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全部?一部だけ?地域で変わる「ご収骨方法」の常識とは【日本東西・文化対決】

  • 2022.6.14
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東西南北に国土が広がる日本では、西日本と東日本とで生活習慣や文化などが異なることもよく注目されますよね。日本各地を旅したとき、それぞれの地域で違う常識を知ることも、旅の楽しみのひとつではないでしょうか? そこで今回は、「人の弔い方」について研究してみました。

東日本では「全収骨」が一般的

旅行メディアであるTABIZINEが、なぜ弔いや納骨の文化を扱うのかなと思うかもしれませんが、人生を旅に例えたりすることも多いですよね。そこで旅を扱うメディアとしては、たまには死に関する文化の違いについて考えてみてもいいのではないでしょうか。

TABIZINEの読者は東京を中心に関東の人が多いので、東日本のケースをまずは考えてみましょう。大事な人の葬儀に参列して、納骨を済ませた経験のある人は、ちょっと想像してみてください。

東日本では、遺骸を荼毘(だび)に付し、その遺骨を容器に納める際、ほとんどの遺骨を骨つぼに入れることが多いようです。いわゆる「全収骨」と呼ばれるスタイルです。多くの骨を容器に入れるために、骨を細かくする場合もあります。

しかし、この当たり前に思える納骨スタイルも、西日本に行くと実は異なるケースが目立つとご存じでしたか?

西日本では「部分収骨」が一般的

西日本では「部分収骨」が一般的とされていて、できるだけ骨の形を崩さず、頭骨や背骨、骨盤、手足、のど仏など、主要な骨と形がきれいに残っている骨を拾い上げ、容器に入れます。容器に入りきらない骨は残します。

残りの骨(残骨灰)については、火葬場に置いて帰ることが多いようです。東日本の人からすると、できる限り骨を収骨したいという感覚になるかもしれません。しかし、関西を中心に西日本では、東日本での一般的な感覚以上に骨を残したまま終えるのですね。

その東西文化が異なる様相を呈する分岐線は、糸魚川静岡構造線が一応の目安とされています。糸魚川とは、新潟県と富山県の県境近くです。

収骨を終えると遺族から所有権が離れる

では、残った骨(残骨灰)はどうなるのでしょうか。そもそも火葬された遺体の遺骨は、収骨前は遺族に所有権があり、収骨を終えると遺族から所有権が離れると考えられるようです。市営の葬儀場であれば、残った骨は自治体の所有になることが一般的のようですね。

自治体は残骨灰を供養し、ほかの残骨灰と合わせて埋葬することがほとんどですが、残った骨に含まれる有価金属、例えば、歯科治療で使われる金・銀などを骨から取り分けて換金することもあるようです。

換金で得た収入は、自治体の雑収になるケースもありますが、残骨灰の処理を依頼した業者の収入になることもあるようです。

例えば、名古屋市の場合は、残骨灰の処理業者から有価金属を回収し、売却して、年間1,000万円を超える雑収入を得ているとの情報もあります。

遺骨を多く残す西日本の場合は、有価金属の回収量も自然に多くなります。そうなると、遺族感情を理解しながらも、その価値の高さを各自治体は意識せざるを得ないそうです。

人の死の裏側にある、意外な一面ではないでしょうか。

[参考]

※ 西日本では"遺骨"を火葬場に残すのが常識 - PRESIDENT Online

※ お墓に納骨する際、地域によって違いがありますか? - 熊本葬儀社

※ 2021年(令和3年)4月1日からの残骨灰の取り扱いが変わります。 - 福山市

※ 残骨灰に含まれる有価金属を自治体が「換金」、どう扱うのが適切なのか - ビジネス+IT

※ 残骨灰処理、尊厳か収益か揺れる自治体 高価金属含む火葬・納骨後の灰 - 西日本新聞

※ 残骨灰売却検討 広島市の火葬場、金やプラチナなど含有 政令市では導入の動きも(2019年12月13日掲載) - 中国新聞

※ 「残骨灰処理と取り扱い」に関する考え方について - 人全国環境マネジメント協会

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