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FP fumicoのLive colorfully#24 作ってみよう! あなたのB/S&P/L

  • 2022.6.24
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「マネー」に関するインスタグラムへの投稿で、20~30代の女性から支持を集めるFP(ファイナンシャルプランナー)のfumicoさん。お金に対する苦手意識を克服する方法や、ちょっとした工夫などをfumicoさんのインスタでお馴染みの手書きのノートでお届けする、24回目です。2022年もまもなく折り返しの今だからこそ、半年や1年といった長いスパンでの家計管理の方法を考えます。

朝日新聞telling,(テリング)

B/SとP/Lですべてがわかる?

みなさんにお伝えしたいのはB/S(貸借対照表)とP/L(損益計算書)を作る目的は、ライフプランに生かすため、ということです。それ自体がゴールになってはいけません。過去を記録して自分のお金の使い方のクセを分析したり、負債の額が大き過ぎないかなどを確認したりして、未来に生かすことが目標です。

後者のP/Lを作る利点は、1カ月単位で付けるケースが多い家計簿に対して、半年や1年間という長いスパンで生活費全体を把握することができることです。梅雨で外出機会が少なく出費が比較的少ない6月、夏休みがあり出費もかさむ8月など月によって差がある支出を、トータルで見ることができます。さらに家計簿には普通は付けない、税金や社会保険料の金額も知ることができる。

そして、B/Sを作るメリットは、普段バラバラに管理している複数の通帳や購入後に値動きを確認していない株式の時価、ローンの残高などを網羅的に見られる、ということです。ご自身のお金のすべてがわかるといっても過言ではありません。

朝日新聞telling,(テリング)

「1人分の方が作りやすい」

会社がB/Sを作るのは、株主や銀行といった利害関係者への報告の意味合いも強いのですが、個人の場合はその側面はない。だから特に独身で、自分のお金を自由に使える人は必要性を感じないかもしれませんが、現在の財務状況に注意を向けなかった結果、10年・20年後のご自身が困る可能性があります。

加えて、口座や資産も少ないので、1人分の方が絶対に作りやすい。今後パートナーができたり、家族を持たれたりしたら、管理しなければいけないモノが増えます。だからこそ、今のうちにご自身の分だけでも“作り慣れておくこと”をオススメします。そうすれば、将来も楽になりますよ。

「2種類作るのは面倒」という方には、家計簿は付けるのを前提として、B/Sは作ってほしいですね。P/Lは家計簿の進化・発展版ですが、B/Sは自分の資産と負債の状況を把握することができますから。

同世代の友人の多くが銀行口座を複数持っているものの、いくつかは放置しているということを最近、知りました。中には通帳記入さえしていない口座があるという人も。銀行口座に関してはB/Sを一度作れば、後は口座の残高を確認して更新するだけで済みますし、ご自身の口座数も把握できます。B/S作成が、不要な口座数を削減する契機にもなり得ます。

朝日新聞telling,(テリング)

難しい「変動費」の見直し

固定費と変動費については上のノートでご説明しましたが、このほかに固定費には、民間保険会社の生命保険料、車の維持費、新聞代。変動費には外食代、医療費、美容費などが含まれます。

口座引き落としされているようなモノは基本的に固定費と考えてください。電気代は、夏の猛暑でエアコンの稼働が増えれば高くなるなど、上下の幅が大きいので変動費と思われがちですが固定費。毎月の基本料金は変わりませんし、寒い時期にもエアコンや暖房の使用頻度は上がるなど、1年を平均すると平準化されるからです。
固定費と変動費の分類が気になる方もいらっしゃるでしょうが、まずはB/Sを作るのを優先してください。

そして見直しへ、となるわけですが、変動費を減らすのはなかなか難しい。たとえば食費。減らすためには、スーパーを回って欲しい食品を少しでも安く買うなどの努力が必要ですが、ストレスがたまったり、生活の質が落ちたりしやすい。徒歩でスーパーをめぐると、運動になるなどの副次的効果もあるかもしれませんが、何より時間が失われます。

ですから手を付けるのは固定費から。減らすための契約変更などのハードルは高いですが、一度削減すると効果が大きく、長続きします。ただしスマホなどの通信費は急な料金プランの変更があったりするので注意が必要。電気の切り替えも、資源高騰の影響などで会社がつぶれるリスクもあるので慎重に。実際に新電力会社の倒産や事業撤退は相次いでいます。

一方、個人的には保険には検討の余地が大きいと思っています。医療に関してなら、お勤めの会社の健保組合で付加給付が受けられたり、団体保険があったりと充実していれば、病気になっても負担額は大幅に減ります。自動車についても、免許取得直後に慎重に検討せずに入ったモノを惰性で契約し続けている方もいらっしゃるでしょうし……。

朝日新聞telling,(テリング)

無理しなくても効果は出ます!

いずれにせよ、B/S作りから支出の見直しまでを最初から完璧に行うことを目指すと、挫折しやすい。「ざっくりと、無理しない」でOKなので、まずは始めてみてください。

可能な範囲でも、続けていれば効果は出ますから!

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FP fumicoの“Live colorfully”は、第2・第4金曜に公開の予定です。

■fumicoのプロフィール
CFPⓇ保有のファイナンシャルプランナー。 大学卒業後、生命保険会社や市役所での勤務を経て、2017年12月より「お金」に関するInstagramへの投稿を始める。社会保険や税金・資産運用といった学ぶ機会がなく、話題にも上りづらいコトを身近に感じてもらえるよう、解説の投稿は手書き。趣味は起床後すぐの15分ヨガと、株式投資。

■岩田智博のプロフィール
ハイボールと阪神タイガースを愛するアラフォーおひとりさま。神戸で生まれ育ち、学生時代は高知、千葉、名古屋と国内を転々……。雑誌で週刊朝日とAERA、新聞では文化部と社会部などを経験し、現在telling,編集部。20年以上の1人暮らしを経て、そろそろ限界を感じています。

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