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ラルフ・ローレン、NYが歓喜した22/23AWランウェイ。

  • 2022.6.15
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春夏シーンズも落ち着きを見せたこの頃。次のシーズンに向けて、最新コレクションを振り返ろう。

3月22日の夜、アメリカファッション界の帝王がニューヨーク近代美術館で2022-23年秋冬コレクションのショーを開催した。白と黒のエレガントでピュアなひととき。

誰もがこの時を待っていた。ラルフ・ローレンがランウェイショーを開催するのは、19年9月にマンハッタンのラルフズ・クラブで行われたショー以来だ。前回のショーで「Let’s Face the Music and Dance」を歌ったアメリカ人ソウルシンガーで女優のジャネール・モネイが、ニューヨークでのランウェイショーに復帰したラルフ・ローレンのために、今回は招待客として出席していた。アメリカファッション界の巨人は伝説通り、派手に飾ることなく、持ち味である均整の取れたエレガンスを表現した。2022-23年秋冬コレクションのショー会場として選ばれたニューヨーク近代美術館の一室に再現されたのは、ラルフ・ローレンの美意識を反映した室内空間。ピュアな建築、彫刻的なデザイン、美術作品、そして美しく広がるニューヨークの景色。

招待客にはアメリカ社交界の名士やテレビドラマの売れっ子スターが顔をそろえた。ジェシカ・チャステイン、ナオミ&フィネガン・バイデン(アメリカ大統領の孫たち)、ジェレミー・ストロング(ドラマシリーズ「サクセッション」のケンダル・ロイ)、レイチェル・ブロズナハン(「マーベラス・ミセス・メイゼル」)、リリー・コリンズ(「エミリー、パリへ行く」)、アンガス・クラウド(「ユーフォリア」)、エヴァン・モック(「ゴッシップ・ガール」)。サッカー選手でTikTokインフルエンサーのノア・ベックや石油王のひ孫でソーシャライトのアイヴィ・ゲッティの姿も見られた。

「アンティミストな体験」

各界のセレブで埋め尽くされた会場にジャジーな音色が響き渡り、いよいよショーがスタート。ファーストルックには、かの有名な“ヘア・フリップ”(ジャクムスのショーでも見せたことのあるヘアを払う仕草)を披露しながらジジ・ハディッドが登場。白いシャツにRLのロゴマークが編み込まれた黒のセーターを合わせ、裾はフィットパンツにイン。手にはオーバーサイズのリッキーバッグ。「男性と女性のために、エレガントなシルエットによって具現された、時代を超越した白と黒のスタイルにオマージュを捧げるコレクション」とショーの開催にあたって発表されたメモのなかでラルフ・ローレンは記している。メモの冒頭には次のような言葉もある。「数カ月前にこうしたアンティミストな体験を喚起する空間でコレクションを発表することを決めた時、ウクライナで戦争は起きていませんでした……。このような悲しみの最中にあるいまだからこそ、私たちは平和を取り戻すという希望によって結束し、前進しましょう。コレクションを共有するため、そしてすべての人々の尊厳を損なうことなく生きる意欲を共有するために、再びみなさんとこうして共にいられることをを心から誇りに思います」

グラムール、ピュア

ミニマルシックなルックを基調に、スポーツウエアが時おり挟まれる今回のコレクションを際立たせるためのキャスティングは豪華そのもの。ベラ・ハディッド、シャローム・ハーロウ、さらには1990年代のポロ・ラルフ・ローレン広告キャンペーンでおなじみのメンズモデル、タイソン・ベックフォードをはじめとする、さまざまな世代のトップモデル。そして、圧巻の美しさを放つレティシア・カスタ。スパンコールがちりばめられたくるぶし丈のオフショルダーの黒いプリーツドレスを纏った彼女に会場が魅せられた。黒のスモーキングにヤンキースのキャップ、肩にスタジアムジャンパーを羽織ってショーのラストを飾ったヴィクトリア・チェレッティも美しさでは負けていない。ランウェイには純然たるラルフ・ローレン・スタイルが次々と登場した。ピュアなスーツスタイル(スーツ&ネクタイに、グレンチェックのロングコートのウィメンズのルックはすばらしい)、メンズファッションに着想を得たバンカーストライプあるいは千鳥格子のジャケットとパンツ、フェアアイル柄の上品なニット、アメリカらしいスポーツテイストを取り入れたルック。ソワレには、シンプルなシルエットのグラムールで官能的なロングカクテルドレス。黒と白が奏でる長大な調べに、タータンチェックの赤いジャケットやコートがアクセントを添える。心を鎮める一方で欲しい気持ちを掻き立てる、粋を尽くしたコレクション。ラストは82歳のラルフ・ローレンがランウェイに登場し観客に挨拶。会場は総立ちで惜しみない拍手を送った。

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