最新作が楽しみなソ・イングクの魅力が詰まった最高傑作は?

ソ・イングクの歌の上手さには定評がある。それもそのはずで、彼は伝説のオーディション番組『SUPER STAR K』で2009年に優勝した文字通りのスーパースターだ。

彼がチョン・ウンジとデュエットした『All for you』は、世界最高水準のデュエット曲だと私も評価しており、一時期は毎日のように聴いていた。

特に、曲のサビでソ・イングクが絞り出すように歌いあげるところは、聴いていて本当にゾクゾクするほどの快感をもたらしてくれる。しかも、「絞り出す」と言っても決して声がブレたりせず音程も完璧で、「こんなに歌がうまい人は滅多にいない」と改めて感じ入ってしまう。

そんなソ・イングクの主演ドラマといえば……傑作中の傑作と言える『応答せよ1997』が生涯ベスト5に入れたいほど大好きである。

もちろん、ヒロインは「裏声の天使」ことチョン・ウンジ。彼女はアイドルの追っかけをする天真爛漫の高校生シウォンを演じている。そんなシウォンをずっと愛している朴訥な高校生ユンジェにソ・イングクが扮した。

頼もしく見ていられた演技

このドラマの面白さを挙げたらキリがない。とにかく、あらゆる要素が『応答せよ1997』には詰まっている。

たとえば、人情と友情と愛情があふれるストーリー、笑いが取れるコミカルシーン、主役2人の瑞々しさ、芸達者が揃った脇役陣の面白さ、釜山(プサン)の方言の楽しさ、結婚相手が最後まで明かされないスリリングな恋の行方、ウットリするような名曲揃いのOST……まだまだたくさんあるが、その中でもソ・イングクの魅力について語りたい。

彼が演じたユンジェは、釜山の男らしく無口で武骨なのだが、根は本当に優しくて感情が細やかだ。愛するシウォンが夜道で危ない目にあったとき、ユンジェが恐ろしい勢いで彼女を救いに行く……そのときのソ・イングクの演技は、この世の称賛の全部を集めてもいいくらいに迫力があって凄かった。

あの演技をずっと頼もしく見ていられたので、『応答せよ1997』はあれほどの傑作になったのである。

そのソ・イングクは最新作として『美男堂の事件手帳』に主演する。Netflixで6月27日から放送されるというので本当に楽しみだ。

文＝康 熙奉（カン・ヒボン）