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iDeCo60歳以上加入のメリットを企業型DC加入者は逃してはいけない

  • 2022.5.27
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5月からiDeCoの60歳以上の加入要件が大幅に緩和されました。60代前半は働くのが当たり前という世の中の流れにキャッチアップする形で、60代になっても会社員や公務員として働き続けている方がiDeCoに加入できるようになりました。

60代前半のiDeCo加入はメリットばかりで、利用できるならば是非活用を、とこれまでもおススメしてきましたが、特に会社の制度として企業型DCに加入している方(以下「企業型DC加入者」という)はメリットが多く、さらに大きいのです。今回は企業型DC加入者の方に絞ってメリットとその活かし方をお伝えしていきます。

メリットその1:税制優遇メリットを受けながら老後資産づくりができる

iDeCoとしては基本のメリットです。具体的なメリット額を挙げながら説明した方がわかりやすいと思うので、企業型DCの加入は60歳までという方が60歳からiDeCoに加入するケースで話を進めていきます。

iDeCoは自分で掛け金を出して自分の老後資金を準備する制度です。この掛金は積立時に全額所得控除になるという税制優遇があるので、積み立てている間、所得税や住民税が軽減されます。60歳以上になって企業型DCを含む企業年金制度に一切入っていないとすればiDeCoの掛け金は月額2万3000円まで積み立て可能です。ですから、例えば、課税所得が195万円以上~330万円未満の方が限度額いっぱいの2万3000円を積み立てする場合、所得税と住民税あわせて年間5万5200円の税負担軽減メリットがあります(この計算では令和19年まで加算される復興特別所得税2.1%は加味していません)。これは1年間なので、60歳から即iDeCoに加入し5年間、目いっぱい積み立てすれば所得控除のメリット額は27万6000円にもなります。これは、明らかに大きなメリットです。

メリットその2:60歳以降、いつでも引き出しできる

iDeCoは老後資金を貯めるための制度なので、60歳以降にしか受け取れない、という制約があり、よくデメリットとして取り上げられます。私も若い方たちには、「掛金の所得控除メリットに目がくらんで目いっぱいiDeCoに掛金をつぎ込んでしまうと、60歳前にちょっとまとまったお金が必要なことがあったとしても引き出して使うことはできません。残念なことにならないように、くれぐれも掛け金は無理しないように」と口を酸っぱくして伝えています。ただ、60歳以上でのiDeCo加入、さらには企業型DCに長年加入していた方が60歳以降にiDeCo加入する場合にはこの制約が全くありません。

それは、受け取り開始年齢を判断する60歳時点での確定拠出年金の加入年数は、企業型DCの加入年数とiDeCoの加入年数、さらには、それらの運用指図の期間も合算してカウントされるためです。これらの合計が10年以上であれば60歳以降いつでも受け取り開始可能なのです。つまり、企業型DCに10年以上加入していた方は60歳以降いつでも受け取りたいと思ったときにiDeCoの受け取りをすることができます。ですから、企業型DCの加入期間が10年ある方であれば、一つ目のメリットを最大限生かすためにも、上限に近い掛金額で積み立てすることを検討したらいいのではないかと私は思います。

メリットその3:企業型DCの経験を活かして老後資産を増やすことができる

そして、企業型DCに加入している方は、これまで企業型DCの年金資産の運用を長年にわたって行ってきた資産運用の経験者です。「年金情報」という企業年金の専門誌によれば、昨年9月時点の企業型DC加入者の拠出来の運用状況は、半数以上の方が年利回り3%以上で運用できていて、10%以上という高い利回りで運用できているという方も 一割を超えているそうです。 みなさん、運用巧者ですよね。

つまり、元本確保型のみで運用している方を除けば、リーマンショックや、コロナショックのようなマーケットも経験しながら、自分なりの長期・積み立て・分散投資を実践してきた方達です。iDeCoでの運用でも、その経験を生かして企業型DCと同じ資産クラスの同じような商品を選んで運用する、またはこれまでの経験から少しだけ積極的な運用にチャレンジしてみることも無理なくできるのではないでしょうか。これは、経験がある方だからこそのアドバンテージで、企業型DCに加入していた方ならではのメリットだと私は思います。

60歳以降の資産運用として、定年時に受け取った退職一時金を一気に投資してしまうような無謀なことは決して勧めません。大資産家なら別ですが、退職金というのは一般的にはその後の老後生活を支える大切な資産ですから、その全てをいきなりマーケットリスクにさらすのは危険です。

一方で、それまでの企業型DCでの運用経験から、投資する株式市場などのマーケットリスクも自分がどれくらいの元本割れ額だったら一時的なものだと乗り切っていけるのかも分かった上で、iDeCoのような形で、少額を少しずつ、さらに定時定額で価格を抑えながら投資するというのは、60歳以降の資産運用に向いていると思います。

例えば、iDeCoで積立限度額の2万3000円を60歳から65歳まで5年積み立て、3%の利回りで運用できたとすると、150万円というちょっとした額にすることができます。資産の一部を投資しておきたいのであれば、口座管理料が年間1,000円程度かかりますが、非課税で運用できるメリットを生かしてすぐに受け取らず65歳以降も運用を継続するという選択も考えてみてはいかがでしょうか。

メリットその4:受け取り前のひと手間で一時金受け取りの課税額を抑えられる

受け取る時の課税ですが、一時金で受け取る場合は加入期間に応じて算出される退職所得控除という額を超えた部分の2分の1だけが課税対象となります。この税金がかからない枠である退職所得控除は加入期間が20年までは1年あたり40万円、20年を超えると年あたり70万円増えていきます。

企業型DCとiDeCoの資産をどちらかにまとめてから受け取るということをすると、資産がまとまるだけでなく、それぞれに加入していた期間のうち重なっていない期間を合計して退職所得控除を計算します。つまり、まとめることによって加入期間が20年を超えるような場合は、税金がかからない枠である退職所得控除額をグンと大きくすることになります。例でまとめることの効果をみてみましょう。

企業型DCに20年以上加入していた方が60歳の定年時点で企業型DCの加入資格を喪失し、その後再雇用で働く間、iDeCoに60歳から65歳まで加入。65歳で一時金で受け取るという、ありがちなケースです。

【iDeCoに加入した5年分の退職所得控除】

① 企業型DCとまとめることなく、そのままiDeCoから受け取る場合

iDeCoの加入期間5年だけで退職所得控除額を計算するので

年40万円×5=200万円

② 企業型DCとiDeCoの資産をいずれかにまとめてから受け取る

企業型DCの加入期間ですでに加入期間20年を超えており、iDeCoの加入期間に応じて増える退職所得控除は年70万円となるので

年70万円×5年=350万円

同じ5年分のiDeCoの加入期間でも課税対象から除くことができる退職所得控除額が大きく異なることがお分かりいただけたかと思います。つまり、企業型DCの分を含めた一時金での手取り額が違ってくるということです。長い企業型DCの加入期間がある方ならではのメリットといえます。

一時金受け取りの注意点と年金で受け取る場合のポイント

このようにまとめて受け取ることは、一時金で受け取るならばそれなりの効用がある一方で、デメリットや注意点もあります。人によっては気にならないかもしれない細かい点も含め、挙げておきます。

① まとめるための手続きの手間が発生する。

② 資産をまとめる際には、運用商品のまま移すのではなく一旦現金化して移すため、売買のタイミングによるマーケットリスクがある。

③ 資産を移す手続きには2か月程度かかり、その間、手続き中の資産については運用ができない

④ iDeCoの契約先がネット証券などの場合、(企業型DCでも稀に)資産を出す側の手続き料として4000円程度を徴収されてしまうケースがある。

⑤ 企業型DC以外に、確定給付企業年金に加入しており、その受け取りが65歳以降まで先延ばしすることが可能な場合、iDeCoとまとめることなく企業型DCを60歳で一時金受け取りした方が確定給付企業年金を含めたトータルの課税額が少なくなる可能性が高い。

ちなみに年金で受け取る場合ですが、企業型DCとiDeCoをまとめて受け取ることによるメリットは、振り込みの都度徴収される1回400円程度の給付手数料や、残高がある間徴収される年間1000円程度の口座管理料の負担が半分に減るという程度です。経済的な負担軽減という点では、まとめるよりも、年金として受け取る年数を短くしたり、年間の受け取り回数を減らしたりした方がメリットが大きいと思われます。

いずれにせよ、受け取りの選択肢が拡がりました。受け取りパターンを決める際には、一般論ではなく自分のケースでメリット、デメリットを比較してください。そうすることで後悔のない選択がきっとできます。

今回は、企業型DC加入者の60歳以降iDeCo加入のメリットについてご説明してきました。企業型DCに加入している方は、自分の意志で加入したというよりも会社が退職金制度として導入したので加入しているという意識の方が多く、会社があなたの老後資金のために掛け金を出してくれていること、口座を管理する費用等を負担してくれていること、さらに資産運用の基礎知識について学ぶ機会が与えられていることなどについて当たり前だと思っているかもしれません。

しかし、それは大間違いで、そのようなサポートは給与所得者のうち5人に1人しか受けられないもので、恵まれているといえます。そして、60歳以降にiDeCoに加入するとさらにメリットがあるのです。

企業型DCに加入している方は、掛金も口座料も会社負担と恵まれているだけにiDeCoの掛金や口座管理料を負担することは「損」というイメージを持つ方が少なくないのですが、メリットも正しく知っていただいて、自分の目の前に広がっているチャンスを上手に活用いただけたらと思います。

大江 加代/確定拠出年金アナリスト

オフィス・リベルタス取締役。大手証券会社にて22年間勤務、一貫して「サラリーマンの資産形成ビジネス」に携わる。確定拠出年金には制度スタート前から関わり、25万人の投資教育も主導。確定拠出年金教育協会の理事として、月間20万人以上が利用するサイト「iDeCoナビ」を立ち上げるなどiDeCoの普及・活用のための活動も行っている。

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