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美女に大変身したいわけじゃない…エステで「醜い足認定」された漫画家が行きついた境地

  • 2022.6.23
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漫画家の田房永子さんはかつて、自分の姿が嫌いで、鏡を見るのも写真に写るのも避けるほどだった。「少しでいいから自分の姿を好きになりたい」と、断食や加圧トレーニングなど手当たり次第にさまざまな美容法などを試す中で、「エステティシャンに『太くてみにくい足だ。何とかすべきだ』と言われてショックを受けた」という――。

※本稿は、田房永子『いつになったらキレイになるの? 私のぐるぐる美容道』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

田房永子『いつになったらキレイになるの? 私のぐるぐる美容道』(扶桑社)
田房永子『いつになったらキレイになるの? 私のぐるぐる美容道』(扶桑社)
田房永子『いつになったらキレイになるの? 私のぐるぐる美容道』(扶桑社)
田房永子『いつになったらキレイになるの? 私のぐるぐる美容道』(扶桑社)
田房永子『いつになったらキレイになるの? 私のぐるぐる美容道』(扶桑社)
田房永子『いつになったらキレイになるの? 私のぐるぐる美容道』(扶桑社)
私すごくショックだったんだ…
田房永子『いつになったらキレイになるの? 私のぐるぐる美容道』(扶桑社)
田房永子『いつになったらキレイになるの? 私のぐるぐる美容道』(扶桑社)
田房永子『いつになったらキレイになるの? 私のぐるぐる美容道』(扶桑社)
田房永子『いつになったらキレイになるの? 私のぐるぐる美容道』(扶桑社)
田房永子『いつになったらキレイになるの? 私のぐるぐる美容道』(扶桑社)
田房永子『いつになったらキレイになるの? 私のぐるぐる美容道』(扶桑社)
内心ショックだった娘の言葉

2年前くらいから、ふくよかでメガネをかけた女性がテレビに映ると、私の娘が「あっ! ママにそっくりな人が出てるよ!」と言うようになった。

田房永子『いつになったらキレイになるの? 私のぐるぐる美容道』(扶桑社)
田房永子『いつになったらキレイになるの? 私のぐるぐる美容道』(扶桑社)

私はそういうとき「無」でやり過ごしていた。

だけど内心、ショックを受けていた。

太っているのは事実だし、娘はただ目の前にある現象を口にしているだけなのだから何も間違ってはいない。でも「そういうことを人に言ってはダメだよ」と注意しなきゃいけない。今はそういう時代。

しかし私はそれができなかった。太っている自分が恥ずかしくて。太っているんだからそりゃ言われるだろう、言われる方が悪いだろうっていう旧来の概念が心身にしみついているから、じっと黙ってしまっていた。そうやって平然としていることで、それ以上自分が傷つかないようにするので精いっぱいだった。

でも人の容姿について言及する行為をナチュラルにやらせていてはいけないと思って、娘がまた「ママは太っている」と言ってきたとき、真剣に伝えた。

「ママはそのことをちゃんと知っているから、もう言わなくていいよ。太っている人が目の前にいて、太っているなあ、と思っても、それを口に出すのはすごく失礼なことなんだよ。してはいけないことなんだよ」

すると娘はそれからまったく言わなくなり、私はそれだけでものすごくラクになった。

「言われたくないことを言われない」というだけでストレスは劇的に減少する! その事実に驚いた。

「ショックを受けている」自分を認めて味わう

そうやって私は「自分は太っている」という前提で暮らしていながらも、それを喜んでいるわけではない、むしろショックを受けているんだ。

それを認め、しっかり味わってみることにした。

それまでは「私は太っている」という言葉を頭で唱えると「わた」くらいで「ハイハイ」とかき消し、ないことにするというのを繰り返していたことに気づいた。「私は太っている」の気配を感じるだけで全身が緊迫し目をそらす感じ。そうすることで、私は自分が傷つくのを全力で防いでいた。

心の中で「私は太っている」と最後まで唱えてみることに意識を向けた。ああ、太っている、そうだ、太っているなあ。知っているよねぇ。知っているから、わざわざ唱えたくなかったよね。別に現実を受け入れないとか逃げてるとかじゃなくて、ただそれを受け止める準備がまだできてなかった。やっと私はこれを味わう余裕が出てきたんだ。ただそれだけのことだったんだ。

そうやって、「私は太っている」という事実と、それを知っていた私と、向き合いたくなかった私と、そうすることで自分を守っていた私、それぞれの私がいることを認識し、「ああ、私たちがいるね」と、その存在を心でじっくり味わった。

すると、それまでは「私は太」くらいでワーワー!! ギャギャー!! と騒がしくなった心が、「私は太っている」と唱えてもスッキリ気持ちが落ち着いてきた。

田房 永子(たぶさ・えいこ)
漫画家
1978年東京都生まれ。2001年第3回アックスマンガ新人賞佳作受賞(青林工藝舎)。母からの過干渉に悩み、その確執と葛藤を描いたコミックエッセイ『母がしんどい』(KADOKAWA/中経出版)を2012年に刊行、ベストセラーとなる。ほかの主な著書に『キレる私をやめたい』(竹書房)、『お母さんみたいな母親にはなりたくないのに』(河出書房新社)、『しんどい母から逃げる!!』(小学館)などがある。

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