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「ドラゴンボール」ピッコロの波乱万丈すぎる歩みを解説。大魔王から復讐者、そして宿敵の息子の師に…

  • 2022.6.19
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4年ぶりとなるシリーズ最新作『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』(公開中)。進化した最新技術を駆使し、「ドラゴンボール」をさらなるステージへと引き上げる本作の中心となるのは、強い絆で結ばれた孫悟空(声:野沢雅子)の息子である孫悟飯(声:野沢)とその師匠ピッコロ(声:古川登志夫)の師弟コンビ。今回は、人気キャラクターのピッコロにスポットを当て、最強の悪から地球を守る戦士に至った彼の変遷を追っていこう。

【画像を見る】ナメック星人同士の融合でパワーアップしてきたピッコロが、映画で新たな覚醒を遂げる

ピッコロ大魔王として二代にわたり悟空と敵対!

ピッコロを解説するには、その前身「ピッコロ大魔王」に触れなければならない。ピッコロ大魔王は、その昔、地球に降り立った異星人=ナメック星人の若者が、ドラゴンボールの創造主=地球の神になる際、自分のなかにあるわずかな“悪の心”を分離させた結果生まれた悪しき化身である。魔族の長として猛威を振るい人類を恐怖に陥れたが、亀仙人の師匠で武闘家の武泰斗の奥義「魔封波」を受けて電子ジャーに封印されていた。

しかし封印から300年後、ピラフ一味が復活させてしまったピッコロ大魔王は、配下と共にクリリンや亀仙人を殺め、ドラゴンボールを使い全盛期のパワーを取り戻す。最終的には潜在能力を引き出した悟空により腹部に穴を開けられ敗北するが、その死に際、最後の力を振り絞って口から卵を吐き出す。その卵から新たに誕生したのがピッコロ大魔王の生まれ変わり、現在のピッコロだ。

悟空にとって、ピッコロは最初に出会った絶対的な悪の化身だったが、いまでは最も頼れる仲間に [c]バード・スタジオ/集英社 [c]「2022ドラゴンボール超」製作委員会
悟空にとって、ピッコロは最初に出会った絶対的な悪の化身だったが、いまでは最も頼れる仲間に [c]バード・スタジオ/集英社 [c]「2022ドラゴンボール超」製作委員会

新たなピッコロは、悟空に敗れたピッコロ大魔王の復讐を果たすべく「マジュニア」と名乗り天下一武道会に出場。準決勝で彼の存在を察し武道会へ出場した神を封印。決勝戦で悟空と対峙した際に、自身の素性と、再び世界制服をもくろんでいることを明かす。しかしマジュニアも激闘の末、悟空に敗北。悟空はピッコロにとどめを刺さず、その強さを認めて再戦を望む(神の分身であるピッコロを殺めてしまうと、神も命を落としてしまう)。この戦いを通して悪の心にわずかな変化が芽生えたのか、ピッコロは悟空の願いに応じるように、再戦を宣言して去っていく。

サイヤ人との全面抗戦、そして悟飯との出会い

そんな2人の再会は、冷酷非道な戦闘民族サイヤ人で悟空の実兄ラディッツに立ち向かうべく、まさかの共闘という形で実現する。地球を制圧し異星人に売り渡す地上げ行為の尖兵であったラディッツと戦い、一人では敵わないと察したピッコロは、苦渋ながら宿敵との共闘を選ぶ。こうして誕生した地球最強のコンビは、悟空が捨て身でラディッツを抑え、ピッコロが魔貫光殺砲で悟空もろとも撃ち抜くことで辛勝する。

父である悟空の不在でピッコロに修行をつけられた悟飯。成長し、その師弟関係はより強固に [c]バード・スタジオ/集英社 [c]「2022ドラゴンボール超」製作委員会
父である悟空の不在でピッコロに修行をつけられた悟飯。成長し、その師弟関係はより強固に [c]バード・スタジオ/集英社 [c]「2022ドラゴンボール超」製作委員会

その後、さらなるサイヤ人の来襲に抗うべくピッコロは、まだ幼い悟飯に無理矢理過酷な修行をつける。当初は親譲りの潜在能力を引き出し、ただただ地球側の戦力強化を目的としていたが、修行を通じて自身を慕う悟飯と関わり、わずかに愛情が芽生えピッコロの心境はさらに変化する。

1年後、サイヤ人の王子ベジータ(声:堀川りょう)とナッパの襲来に対し、ピッコロはドラゴンボールの力で生き返った悟空が到着するまでの間、クリリン、ヤムチャ、天津飯、餃子、悟飯と共闘し、リーダーシップを発揮した。そして戦いのなかでナッパの攻撃から悟飯を身を挺して守り命を落とす。その結果、神も絶命しドラゴンボールが消滅。ピッコロを含む死んだ仲間を復活させる術も絶たれてしまう。

ナメック星人同士の融合でパワーアップ

ベジータ&ナッパとの戦いで生き残ったクリリンと悟飯は、ドラゴンボールが神、つまりナメック星人の能力で創造されたことを一縷の望みに宇宙へ、はるかナメック星へ向かう。その間、死後の世界で地獄行きを逃れたピッコロは、さらなる成長を遂げるべく悟空も修行を積んだ界王の住む界王星で復活の機会を待つ。

そして、ナメック星で同じくドラゴンボールをねらうフリーザ軍と対峙した悟飯&クリリンの尽力で復活、ナメック星にやって来たピッコロは、ナメック星人の戦士ネイルから、ナメック星人同士で同化(一体化)することで大幅にパワーアップできることを知り、瀕死状態だったネイルと同化する。この頃のピッコロはネイルの記憶も混ざり、かつての“悪の心”はほとんど失われ、弟子である悟飯への思いが行動に反映されることも。

【画像を見る】ナメック星人同士の融合でパワーアップしてきたピッコロが、映画で新たな覚醒を遂げる [c]バード・スタジオ/集英社 [c]「2022ドラゴンボール超」製作委員会
【画像を見る】ナメック星人同士の融合でパワーアップしてきたピッコロが、映画で新たな覚醒を遂げる [c]バード・スタジオ/集英社 [c]「2022ドラゴンボール超」製作委員会

ナメック星での顛末は、超サイヤ人に覚醒した悟空がフリーザに勝利で幕を閉じるが、今度はレッドリボン軍が作り上げた人造人間が地球を混乱に陥れる。無尽蔵のパワーを有する人造人間17号&18号、未来からやって来た人造人間セルに挑むべく、“悪の心”が消え去ったピッコロと神は同化し、元の一人のナメック星人へ回帰する。

この結果、ピッコロは戦闘能力のパワーアップに加えて神の知識と冷静さを引き継ぎ、セルとの戦いでも相手を欺き情報を引き出す頭脳戦を展開。超サイヤ人以上の戦闘力を獲得し17号にも匹敵するパワーを発揮した。また、セルとの戦いの後、ナメック星人の少年デンデが新しい地球の神となったことで、ピッコロは神としての立場から解放され、悟飯たちと共に一人の戦士として地球を守る道を歩み始めた。

より指導者的な存在、家族のような存在へ

神と同化したピッコロは、魔人ブウとの戦いで降臨した界王神と悟空たちの間で立ち回り、悟空のもう一人の息子、孫悟天とベジータの息子、トランクスに融合してパワーアップする能力「フュージョン」を伝授するなど、より指導者的な立ち回りを担っている。悟飯との交流はより深くなり、親類のような関係へ発展。悟飯の娘パンにも懐かれ面倒を見る姿も見られるように。絶対悪として誕生したピッコロは、こうして悟飯のもう一人の父親とも呼べる存在となったのだ。

悟飯の愛娘パンに修行をつけるピッコロ。パンにとっては親戚のような存在に? [c]バード・スタジオ/集英社 [c]「2022ドラゴンボール超」製作委員会
悟飯の愛娘パンに修行をつけるピッコロ。パンにとっては親戚のような存在に? [c]バード・スタジオ/集英社 [c]「2022ドラゴンボール超」製作委員会

そして『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』では、成長したパンに修行をつける師匠であり、レッドリボン軍にさらわれた彼女を救うべく、因縁の人造人間のニューカマー、ガンマ1号&2号と激突。二度の同化を超える覚醒も描かれ、悟飯との師弟の関係性、そして共闘と、ドラマでもバトルでも大いに活躍し観る者を楽しませてくれる。原作者、鳥山明渾身のシナリオによるピッコロの新境地をぜひスクリーンで確認してほしい。

文/石井誠

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