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千葉雄大と永山絢斗が体現する奇妙な“共依存関係” 『ダブル』が教えてくれる夢を持つ意味

  • 2022.6.10
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『WOWOWオリジナルドラマ ダブル』

私たちはどうしても、“光”ばかりに目を奪われてしまう。キラキラと輝くアイドルや、スクリーンを彩る俳優たち。冷田(桜庭ななみ)が言うように、魅了されたいのだろう。他人が放つ、煌めきのようなものに。

『WOWOWオリジナルドラマ ダブル』は、多家良(千葉雄大)と友仁(永山絢斗)の奇妙な“共依存関係”を描いてきた。友仁が考えた演技プランを、多家良が表現する。そうして2人は、ともに最高の舞台を作り上げてきた。しかし、多家良がスターダムに駆け上がるにつれ、友仁の存在は“異物”として扱われるようになってしまう。

ドラマ序盤では、多くの人が友仁に感情移入をしたはずだ。「役者というものは、ひとりでは生きていけない。一緒に生きていくこともできない」と悟りながら、多家良との共依存関係を続けてきた友仁。きっと、想像を絶する孤独を感じたこともあっただろう。それでも、友仁は多家良を支え続けた。それも、「俺だって、世界一の役者になりたい」という夢を持ち続けたまま。

多家良の活躍を支える側に回ろうと決めれば、友仁はラクになれたかもしれない。スパッと役者の道を諦めて、マネージャー業務に専念する。しかし、彼は夢を手放すことはできないだろう。多家良の才能に惚れ込んでいるのと同じくらい、役者という職業に心酔しているからだ。

自分も同じ夢を持っているはずなのに、多家良の夢が叶うのを全力で喜べる。きっと、友仁は気付いているはずだ。かつてのように、夢に対する希望を抱いていない自分に。しかし、長年追い続けた夢は“呪い”となり、簡単に私たちを自由にはしてくれない。現実を悟ってしまった自分から目を逸らして、夢を語るしかないのだ。

その一方で、多家良は“光”として輝いている。事務所にスカウトされ、有名作品を多く手がける映画監督・黒津(津田寛治)の作品に出演することも決まった。マネージャーの冷田は、多家良の才能のために尽力を注いでくれる。彼は、周囲の期待を背負いながら、ただ光の道を歩んでいくのだと思っていた。

しかし、光の後ろには“影”ができる。第4話では、多家良が抱く葛藤にもスポットが当たった。黒津監督作品の撮影が始まり、多家良はメキメキと存在感を発揮していく。共演者の轟(堀井新太)や、愛姫(工藤遥)など新たに出会った仲間たちに刺激を受けて、どんどん芝居の世界にのめり込んでいくはずだった。

だが、順応性がない彼は、現場での即興に応えることができない。友仁とともに練った演技プランがないと、役のイメージをつかめないのだ。黒津に新たなプランを提案されても、頭がこんがらがってしまう。ここで、ようやく多家良は向き合うことになる。自分の演技は、果たして誰のものなのか。「友仁さんが一緒じゃないと」と言いながら、ぬるま湯に浸かっていた日々と、決別しなければならない時が迫っている。

夢を叶えられなかった“影”を纏う友仁と、夢を叶えてしまった“影”と戦う多家良。本作は、それぞれの苦しみを描いていくことになる。叶っても叶わなくても苦しいのなら、夢を持つ必要なんてあるのだろうか。その答えは、きっと『ダブル』が教えてくれる。(菜本かな)

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