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久保建英と南野拓実に漂う不安 チュニジア戦で見えた「足りないピース」

  • 2022.6.19
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スペイン・マジョルカでプレーする久保建英(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

【連載】サッカー・カタールW杯 森保ジャパン勝負の1年

ショッキングな敗戦だった。

3失点ではない。1得点も奪えなかったことだ。

チュニジア戦(2022年6月14日)後の会見で、記者からの最初の質問も「攻撃の課題について」だったように、そのクオリティ-に大多数が不満を持ったと思う。

そんな攻撃陣に対する批判の矢面に、南野拓実と久保建英が立たされている。

南野はサッカー専門誌『ザ・ワールド』に「W杯メンバー選出に黄色信号」と書かれ、久保はサッカーライターたちから「当落線上」と評された。

いったい二人に、何が起きているのだろうか。(石井紘人 @ targma_fbrj)

所属クラブでレギュラー奪えない

南野も久保も今季、所属クラブでレギュラーを獲得出来なかった点は類似している。ただ、二人の置かれている状況は違う。

南野が所属しているのは、「世界一のリーグ」と評されるイングランド・プレミアリーグのリヴァプールFC。今季はリーグ2位、さらに世界最高の大会であるUEFAチャンピオンズリーグで準優勝まで登りつめたチームだ。そこでレギュラーを獲得するのは、得点王争いをするようなもの。南野はFAカップで活躍し、大会ベストイレブンに選出されるパフォーマンスをみせた。それでもレギュラーを獲得できないのが、「メガクラブ」リヴァプールである。

久保も、プレミアリーグと並ぶハイレベルなスペイン・リーガエスパニョーラで戦ってはいる。だが、所属クラブはギリギリで下部リーグ降格を免れたRCDマジョルカ。そこでレギュラーを獲得出来ていないのは、実力不足とみられても仕方がない。カップ戦含め2得点という苦しいシーズンがそのまま、日本代表でのパフォーマンスに現われている。

久保とは違い、南野はキレに問題はない。だが二人とも、更なる問題が襲う。それは日本代表の課題である連携面である。

選手たちのコメントを聞いて推察できるが、森保一監督は攻撃に関して『委任戦術』をとっていると思う。選手たちの対応力を高めるため、チーム戦術をそこまで固めていない。チュニジア戦後の三笘薫の次のコメントが、物語っている。

「チームとしてどうやって攻めていくか、決まり事ではないですが、いろんなものを持たないといけないと思います。個人でのコミュニケーションで、立ち位置を『こういう風にしてほしい』と言っていますが、チーム全員で共有する必要はあるかなと思います」(『サッカーダイジェスト誌』より)

「NMD時代」と東京五輪の共通点

南野や久保は、伊東純也や三笘のように、独力で突破するタイプではない。チュニジア戦のように新しい組み合わせでは能力を発揮しづらい部分があり、それがプレーに影響した。

もちろん、新しい組み合わせの中でも、南野も久保も森保ジャパンで輝きを見せていた時はある。それは、ワントップにポストプレイヤーがいた時だ。

南野は森保ジャパン立ち上げ時、本田圭佑・香川真司・岡崎慎司に代わる新ビック3としてNMD(中島翔哉・南野・堂安律)と称賛されていた。この時はワントップのポストプレイヤーである大迫勇也を起点に、そのタレントを発揮していた。

久保も東京五輪(2021年)では、6試合で3得点1アシストと活躍した。この時のワントップは林大地。五輪後の2022年3月には大迫の代わりに、日本代表に招集されたポストプレイヤーだ。久保は、林を巧みに使いながら、堂安と見事なコンビ―ネーションを見せた。

6月の4試合、招集メンバーにはポストプレイヤーはいなかった。だが南野も久保も、ポストプレイヤーのワントップがいれば再び輝くことが出来るはず。もしくは、森保監督がチーム戦術を固めれば、南野と久保の特徴も生かされてくるだろう。

『ラージグループ』やロシアW杯(2018年)からの実績を重んじる森保監督のメンバー選考を考えると、南野は間違いなく当確と言える。一方の久保はリーグ戦で存在感を示せば、当確ラインに入ってくる。南野と久保の真価は、これから発揮される。

(選手敬称略)

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