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人間関係は「45cmの距離感」がちょうどいい。

  • 2022.6.15
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「女友達、幼なじみ、親、姑、上司、同僚、パートナー......。ややこしい他人との適切な距離とは?」

小林久乃さんの『45cmの距離感 つながる機能が増えた世の中の人間関係について』(WAVE出版)は、自身の失敗談から見つけた「余計ないざこざを回避するヒント」を軽妙に綴ったエッセイ集。

「45㎝とは、電車の座席1席分程度の幅のこと」。コロナ禍で電車の乗客が一席ずつ間隔を空けて座るようになったとき、小林さんは「やけに快適」と感じたそうで......。

「ふと。人と人との間を実際に約45センチ空けることが快適だと感じるのなら、交友関係にもそれくらいの距離感があったほうがいいのではないか。ディスタンスが街の風景に溶け込んでいく様を眺めながら、そんなふうに思ったのです」

ある日、自分に疲れてしまった。

小林さんは静岡県浜松市出身。「超・密地域」かつ「とても人に温かい土地」の浜松から、そのテンションのまま上京。根っからの八方美人のお人好しであり、人との交流が多い出版業界にいることもあり、友人・知人の多さが自慢の日々を送っていた。

しかし、そんなある日。「......こういうの、もういいかな......」。人の顔色をうかがって言いたいことを言えない自分に、疲れてしまった。「このままではいつか絶対に行き詰まる」と思い、自分を大事にしてくれない人とは距離を置くことに。

「とにかく余分な関係を削ぎ落とす。そうしたら、重量オーバーになっていた肩の荷が、ぐっと軽くなりました。(中略)肩が軽くなって気づいたこと。それはお互いを思いやる気持ちがあるのなら、離れているくらいのほうがいい、ということ」

「友人」かどうかの判断基準

32本のエッセイから、いくつか紹介しよう。

まずは「友人篩(ふるい)」。「友達が欲しい」と悩む大人は多いという。そこですすめているのが、「人間関係を書き出して整理」すること。「この人は深い友人」と自分なりの判断基準を決める。そこに「手持ちの友人」を当てはめていく。

「この人は深い友人」の判断基準(小林さんの場合)

レベル5 冷蔵庫の中身を見せられるか
レベル4 旅行へ一緒に行けるか
レベル3 もしこの人の身内が亡くなったら香典を出すか。もしくは葬式に出席するか
レベル2 スマホ、本棚、ブルーレイレコーダーの録画内容を見せられるか
レベル1 今後の人生にこの人が必要か

すべて当てはまる人は、無理にこちらから連絡しなくてもいい、腹心の友。あまり当てはまらないが関係を担保しておきたい人は、自分から連絡する。まったく当てはまらない人は、偶然再会したときに喜ぶくらいでいいという。

たしかに、篩にかけてみると、自分が本当に大事に思っている友人は誰なのかが見えてくる。「深い友人」でも、べったりすることはない。できる範囲で相手を思いやろう。

迫られても、逃げる

続いて「山を取る」。バッグ、財布、車、家、旅行......。ママ友同士に限らず、マウンティングはあちこちで発生するもの。小林さんが実践しているのが、「メンバーが決まっているグループや友人で頻繁に交流しない」こと。距離を詰めるから、わずらわしい争いが起きるという。

最後に「SNSパトロール」。「仲のいい間柄こそ、SNSでの距離感には注意したほうがいい」と警告している。小林さんのSNSをチェックしては、コロナ禍で「○○するなんて」などと、たびたび注意してくる友人がいたという。しばらく我慢していたが、嫌なものは嫌。友情の幕を下ろすことに......。

「ひと言でまとめるのなら、『ホントに余計な人とは距離をおいたほうがいいよ』です。迫られても、逃げるのです。我が身の幸せを逃さないために」

気さくに語りかけてくるような文体が印象的。さまざまな職種の仕事をしてきた分、人間関係もいろいろだったという小林さん。ドロドロの人間関係も、そこから学んだことも、「おもしろおかしな実体験」として披露している。「距離感オンチ」の人も、肩の荷がふっと軽くなるだろう。

■目次
第1章 馴れあいを控えてこそ「働くわたし」
第2章 「公の場」と自分の正義
第3章 つかず離れずの「家族と恋と」
第4章 「親しき仲」こそ距離感あり
特別インタビュー 黒川伊保子さんに聞く、「距離感」のトリセツ

■小林久乃さんプロフィール

エッセイスト、コラムニスト、企画、編集、ライター、プロモーション業など。出版社勤務後に独立、現在は数多くのインターネットサイトや男性誌などでコラム連載しながら、単行本、書籍も制作。自他ともに認める、鋭く、常に斜め30度から見つめる観察力で、狙った獲物は逃がさず仕事につなげてきた。出版業界や私生活で多くの人間関係に恵まれ、揉まれもし、揉めてもきた経験から「人間関係は距離感があればあるほどうまくいく」という結論に達し、本書の執筆に至る。30代の怒涛の婚活模様を綴った『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ)を上梓後、本作が2作目の著作となる。よく働き、よく飲み、棺桶に入る直前まで笑っていることが目標。静岡県浜松市出身、40代、独身。

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