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「92歳・世界最高齢の総務部員」が新入社員時代から66年間、毎朝必ずしてきた出社後のルーティン

  • 2022.5.28
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「今日頑張れたら、明日も頑張れる」。92歳の総務課長、玉置泰子さんはそう考えながら66年間にわたって働いてきた。そんな玉置さんが新入社員時代から、毎朝欠かさずしてきたルーティンとは――。

※本稿は、玉置泰子『92歳総務課長の教え』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

今日頑張れたら、明日も頑張れる

2020年、「世界最高齢の総務部員」としてギネス世界記録をちょうだいしましたが、私は認定式の直前まで認定されたことを知りませんでした。

認定式でいきなり感想を聞かれ、驚きながら口をついて出たのは、「積小為大せきしょういだい」という言葉でした。これは江戸時代の思想家、二宮尊徳の言葉で、「小さな努力の積み重ねが、大きな成果につながる」という意味です。

サンコーインダストリー 玉置泰子さん。毎朝、自分のデスク周りだけではなく共有スペースも掃除する。
サンコーインダストリー 玉置泰子さん。毎朝、自分のデスク周りだけではなく共有スペースも掃除する。(写真提供=サンコーインダストリー)

私は92歳のいまも働いていますが、それは一日一日の積み重ねの結果でしかありません。はじめから、90歳をすぎても働き続けようと思っていたわけではありません。

ただし、私には長年のモットーがあります。それは「今日頑張れたら、明日も頑張れる」というもの。

私は50年ほど、毎朝30分のヨガを続けています。ヨガでは瞑想めいそうもしますが、その極意は「いまを生きることに集中する」ということ。明日がどうなるかを考える前に、今日を精いっぱい頑張ればいいのです。

今日の頑張りは、きっと明日につながります。だから、明日も頑張れるに違いない。私は長年、そう思い続けています。

今日は昨日の続きではない
玉置泰子『92歳総務課長の教え』(ダイヤモンド社)
玉置泰子『92歳総務課長の教え』(ダイヤモンド社)

寝て起きたら、また新しい日がはじまります。そのくり返しで一日一日をリセットして、新たな気持ちで「いまを生きる」ことを実践しているだけなのです。

私は、今日は昨日の続きではないと思っています。朝起きた瞬間、「まだ眠たい、二度寝しようかな」とか「着替えて会社に行くのがしんどい」などと思ってしまう人は、昨日がまだ終わっておらず、リセットできていないのかもしれません。

昨日、何か失敗したとしても、それを翌日まで持ち越してクヨクヨしても仕方がありません。すぎたことは、あくまでも過去。昨日のことは、もうやり直せないのですから、リセットして前を向いて、今日を懸命に生きるしかないのです。

92歳のいまも、昨日より今日のほうが成長している実感がある

「今日頑張れたら、明日も頑張れる」と思えるもう一つの理由は、人はいくつになっても少しずつ成長できるからです。筋肉だって鍛えれば、何歳になっても成長できるそうです。

子どもは、お母さんのお腹にいるときから、日々スクスクと成長しています。生まれてお腹から出たあとも、成長はとまりません。寝返りが打てるようになり、ハイハイをしはじめ、やがてつかまり立ちして、自分の脚で立ち上がって歩きはじめるのです。

会社員としての成長も、同じようなことです。入社したてで何もわからないところから、日々経験を積み、スキルアップしていきます。赤ちゃんのような急成長ではないとしても、仕事の面では日一日と前進し、成長しているといっても過言ではありません。

私は92歳になるいまでも、昨日よりも今日、今日よりも明日のほうが、ちょっぴり成長しているという実感があります。

今日より明日は少しでも成長していると思うからこそ、「今日頑張れたら、明日も頑張れる」のです。

凡事徹底、なかでも掃除を重視

なんでもない平凡で当たり前のことを徹底的にやり遂げる――とても大切なことですが、地道なことだけに、なかなかできていない人が多いことでしょう。

当たり前のことを中途半端にやっても意味がありません。当たり前のことを徹底的にやるからこそ、意味があるのです。

一日や二日、当たり前のことを徹底したからといって、大きな変化は起こらないでしょう。でも、それを1年、2年と続けられれば、話は違ってきます。

「継続は力なり」というように、「積小為大」(日々の小さな努力が大きな成果につながる)で当たり前の積み重ねが、大きな違いを生むのです。

当たり前のことを徹底的にやる。これを「凡事徹底ぼんじてってい」といいます。

挨拶をする、決められた時間を守る、身だしなみを整える……。凡事徹底するべきことは、考えてみれば山ほど見つかります。

なかでも、大事にしたいのは、掃除です。

凡事徹底で重視すべきことは、一般的に「5S」と呼ばれています。

5Sとは「整理・整頓・清掃・清潔・躾しつけ」という5つのSです。なかでも私が重視しているのが、清掃(掃除)なのです。

オフィスのデスクを拭く女性の手元
※写真はイメージです
新入社員時代から66年間、出社後必ずやっていること

掃除をしないと、整理整頓もできません。

会社のデスクを掃除して整理整頓したら、パソコンに保存しているいらないファイルやソフトもゴミ箱に入れて削除しておきます。

デスクもパソコンも、必要なものがどこにあるかが一目瞭然になっていれば、仕事の効率も上がります。

デスクやパソコンの状態は、それを使う人の頭の中身に影響を与えるともいわれます。整理整頓が行き届いていれば、頭の中身も整理整頓されるようになり、その回転は速くなるということです。

現会長は社長時代、口癖のように「(商品の)即納も大事だが、即答がいちばん大切だ」といっていました。その点、「掃除⇒整理整頓」がしっかりしていれば、即答も可能です。

上司や先輩、取引先からの急なリクエストにも慌てないで応えられますし、お客様から電話やメールで寄せられた問い合わせにも、即座に答えられるでしょう。

また、清潔なオフィスは働きやすく、社員のやる気を引き出してくれるという面もあります。私は、新入社員時代から今日まで、朝出社したら、最初にやることは掃除と決めています。

自分のデスクまわりはもちろん、会議室やトイレといった共有スペースも、掃除をするようにしています。

日本の学校では、子どもたちが教育の一貫として自分たちで教室や廊下、トイレの清掃をします。一方、海外の学校では、掃除は専門のサービススタッフに任せることのほうが多いようなので、海外の人たちには子どもたちが進んで掃除をする習慣は珍しく思われるようです。

海外の学校と同じように、オフィスの清掃も、専門スタッフが担っている会社が大半でしょう。

しかし、私の会社では、特別な場所を除いて、職場の清掃は、社員が率先して行います。それは、66年前に私が入社した頃から変わっていないことです。

新入社員研修でも掃除の大切さを説く

私は会社をよく知る古参の社員として、新入社員の研修を担当しています。

そこでも凡事徹底と掃除の大切さを説いています。

先日、まだ1年目の新入社員が、朝、トイレの洗面台を使ったあと、水はねを紙でキレイに拭きとっている場面に出くわしました。

「おはようさん。あら、キレイにしてくれているんやね。ありがとう」と声をかけたら、「課長、新入社員研修で、掃除がいちばん大事やっておっしゃったじゃないですか。凡事徹底です!」という明るい答えが返ってきました。

私は、「あ、覚えてくれていたんや」と、とても嬉しい気持ちになりました。

営業も掃除からはじまる

「営業活動は掃除からはじまる」というのも、私の長年の持論です。

営業担当なら、身だしなみに気を使うはずです。髪形を整えて、爪を切りそろえ、相手に不快感を与えないような服装にも注意を払うでしょう。

やはり第一印象は大事です。「人は見た目が9割」といいますが、第一印象で「あ、この営業の人は身だしなみがいい」と好感を持たれるか、それとも「清潔感がないな」と否定的にとらえられるかで、営業活動に大きな差が生じます。

しかも、第一印象に二度目はありません。

二度目で挽回しようと思っても、第一印象は強いので、そのイメージをあとからひっくり返すのは難しいかもしれません。

すべての社員が営業担当

営業だけではありません。会社の第一印象も同じです。お客様がはじめて会社にいらしたとき、第一印象が決まります。

玄関や応接室といった“外面”がキレイなだけではなく、廊下やトイレといったところまで掃除が行き届いているか。社員たちのデスクは整理整頓されているか。そして社員たちの働きぶりは、明るく活気にあふれているか。

これらすべての面において、合格点がもらえない限り、「この会社は素晴らしいから、もっと取引を増やそうかな」と考えてもらえないでしょう。

コロナ禍以降は、会社と社員一人ひとりが感染症対策をどれだけ真剣かつ合理的に行っているかも、会社の善し悪しを測るうえで見逃せないポイントになりました。感染症対策が不十分な会社や社員が、ビジネス環境の変化に柔軟に対応できるとは思えないからです。

その意味で、お客様とじかに接している外勤の営業だけではなく、内勤も含めてすべての社員が営業担当であり、その基本的な仕事の一つが掃除なのです。

少なくとも、私はそういう心構えで今日まで仕事をしてきています。

掃除をすると相手の立場になって考えられるようになる

掃除は5Sの基本のキで、相手の立場になって考えるという仕事の大事な習慣づくりにもつながります。

私たちの会社は、来社されたお客様が、社員が働く場所を通って応接室に向かう動線になっています。ですから、デスクのまわりを整理整頓するときでも、来社されたお客様が不快な思いをしないようにという気持ちが生じます。

また、会議室を掃除するときには、次に会議をする人が、心地よく打ち合わせできるようにという思いを込めます。

先ほど触れたトイレの洗面台の水はねをキレイにしていた新入社員は、次に使う人が気分よく洗面台を使えるようにと思いながら、水はねを拭きとったはずです。

このように多くの人が共同で利用する職場の清掃は、自分はもちろん、ほかの人が何をどういう気持ちで利用するのかを想像しながら行うもの。

それは、相手の立場になって考えるということなのです。

後工程を考えながら仕事をする

どんな仕事でも、相手の気持ちを配慮することは大事です。営業部なら取引先の気持ちを、社内のスタッフ部門なら社員の気持ちをくみとるでしょうし、自分の仕事の後工程を担う人のことを考えて、自分の仕事をこなすことも大事です。

自分の仕事が遅れてしまうと、後工程の仕事をする人に時間的に負担をかけてしまう。そう考えれば、自分勝手に物事を進めたり、自己満足に終止したりすることを避けられるでしょう。

お客様は、どういう気持ちで商品やサービスを使っているのかを考えながら仕事をする。掃除は、その習慣づくりに役立つのです。

「上司にいわれたから、とりあえずやっておく」という受け身で掃除をするか、それとも次に使う人の立場になって考えて自ら進んで掃除をするか。

後者のように日々掃除をすることで、長い目で見れば会社員としての成長に差が生じるのではないでしょうか。

玉置 泰子(たまき・やすこ)
サンコーインダストリー 総務課長
1930(昭和5)年5月15日生まれ。商業高校を卒業後、25歳で三興鋲螺(現・サンコーインダストリー)に入社。以来66年にわたり、経理や庶務の業務を担ってきた。現会長より11歳年上で勤続年数も長いことから、同社の歴史を知る語り部として新人研修の担当もしている。2020年11月「世界最高齢の総務部員」としてギネス世界記録に認定される。

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