子が12個？！【子子子子子子子子子子子子】この漢字、なんて読む？

「子」が12個も並ぶなんて、こんな語句あるの？と思われるかもしれません。これは天皇と頭の良い家臣との知恵比べをした話から来ているんです。さて、どのように読むのでしょうか。

「子子子子子子子子子子子子」の読み方は「ねこのここねこ、ししのここじし（猫の子子猫、獅子の子子獅子）」です。「子」には「ね・こ・し・じ」という読み方があります。

単なる言葉遊びではありますが、『宇治拾遺物語』巻第三の十七「小野篁広才の事」に伝えられる知恵比べの話から来ているのです。

嵯峨天皇が治めていた時に、内裏（天皇の住まい）に「無悪善」という貼り紙がありました。天皇が頭の良さで評判の小野篁（おののたかむら）に何と読むか聞くことにしました。

小野篁は「悪（さが）無くて善からむ」と答えます。表向きは「悪いことが無いのが良いことであろう」。しかし、裏の意味は「嵯峨天皇が無ければ善いのに！」という意味なのです。

嵯峨天皇も文学を好むので、すぐに裏の意味を理解してしまいます。怒った天皇は小野篁をやり込めようと「お前はどのような漢字も読めるというのなら、これは何と読むのか？！」

「子」を12個並べて書き付けたものを見せました。小野篁は即座に読み下し、天皇を感心させたということです。

間も置かずに答えた小野篁も見事ですけれど、感心して許す嵯峨天皇も度量の大きい方ですよね。ちなみに小野篁は、美貌と才知で有名な小野小町の祖父に当たるということですよ。

writer：海辺のつばくろ