撮影/SAEKA SHIMADA ヘアメイク/上野知香
美とコンプレックスについてMINAMOが語る 撮影/SAEKA SHIMADA ヘアメイク/上野知香

このコラムを書くにあたり、美とコンプレックスについて私なりに考えた結果、「“自分の美の基準を人に押し付けない”ということを大事にしませんか」と提案したい。当たり前に思われるようなことだが、この当たり前ができない(節度が分からない)人が多いのかもしれないと考えた。この私のコラムを目に留めてくださった方がこれを機にこの世の美とコンプレックスについて少しでも考えてくれたら嬉しいと思う。

今は多様性の時代。「自分で選択し、自分の意を持つ」ということが重要なスタンスであると思う。「美しさの価値観」も同様である。自分の中にだけ正解が見出せたならそれで十分幸せだと私は思う。

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